透明材料は偽造防止やトレーサビリティの分野にて注目が集まっている.透明導電酸化物の一つであるアンチモンドープ酸化スズ(ATO: Antimony doped tin oxide)ナノ粉末をゾル-ゲル法にて合成し,可視光下では認識できず,近赤外光下のみで認識が可能となる不可視インクへ応用することに成功した.ATOは広いバンドギャップエネルギーからなる可視光透過性と,局在表面プラズモン共鳴による近赤外光吸収特性を持つ.ATO内のアンチモン量をコントロールすることで,不可視インクとして最適な光学特性を持つATOの合成を行った.さらにATOインクを塗布する対象に不可視性を高める処理を行う事で,塗布面とそれ以外に対する色差を抑え,紙面に対して偽造防止情報を付与することに成功した.