日本画像学会誌
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解説
  • 永村 直佳, 五十嵐 康彦
    2026 年65 巻4 号 p. 318-325
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/10
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    材料・デバイスの微小領域における化学状態や電子状態を可視化する多次元顕微分光分析では,時空間,エネルギー,外場条件など複数の自由度をもつ計測データが得られる.一方で,走査型のイメージング計測では,高分解能化,高S/N化,広視野化,高速化を同時に満たすことが難しく,測定時間の増大,ドリフト,チャージング,照射ダメージなどが問題となる.本稿では,これらの課題を緩和するインフォマティクス技術として,スパースモデリングを用いたマルチフレーム超解像画像再構成を紹介する.放射光オペランド走査型光電子顕微鏡で取得した低解像度画像群に本手法を適用し,測定開始位置の制御情報と装置固有の高解像度画像辞書を利用することで,比較的ホワイトボックス性の高い画像再構成が可能であることを示す.今後の計測画像処理および計測インフォマティクスの方向性についても展望を述べる.

複写機遺産特集
Imaging Today
  • 田中 浩也
    2026 年65 巻4 号 p. 353-357
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル 認証あり

    本稿では,2025年4月13日(日)から10月13日(月)までの184日間,大阪の人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催された2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に,実際に展示されたいくつかの事例を紹介しながら,4D造形の今後の方向性を考察する.特に「自然と呼応する4D」「折り畳み変形する4D」「複合体験化する4D」「揺らぎを生み出す4D」の4つの区分を示し,国内でのさらなる議論につなげる.最終的に,2027年に横浜で開催されるGREEN×EXPOや,宇宙開発関連産業を契機としながら,これからの4D造形が発展していくことへ向けての展望と期待を述べる.

  • 呂 亜輝, 敖 俊偉, 邵 帥
    2026 年65 巻4 号 p. 358-362
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/10
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    本研究では,レーザーカッタやCNCによって加工された平面板を空間的パズルとして組み立てることにより,立体造形を実現する新たな手法を提案する.各パーツはあらかじめ異なる形状やサイズで設計され,所定の位置に配置されることで,彫刻的かつ構成的な表現を生み出す.ユーザは組み立ての過程で完成形を想像しつつ探索的に操作を行い,そのプロセスを通じて創造的推論や空間認識力が喚起される.本手法は,完成物としての造形結果のみならず,創作のプロセス自体を体験可能とし,創造性と教育的価値を兼ね備えたアプローチである.さらに,ユーザが設定した立体形状に基づき,必要なパーツの形状や数を自動生成し,加工までを一貫して支援するツールを開発した.このツールは専門家に限らず,専門知識を持たないユーザにとっても自身の発想を立体的に具現化できる環境を提供する.本研究は,デジタルファブリケーション時代における創造的実践を支援し,ものづくり活動の裾野を拡張し,新たな可能性を切り拓くものである.

  • 禾 丈一郎, 下田 悠太, 天童 智也, 森田 哲朗, 斉藤 一哉, 舘 知宏
    2026 年65 巻4 号 p. 363-371
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/10
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    イシガキフグ(Chilomycterus reticulatus)というフグ目ハリセンボン科の魚類は,天敵に襲われた際に魚体を膨らませることで身を守ることが知られている.魚体の体表には約150本の相互に重なる棘が配置されているが,これらは魚体の膨張収縮時に干渉せずに滑らかに動く.この未解明な構造の展開可能性と圧縮に対する高い剛性に着目し,その「仕組み」と「機能性」を解明することで,生物模倣工学的応用のための基盤の創出を目指す.魚体の形態の解析においては,魚体全体の棘と表皮の配置を記録し,断面を観察した結果,棘の重なり順序に規則性があること,また表皮内に特殊なトンネル構造が存在することを発見した.また,この構造の機能性の解析においては,3Dプリント製の再現モデルで圧縮実験を行い,この構造が持つ機械的特性を調査した.

  • 山崎 淳, 水野 修
    2026 年65 巻4 号 p. 372-381
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/10
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    Voxelファイル形式FAV(fabricable Voxel)を使った3Dモデリング基礎技術について報告する.4DFF(4D and Functional Fabrication)2025で発表した内容に4DFF2026で発表予定の技術を加筆したものである.FAVを利用すると,STLファイル形式の弱点を克服して複雑なSTL(standard triangulated language )ファイルの編集行うことなしに,3Dモデリングを行うことができる.FAVからAdditive Manufacturing(AM)に入力できるPNG(portable network graphics)ファイルを生成させる要点を示す.FAVを使った3Dデータ作成時にはブーリアン演算不要で複数の3D構造体を同時に表現するとともに拡大や回転機能を備えて透明樹脂の中にモデリングでき,さらに複数のFAVの結合などの操作も可能なことを示す.Stratasys社製のGrabCADで操作できないこれら機能をFAV上で行えるようにした.また,任意の3D空間上の物理量についても3Dモデリング可能なことを示す.なお,一部の技術をのぞいてFAVはライセンスフリーなので,皆様のカラー3Dモデリングに役立てもらえれば幸いである.

  • 中原 稜将, 木内 俊克
    2026 年65 巻4 号 p. 382-387
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/10
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    建築やプロダクト分野における大規模な3Dプリントにおいては,最小限の材料で効率的に体積を充填しつつ,自立可能な剛性と適度な柔軟性の両立がしばしば求められる.本研究は,溶融した樹脂を垂らして形成するカテナリーのグリッドを積層する新たな造形手法を提案するものである.この手法は,柔軟構造であるオーゼティックパターンに着想を得て,造形上の制約から縦方向の連結材を省略し,横方向の層のみで全体の柔軟挙動を制御する.本論文では,物理的な検証に先立つ仮説立案として,①射出条件の制御による安定したカテナリー成形,②ユニット間のインターロックによる接合,③ノズル径や密度といったパラメーター制御による柔軟性の調整,という3つの仮説を提示し,3Dモデル上での分析によりその実現可能性を予測する.今後はこれらの仮説の物理的な検証を進め,最終的には椅子など実スケールでの応用を目指す.

  • 田住 梓, 鷲見 良, 池本 祥子, 田川 直樹
    2026 年65 巻4 号 p. 388-394
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/10
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    大阪・関西万博トイレ7「島の蜃気楼」において,透明ポリカーボネートを大型3Dプリンタで製作した外装材パネルのプロセスを報告する.本プロジェクトでは,大型3Dプリントの課題である熱収縮による歪みや積層テクスチャといった製造上の制約をポジティブに解釈し,設計者との協働によって意匠として昇華させる取り組みである.試行錯誤の積み重ねを経て,風景に溶け込み反射・透過・歪みを伴う蜃気楼のような外観を実現した.また,製造過程で生じた廃材をリペレット化して再利用し,万博会場内および会期後の公共空間における家具へと転用した.建築外装材としての3Dプリントの実践的モデルケースとして,設計・製造・素材の循環にわたるプロセスを提示する.

Imaging Highlight
教育講座
  • 西口 宏美
    2026 年65 巻4 号 p. 399-409
    発行日: 2026/08/10
    公開日: 2026/08/10
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    高度情報化社会においては,我々は情報端末機器を用いての情報の収集や発信,家電機器の遠隔操作など多くの恩恵を受けている.一方で,ユニバーサル社会の実現に向けて多くの解決すべき課題が指摘されている.その一つは,心身機能の低下をきたした高齢者や障がい者が高度情報化社会の恩恵を受けられないというデジタルデバイドであり,この問題を解決するためには人間工学の知見が有効活用できる.本稿では,まず高齢者や障がい者を対象とした機能評価法を紹介し,高齢者や障がい者に配慮した機器設計の指針について解説する.具体的には,人間情報処理モデル(S-O-Rモデル)を用いて,感覚機能,知覚・認知機能,運動機能の3つの人間機能について説明した上で,日常生活行為(ADL : Activity of Daily Living)の項目とその客観的評価法(例としてBarthel Index)について概観する.また,バリアフリーの考え方と高齢者や障がい者を対象とした情報端末機器や家電機器の設計に配慮すべき内容について検討し,入出力インターフェースを主とした機器の設計指針のいくつかを紹介する.

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