労働科学
Online ISSN : 2187-2570
Print ISSN : 0022-443X
90 巻, 5 号
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原著
  • 森泉 慎吾, 臼井 伸之介, 和田 一成
    2014 年 90 巻 5 号 p. 171-182
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/05/25
    ジャーナル フリー
    ヒューマンエラーや違反といった不安全行動のメカニズムに関して報告する心理学の論文はこれまで数多く存在するものの,そのような行動の抑制を目的とした安全教育に着目した研究は少ない。本論文では,臼井(2008)が開発したエラー体験プログラムを用いた体験型の安全教育の有効性を検証することを目的とした。87人の消防士を対象に,「注意の偏り」あるいは「違反」をPCベースにて体験させる教育を実施した。その結果,日常のリスクテイキング行動については教育後において態度が安全側に変容し(研究1),違反とリスクテイキング行動については教育から約6か月後において教育前よりも抑制される傾向が見られた(研究2)。これら2つの研究結果より,エラー体験プログラムの有効性について議論された。(図2,表4)
  • アーポーン サラ, 石丸 知宏, ノーチャナ コッチャパン, ブアチュム シリサック, 吉川 徹
    2014 年 90 巻 5 号 p. 183-189
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/05/25
    ジャーナル フリー
    タイなどの開発途上国では,労働者の大部分が労働法や社会保障の適応外であるインフォーマル部門に属している。本研究の目的は,インフォーマル労働者における労災の種類・重篤度,労働による健康問題を明らかにすることである。タイでインフォーマル部門に属するタクシー運転手,バイクタクシー運転手,美容師,仕立屋300名に自記式質問紙調査を実施した。サンプル数は限定的だが,各職業とも労災事故や不適切な労働環境による健康問題を高頻度に経験していた。インフォーマル労働者の労働環境向上のために,既存の地域住民向け医療サービスを活用した安全衛生統計の整備を行い,安全衛生上の課題や特性を一層明らかにしていく必要がある。(表3)
  • 相撲 佐希子, 山田 泰行, 鈴村 初子, 榎原 毅
    2014 年 90 巻 5 号 p. 190-199
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/05/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,医療安全文化の醸成に効果的な組織安全研修体制を検討することを目的とした。対象施設は,某県下200床以上の病院20施設(地域カバー率:67%)の協力を得て,自記式質問票により看護職者1,475名から回答を得た(回収率81.4%)。アウトカムの測定には信頼性・妥当性が検証され看護の安全文化が測定できる医療安全文化尺度(PSCS)を用いた。傾向スコアによるロジスティック回帰分析を行った結果,研修会未受講に比べ,各安全文化要因に対する体験型研修の調整済オッズ比は1.90~2.78であった。多様な研修を組み合わせた体験型研修の導入は安全文化の醸成に寄与することが示された。(表3)
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