オキソチタニウムフタロシアニン(TiOPc)の結晶多形と,それらの電子写真感光体の電荷発生材料ぺの応用について研究した.TiOPcは5種類の典型的な多形を持ち,それらの違いを粉末X線回折・赤外線吸収および電子スペクトルや電子スピン共鳴線の解析により明確にした.フタロシアニンの結晶成長を溶媒中で行った結果,銅フタロシアニン(CuPc)は六角柱状に,TiOPcは四角錘状に成長した.TiOPcを使用した感光体は,近赤外波長領域で優れた電子写真特性を示した.光感度は5種類の結晶ともに優れていたが,その感度は
γ≧無定形>
m>
α>
βの順であった.特に,
γ-TiOPc/ブタジエン誘導体を使用した積層型感光体は暗減衰=54 (V/sec),E
1/2 = 1.8 (erg/cm
2),露光量に対する表面電位は,それぞれ5, 10, 30 (erg/cm
2)で-35, -30, -25 (V)であり極めて高性能であった.
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