国際生命情報科学会誌
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30 巻 , 1 号
選択された号の論文の76件中1~50を表示しています
表紙
編集委員会・著作権
目次
お知らせ
原著論文
  • 清水 武, 石川 幹人
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 5-16
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    本研究では、乱数生成器(REG/RNG)によるフィールドRNG実験を実施し、フィールド意識と非意図的PKが、事前に記録された物理乱数をターゲットにした場合に、過去遡及的な影響を及ぼし、偏りを与える可能性を検討した。実験者は、日本のプロ野球の試合が開催された時間に8回、野球場にエントリーした。事前記録された複数の乱数ターゲットがノートブックPCに提示され、同様に物理乱数もリアルタイムに生成された。実験の結果、残念ながら事前記録のターゲットに対して、過去遡及的な効果はみられず、リアルタイムに生成した物理乱数においても偏りが得られなかった。最後に、フィールド意識に関連した今後の課題が議論された。
  • 清水 武, 石川 幹人
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 17-33
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    心物連関作用(MMI)を検討する上で、物理乱数生成器(RNG/REG; Random Number/Event Generator)を使ったフィールド実験は方法論的にもっとも整備されており、フィールド意識が強く喚起される状況下で、RNGのビット出力に特異な統計的偏りが生じるという。本研究は、この特異現象を説明する仮説として、集団のフォーカスを想定する説と、集団の感情を想定する説に注目し、両者の妥当性を比較検討する実験を計画した。実験では10種類の候補から刺激的と評価された上位3種類の映像を実験条件とし、順に興味、悲しみ、笑いの条件と定義した。加えて、もっとも刺激的でないと評価された映像を統制条件とし、合計6群の実験参加者(計230名)に視聴させた。このフィールドRNG実験の結果、実験条件の3つの映像視聴時の累積カイニ乗値統計量はいずれも有意でなかったが、3つ全てを総計すると有意となった。一方、3つの実験条件に統制条件の結果を全て含めると累積カイニ乗統計量は有意でなくなった。これらの結果は感情説を支持すると考えられた。なお、いずれの実験条件においてもStouffer's Zの値に偏りはみられず、感情の種類に特有のRNG出力の偏りは明らかにならなかった。最後に、今後の研究上の課題が議論された。
大会長講演
  • 伊藤 公紀
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 34-
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    最近の社会心理学的や脳科学の結果によれば、西洋人と東洋人の外界認識様式の差は大きい。例えばニスベットは著書『木を見る西洋人、森を見る東洋人』に、「西洋人の視野は望遠レンズ、東洋人の視野は広角レンズ」と書いている。古代ギリシャと古代中国に起因するその差は、さまざまな場面で発現している。分離・分析・理想を特徴とする西洋的認識は、西洋キリスト教の三位一体、個人主義、近代科学、人間中心環境主義などを生み、今日のさまざまな矛盾や環境問題に結びついた。融合・総合・現実を特徴とする東洋的認識は、このような問題を解決する可能性を持つ。地球温暖化問題や太陽風-地球気候連関などの例について考察する。
会長講演
  • 渡辺 恒夫
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 35-36
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    近代科学では「科学性=客観性」であるが、客観性の要件である公共性・再現可能性ある観測とは、「誰でもよい誰かによる」観測に他ならない。誰でもよい誰かによる観測データで造られた科学的世界の中の人間とは、「誰でもよい誰か」であって、この私でもなければ、あなたでもない。故に「自己」と「他者」は、科学的宇宙像の中での変則事象として、しばしば驚愕を以って体験されざるを得ない。本講演では、著名な科学者らに見るそのような驚愕体験を分析し、意識の超難問として定義し、その解決のために、独我論的な自己-他者構造を世界の基本単位として世界像を構成し直すという、反コペルニクス的転回の道を唱える。
理事長報告
  • 山本 幹男
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    国際生命情報科学会(ISLIS:イスリス)の1995年創立から16年半の活動と人間等の「潜在能力の科学」の推進について報告する。設立趣意は、物質中心の科学技術から、こころや精神を含んだ21世紀の科学技術へのパラダイム・シフトのための、実証的科学技術研究の発展、「潜在能力」等の不思議現象の原理解明、「潜在能力」の開花により、健康、福祉、教育と社会および個人の心の豊かさを増進させ、自然と調和した平和な世界創りに寄与する事である。創立以来、「生命情報科学シンポジウム」を年2回、計33回主催し、国際学会誌Journal of International Society of Life Information Science (Journal of ISLIS)を年2号定期発行し続けてきた。2002年には「潜在能力の科学国際シンポジウム」を、2004年には韓国ソウルで「Mind Body Science国際会議」を主催した。2004年には単行本「潜在能力の科学」を発行した。第7回サイ会議が統合的スピリティスト大学,クリチバ,ブラジル,とISLISの共催にて,2011年8月にブラジル・クリチバ市にて開催された。この間不思議現象「潜在能力」の存在の科学的実証には多くの成果を挙げた。現在世界の11カ所に情報センターを、約15力国に約270人の会員を有す。近年毎夏主催の合宿は、2012年8月には富士山麓で6回目を開催する。
研究発表論文
  • 小久保 秀之, 山本 幹男
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    筆者らは2006年以来、ヒーリングパワーの定量測定法の開発に取り組んでおり、これまでにキュウリ切片(生体センサ)から生じる極微弱生物光を使ったバイオフォトン測定法と生成ガスを使ったガス測定法の2種の開発に成功した。本研究は、キュウリ切片の切断面に蛍光物質が生成されることを利用する蛍光測定法の開発である。ガス測定法で使用した試料に紫外線を照射しながら、蛍光をバンドパスフィルタを使って分光測定した結果、562nm帯においてヒーリング実験とブランク実験の蛍光J値に統計的有意な差が見られた(p=0.005、両側、t検定、n=32)。また、ヒーリング実験ではガス測定と蛍光測定のJ値に負の有意相関があった。冬場のキュウリは反応性が悪いため、バイオフォトン測定法・ガス測定法ではヒーリング効果の検出が困難であったが、蛍光測定法を使えば通年測定が可能と考えられた。
  • 津田 康民, 和泉 充浩, 安田 豊顕, 藤井 淳史, 中島 宏平
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    岡田茂吉の健康観に基づく新たな健康度の評価尺度を開発した。また、6段階の凝り評価用ゴムも開発した。そして、継続した岡田式健康法の実践による変化を凝りとともに測定し、その変化をQOL、spirituality等と比較した。
  • 橋本 和哉
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    私のクリニックでは患者さんの機能維持や症状改善のため、血液、リンパ液の流れ、脊髄の矯正を目的に伝統的なヨガをアレンジした動き(医療ヨガ)を指導しているが、それにより外気功ができるかを検討した。例数は8名で、医療ヨガを行うことにより、皮膚表面温度が変化し、気を通したとき腕や姿勢の安定性が増し、AMI測定によるBP値が増強し、検者が自覚的に、また気を受けた他者も気感を認めた。このことから1回の医療ヨガを行うことでも外気功ができるようになると考えられた。
  • 足達 義則
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    我々は常に各種刺激にさらされており、これから様々なストレスを受けている。ストレスは自律神経の働きに影響を及ぼし、長期間のストレスが病気の引き金になると言われている。本研究では、数種類の精神作業負荷、運動負荷が与えられたときに生じる自律神経の働きの変化を、心拍数、LF/HF等の値から測定し、リラックス度の指標となる副交感神経の働きを推測し、その特徴をウェーブレット解析で検討した。その結果、好きなことをすることが必ずしもリラックスにつながらないこと、座禅やクラシック音楽、自然の中での散歩がリラックスに適していることを示した。
  • 河野 貴美子
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 70-
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
  • 曽 紅, 川島 徳道
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 71-78
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    本研究は、順式腹式呼吸法が不整脈と心拍変動と自律神経に及ぼす機能評価を目的に24例を対象とし、呼吸法前後の変化を指尖脈波解析器で計測した。結果、順式腹式呼吸法には、心拍変動の活性効果、不整脈の軽減解消効果、低下したLF/HF値の増加、自律神経活動のバランスを整える効果があることがわかった。
  • 橋爪 秀一
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 79-83
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    不随意神経である自律神経の制御下にある唾液中のクロモグラニンAを指標に用いた精神的ストレス改善効果と種々食品の売上高との間には強い正の相関が認められたことから、我々は食品を潜在意識により購入すること及び精神的ストレス改善効果が高い製品ほど、売上高も高いことを明らかにした。これは、また、ヒット商品は自律神経制御下のストレス改善効果を高めることにより達成できることを示している。食品には、一次から三次機能まであるが、一次機能(栄養機能)も、栄養不足は生体或いは細胞にストレスが加わると考えられることから、ストレスと強く関係しており、二次機能(嗜好機能)も、好き嫌いは快(低いストレス)・不快(高いストレス)に通ずることから、ストレスと深い繋がりがある。三次機能(生体調節機能)は、疾病予防機能が最重要機能と考えられるが、疾病はストレスが引き金となると言われていることから、これもストレスと強い関係がある。従って、食品の一次から三次機能に共通するキーワードはストレスであり、我々は「食」の本質はストレス改善効果にあることを提案したい。
ミニ・シンポジウム:死・思想・健康- スピリチュアリティへの視点
  • 大門 正幸
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 84-87
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    人間の持つ世界観、人生観が心と身体、両面の幸福に大きな影響をもたらすことが、ポジティブ心理学、心身医学、医療社会学など様々な分野の研究によって明らかになりつつある。本発表では、国際社会調査プログラムによる33カ国を対象とした宗教意識に関する調査結果の分析を通して、「死後の意識の存続」や「生まれ変わり」といったいわゆるスピリチュアルな現象に関する見解と幸福度との関連について考察する。また時間が許せば、スピリチュアルな内容の講演による「生きがい感」の向上に関するデータについても紹介したい。
  • 岡本 聡
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    「五大」とは、世に遍満し、万有を作る五つの元素。地水火風の「四大」に「空」を合わせたものをいう。「大」は梵語の意訳で、元素の意である。「空」を中心とする「四大」という死生観があった。昨年は、古典文学と「五大」という視点で、芭蕉を中心とした古典文学の中にどのように「五大」思想が取り込まれているのかという事を発表した。本発表では、前回の発表でふれられなかった『伊勢物語』の古注釈や、古今伝授、あるいは心敬の連歌論『ささめごと』などの記述を中心におきながら、それがテイク・ナット・ハンなど現代の仏教徒が書いたものといかに関わっているかという事について触れていきたい。前回も触れたが、米国オークリッジ国立研究所が行った放射性同位元素分析によれば、一年間で生有体を構成する原子の98%が入れ替わるという事である。この事から考えると、「四大」が「空」を中心に循環するという思想は理にかなったものという事になる。本発表では、「五大」思想を中心におき、それが日本の古典文学と現代に息づいている仏教とにいかに描かれているかという事を検討していきたい。
  • 杉岡 良彦
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 94-105
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    過去において宗教と医療は密接な関係にあったが、科学の発達は両者の関係を大きく変えた。しかし最近、宗教やスピリチュアリティの健康への影響が科学的に評価されている。例えば、教会への礼拝出席と寿命の関係、宗教性がうつ病からの回復や心疾患に与える影響など、その研究は多岐にわたる。こうしたスピリチュアリティと健康に関するこれまでのデータを具体的に紹介すると共に、その作用メカニズム、および科学的方法論の本質と限界をも考え、今後のこの研究領域の課題についても考察する。
  • 林 和枝
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 106-111
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    Death Education(以下、いのちの教育とする)という概念が日本に導入され、20年以上が経つ。現在、学校教育におけるいのちの教育に関しては、取り組みの実際や教育効果の報告、教育内容の吟味に関する研究など数多く報告されている。それに反して、家庭における子どもに対するいのちの教育に関する研究は少ない。しかし、子どもの成長・発達のために果たす家庭の役割の大きさを考えると、家庭におけるいのちの教育の発展は、重要な課題であろう。本発表では、筆者が行った母親を対象とした調査より、母親のいのちの教育に対する意識とその実際について報告する。またこれらに関連して、死別による子どもの悲嘆に対する母親のケアについても報告したい。
  • 池川 明
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 112-
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    2002-2003年に3601名の保育園に在籍する園児の保護者に対するアンケート調査を行い、園児では33.0%、保護者には1.1%に胎内記憶があるという結果が出た。その後、いくつかの調査が行われているので、その調査結果を比較してみた。  結果を比較できたのは、講演会を行った時に参加者に配布したアンケートによるものが5件、インターネットのサイトでのアンケートによるもの4件、独自のアンケート調査が3件である。  それぞれの調査の母集団、調査方法などが異なるため、同じように比較することは困難であるが、胎内記憶の保有率だけをみると、6歳以下は12.2-69.3%とばらつきがあるが、20%台が最も多かった。小学生は4.1%-9.0%、中学生は0-3.4%、高校生は3%、成人では0.6%であった。 数値にばらつきはあるものの、池川の先行研究と同様に年齢とともに記憶の保有率は減少する傾向を示している。  今後の研究の方向性なども併せて報告する。
ミニ・シンポジウム 身体に働きかけると、脳が活性化する:セロトニン神経の役割
  • 有田 秀穂
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 113-
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
  • 喜田 圭一郎, 有田 秀穂
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 114-
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    不安を感じやすくなるうつ病、近年世界中に広がるうつ病(1. 2億人/2008)の原因の一つと考えられるセロトニン不足。この血液中濃度を測定し、音の振動エネルギーを負荷する前、直後、30分後でその変化を探ってみた。その結果、音の振動を負荷する前の平均値(n7)で200.01ng/ml,実験直後,191.13ng/ml, 30分後204.47ng/ml と変化した。外の何かを得ると幸福になれるという観念に捕われている現代人にとって、音の振動は内からの自発的幸福を手に入れる方法として未知の可能性を秘めている。
  • 原 久美子, 有田 秀穂
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 115-
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    フラダンス(正式にはフラhula )はハワイの伝統舞踊であるが、日本においても非常に愛好者多い人気のカルチャーである。 当院では、特別な用具を必要とせず屋内で行えるフラを、中高齢者の運動プログラムの一つとして取り入れ、その身体面、心理面の両面に対する効果を検証したので報告する。 対象は平均年齢55歳の女性33名で、院内のスタジオで週2~4時間のレッスンを2年間継続した。参加前と比較して2年後、体力測定においては有意に下肢の筋力増強効果を認めた。また、メディカルチェックの結果から、生活習慣病予防効果も期待できることが示唆された。心理面においては、1時間のレッスンの前後に行った気分プロフィール検査(POMS)において、緊張、抑うつ、怒り、疲労、混乱の各スケールがレッスン後に有意に下がり、活気の尺度が有意に上がった。このPOMSの結果にみられたフラの心理効果の少なくとも一部は、セロトニン神経活性化効果によるものと考えている。
ミニ・シンポジウム 「森になる」における超越的な与える喜びの実践
  • 尾崎 真奈美
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 116-
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    本シンポジウムの目的は、「森になる」運動、つまり匿名的な樹木葬を推進する運動が、どのように自己超越的な気づきに貢献するか提示することである。すなわち1。背景と現状、問題提起(河野)2。非人称の観点からの意義(甲田)3。感謝と愛他行動の社会心理学(小野寺)をふまえて、4。生死を超越したスピリチュアリティの発現としての意義をポジティブ心理学の文脈から記述する(尾崎)。演者は第一に、この運動が単に環境学的、死生学的に意味のあることにとどまらず、個人のポジティブ感情や人生満足度を増進させ、意味ある人生として究極の幸福感(ユーダイモニア)に寄与することを示す。第二に、この実践を通じて、個人を超越した感謝のお返し行動の連鎖が、普遍的な愛他性を促進する可能性をポジティブ感情の拡張形成理論から説明する。
  • 河野 秀海
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 117-
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    「森になる(心の森をのこす会)」とは、墓碑を建てる代わりに樹木を植え、自らが木となり森となって地球環境と子孫を護ろうと提唱する運動である。それは、環境破壊に対する具体的な方策を提示することが期待される運動でもある。と同時に、戦後失われた地縁、血縁に代わるコミュニティを創造し、つながりを取り戻す試みでもある。さらに、樹木葬という具体的な実践を通して、個人意識や宗教思想に新たな枠組みを付与しようとする精神運動とも言える。それは、二元対立を超えた新たな枠組みを模索する実践哲学とも成り得ると考える。つまり、近代西洋と東洋古来のあり方を統合する試みなのである。すなわちこの運動は、人類を頂点に自然を資源とみてコントロールしようとする在り方と、天地を崇め自然に服従する在り方を統合し、人間の営為そのものが環境と美しく調和してゆく契機となりうる。このように「森になる」運動は、自然との平和共存的実践にとどまらず、自己超越的気づきを促し、愛他的精神を鼓舞し、人生における高潔なあり方を促進すると期待される。
  • 甲田 烈
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 118-122
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、匿名的な森林葬の推進運動である「森になる」に向けて、有用性のある哲学的原理を提示することである。この目的のためにメタ理論としての非人称的アプローチを導入した。本論文では第一に、この理論の構成要素であるインテグラル理論における四象限と構造構成主義における関心相関的選択について説明した。四象限とは、あらゆる事象は、主観的側面、客観的側面、間主観的側面、間客観的側面という四つの側面から見る事かできるということであり、関心相関的選択とは、あらゆる認識論・理論・方法論は研究者・実践家による関心や目的に応じて選択できるという原理である。この2つの思考法によって、実践者は自他の関心を対象化すると同時に積極的に他者の視点からも学ぶ可能性が担保される。第二に、非人称的アプローチを適用した樹木葬運動の理論モデルが示された。
  • 小野寺 哲夫
    原稿種別: 本文
    2012 年 30 巻 1 号 p. 123-
    発行日: 2012/03/01
    公開日: 2018/12/12
    ジャーナル フリー
    ポジティブ心理学のポジティブ感情と感謝研究の知見に基づき、感謝体験の意識化(喚起)を促す方法として感謝クエスチョンを考案し、その気分や感情状態、原因帰属に与える影響について検討した。被験者は326名の大学生で、質問紙法で実施された。最初に気分状態が測定され、「リストラされた父親が家族に暴力を振う」という短い物語1を読んだ後、1回目の帰属項目に回答した。その後、実験刺激として、感謝クエスチョンなどのいずれかがランダムに施行され、再び実験操作が加えられた物語2を読んだ後、2回目の帰属評価をし、最後に、再び気分状態が測定された。分析の結果、感謝クエスチョンには、ネガティブ感情を抑制し、ポジティブ感情(ポジティビティ)を増加させる効果があることが示された。マカロウやエモンズ(2001)らは、「感謝」には他人やそれ以外のものへの愛他的行動を促進させる機能があるとした。従って、感謝体験の喚起・意識化によって、ポジティブ感情としての感謝の念に満たされた人は、困っている他人のみならず、森や大地といった自然への愛他的行動、ひいては、樹木を植え、自らが木となり森となって地球環境を護る「森になる」精神運動を推進していく上での精神的基盤になるのではないかと考えられる。
発表とワークショップ
報告
第33回生命情報科学シンポジウム
国際総合研究機構(IRI)
国際生命情報科学会(ISLIS)
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