置換基と分子量による有機ポリシランの正孔輸送への影響についてTime-of-Flight法によるデータをGil1式およびBorsenberger式で解析し考察した.分子量の効果はpoly(phenylmethylsilane)について調べた.ドリフト移動度
μdの電界および温度依存性は,いずれの式でも整理でき適合性の優劣はつかなかった.
μdは分子量に依存しない.しかし,系統的ではないが置換基に依存し1桁以上変化した.Gil1式におけるゼロ電界活性化エネルギーはBorsenberger式のホッピングサイトのエネルギー揺らぎに対応するが,これは分子量の影響を全く受けない.しかし,置換基に依存し,芳香族置換基はそれを拡大する作用を持つ.Borsenberger式で定義されているホッピングサイトの位置揺らぎは分子量の増大によって大きくなる.この変化は,Gi11式では
μdの電界依存性が消失する特性温度の低下として現れる.ただし,このときガラス転移温度が高くなり,特性温度がガラス転移温度と近い値をとる必然性のないことが明らかになった.
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