『1ドラム色重ねプロセス』では感光体上にトナー像を重ね合わせるために,直流電界飛翔現像法を用いる.この直流電界飛翔現像法について,現像ギャップ,トナー電荷量,トナー層厚等の影響を,有限要素法を用いて考察した.さらに,露光と現像の条件が解像度に与える影響について考察した.その結果,以下のことがわかった.
(1)現像ギャップを広げると電界強度が低下し画像濃度が低下するだけでなく,ギャツプ内で電気力線が感光体側に回り込み,画線が細る.
(2) 低電荷量トナーは潜像に向かって飛翔するが,高電荷量トナーは現像ローラに静電的に吸着され動かない.
(3)現像ローラ上のトナー層厚が厚すぎると,逆極性のドナーが皆無であっても地かぶりが発生する.
(4)高い現像バイアスでは,画線の細りはなくなるが,同時に背景部において地かぶりが発生しやすい.
(5)露光を矩型にしても現像電位は矩型にならない.240dpiと400dpiの比較では,露光幅を変えると現像電位は幅のみでなく深さも変わる.
(6)400dpiのラインが独立した1本おきの露光であっても,現像時に潜像は相互に影響しあう.ライン間の白抜け部の電位が下がってしまいライン間はかぶりやすくなる.
これらの結果から,直流電界飛翔現像法を用いたときの現像と露光の最適条件を決定し,デジタルカラー複写機“Panasonic FP-C1”のレーザプリンタ部のカラー現像部および光学系の仕様とした.
抄録全体を表示