本論文は,電子写真用感光体ドラムから転写紙を静電的に分離する方法のひとつである静電分離方式における再転写現象について解析したものである.著者等は,既発表の静電的に剥離するメカニズムの解析に用いたエネルギー的手法1)により,静電的に剥離が可能な帯電電位の設定範囲が,再転写現象に関して最大3つの領域に分かれることを見いだした.すなわち
1)第1領域(再転写領域):すべての画像印字密度に対して,常に再転写現象が発生する.
2) 第2領域(中間領域):画像の印字密度によって,再転写現象が発生したり,しなかったりする.
3)第3領域(非再転写領域):すべての画像印字密度に対して,常に再転写現象が発生しない.
これらの領域は剥離性能(静電剥離の可能な帯電電位の範囲の大きさを指す)が大きくなるにしたがって,中問領域,再転写領域,非再転写領域の順で現われてくる.
そこでこれらの事実を検証するため,レーザー・プリンタ注)を用いて実験したところ,理論解析に概ね一致する結果を得た.
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