近年,長時間の座位姿勢の継続による健康リスク対策として,立位姿勢で作業を挿入する方法(sit-stand workstation)が提案されている。本研究は立位姿勢を挿入する適切な時間範囲を導くために,2時間のコンピュータ(文章入力)作業を(1)10分立位と50分座位の繰り返し,(2)40分立位と20分座位の繰り返し,(3)座位条件で比較した。測定項目は下腿周囲長,主観的疲労感,身体違和感,反応時間課題であった。その結果,10分立位条件は有効であった。一方,40分の立位姿勢の継続は下肢の負担が生じる条件となった。立位姿勢の適切な挿入時間は10分から30分になった。作業パフォーマンスは男性の10分立位条件の姿勢転換後にリフレッシュ効果が示唆された。(図6 表1)
1895(明治28)年,「所謂脳膜炎」と仮称される乳幼児の疾病が伊東祐彦らによって報告された。その後,主として小児科学領域に於ける約30年にわたる研究を経て,1923(大正12)年,平井毓太郎によって,その主たる原因が母親の用いる白粉中の鉛白による中毒であることが究明された。著者らは年代を追って,「児科雑誌」により,該疾患に対する研究の足跡を論考してきた。今回は,1930(昭和5)年,鉛白使用化粧品に対する規制が明文化されて以降,1931(昭和6)年から上記規則が実施に移された1935(昭和10)までの5年間に発表された関連文献のうち,実験的研究19編を取り上げて論考した。(写真1)