ボランティア学研究
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最新号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 日下部 尚徳
    2016 年 16 巻 p. 3-8
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2004年スマトラ沖地震、2008年ビルマ(ミャンマー)を襲ったサイクロン「ナルギス」、2010年ハイチ大地震、2011年東日本大震災、2015年ネパール大地震など、度重なる死者数万人規模の大規模自然災害を契機として、脆弱性に関する議論が熱を帯びている。これらの災害によって受けた被害は個人、コミュニティによって異なるが、今なお多くの人びとが以前の生活を取り戻せず、災害がなければ過ごせたであろう平穏な日々からは程遠い生活を余儀なくされている。本特集では、災害のみならず紛争、民族問題、ジェンダー、農村金融など、多様な分野におけるフィールド研究を通じて、脆弱性の概念を再検討することを目的としている。すべての研究が現地に直接出向き、自らの足でその地を歩き、そこで暮らす人びととの関わりの中から論を展開していることに加え、執筆者全員がそれぞれの脆弱性克服にむけた取り組みに何らかの形で関わっていることに特徴がある。研究者としての学術的関心にとどまらず、自身が問題解決を目指すことにより、現場の声をより近い距離で捉えることが可能となり、脆弱性を生み出す社会構造に対する内側(当事者的視点)からの理解が深まると考えられる。国際ボランティア学を考える上で、学門を志す研究者としての立場と、国際ボランティアの実践者としての立場が相反することなく同居することによる相乗効果の可能性を本特集は示しているといえる。
  • 日下部 達哉
    2016 年 16 巻 p. 9-17
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿では、バングラデシュのブラフモンバリア県で起こった竜巻災害後の中・長期的な影響について、人々の生活と教育復興に焦点をあてて検討している。2013年3月22日に起きたEFレベル2の竜巻は、この地域に甚大な被害をもたらした。これに対し、多方面から被災世帯に義援金給付が行われ、多くの被災者が急場を凌いだ。しかし被害から1年半経過し、筆者が人々の生活・教育復興調査を行った結果、①経済発展に伴って、復旧されるべき「元の生活」の水準は、明らかに10年前から上がっており、経済活動の幅も広くなっていた。また人々は思いのほか、マーケットにアクセスしているがために、竜巻による農地破壊の悪影響は、貧困層の人々に、よりしわ寄せがいく形となっていた。②また、この地域の人々は、将来を見据えて教育にも力を入れなければならない時期を迎えているが、竜巻により、家が崩壊、親が亡くなり、生活の基盤が危うくなり、子どもの学校への就学が難しくなっていた。このため被災地の学校では、4月の試験に参加できない子どもや、参加できても成績が悪くなった子どもが大勢いた。これに対して、復興に必要な安価な保険制度や医療制度の浸透が急務であることを議論した。
  • 高橋 清貴
    2016 年 16 巻 p. 19-37
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は、貧困問題の解決の一つとして注目を集めたマイクロ・ファイナンスと脆弱性の関係について論じたものである。マイクロ・ファイナンスは、所得の低い貧困層であっても少額でも融資機会を得られれば、自らの工夫や事業開拓機会を得ることで貧困から脱却を図ることができるとして貧困削減の有効なツールとして捉えられてきた。一方、マイクロ・ファイナンスが脚光を浴びた1990年代以降、その効果に関する理論的・実証的研究も数多く行われ、有効性が限定的であることも明らかになってきた。しかし、より批判的な視点から、マイクロ・ファイナンスが農民や貧困層にもたらす負の影響について検証した論文は少ない。タイでは1990年代に急速な経済成長を遂げる一方で、農村部は深刻な負債問題に困窮化が進み、その原因のひとつに1980年代から続く農民向け政府系金融機関であるところの農業・農業協同組合銀行(Bank for Agriculture and Agricultural Cooperatives)からのマイクロファイナンス事業があった。本論文は農民へのインタビュー調査を通して、負債を累積させてしまう背景に急速な開発に伴う都市部と農村部における情報入手の非対称や、急速な社会変化に伴う不安が中央(政府や行政)への過度な期待をもたらし、BAACから借り続けることで安全・安心を得ようとする農民の意識構造があることを明らかにした。そうした農民の脆弱性に対する主観的意識を如何にプロジェクトに組み込むかが重要であると主張した。
  • 田中 雅子
    2016 年 16 巻 p. 39-50
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、2015年4月に地震の被害を受けたネパールを事例に、脆弱性を生み出す要因としての社会的排除に注目し、特にジェンダー平等と社会的包摂の視点を取り入れた支援について検討することを目的とする。ネパールでは地震発生以前の段階ですでに社会的排除が問題として認識され、ジェンダー平等と社会的包摂に関する取り組みも始まっていたが、農村部でそれを実践するための機構は不十分であった。発災後、クラスター・アプローチが採用され、ジェンダーや社会的包摂の視点を取り入れる試みがなされたが、脆弱層への配慮は不足していた。背景として、住民登録制度が確立されていないこと、補償制度が個人ではなく家族/世帯単位であることなどが考えられる。「より良い復興」とは、工学的な意味での強靭さを備えた復興として理解されがちだが、社会経済的・文化的な側面においてより良い状態を生み出すためには人権の視点も不可欠である。ネパールにすでにある政策文書をツールとし、人権基盤型アプローチを取り入れることで「ひとりひとり」が尊重される社会へと近づくのではないだろうか。
  • 下澤 嶽
    2016 年 16 巻 p. 51-57
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    戦後の紛争において、和平協定の締結は大きな分岐点であり、その後の平和構築の内容を決定づけるものでもあった。しかし、政治力において力の差をもつ少数民族側にとっては、和平協定の内容の是非やその実施の可能性をめぐって、多くのリスクと脆弱性を含むものである。どのような脆弱性が考えられるか、バングラデシュ、チッタゴン丘陵の紛争を例にとって考えていく。また、和平協定の実現性や持続性を確保し、それを高めるためにも、交渉者の選定、交渉経過の情報公開、一般市民の参加のあり方、第三者の関与のあり方などを成功例などをもとに考え、強化していくことは重要であり、国際機関、NGOの役割でもある。いくつかの研究を紹介しながら、そのあり方を検証する。
  • 堀場 明子
    2016 年 16 巻 p. 59-68
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、2004年から再燃化したタイ深南部の紛争について、その歴史的、政治的要因を整理し、長引く紛争の現状を紹介するものである。また、タイ政府とマレー系武装勢力の間で2013年から始まったトラック1レベルの和平対話について、また現軍政権下において行われている和平対話に向けた取り組みついても考察している。それにより、報道されない紛争の一つといえるタイ深南部紛争について包括的な理解を促したい。また、和平対話の成功に重要な役割を担っている市民社会の現状と課題について、特に市民社会の脆弱性がどのように和平対話に影響するか、現地調査を基に検討している。紛争下で最も弱い立場にある人々の声を集約しトラック1の和平対話に届け、政策に盛り込ませる提案をすることが重要であるが、タイ深南部の市民社会団体の多くは分断し対立している状態であり、彼らの能力強化と意識改革が必要といえる。ボトムアップの平和構築活動が何よりも重要であり、市民社会への支援が、時間がかかるけれども持続可能な和平につながるからである。また、同地域における、国際社会が果たしうる役割について、特に信頼醸成活動の重要性についても論じている。
  • 内海 成治
    2016 年 16 巻 p. 71-74
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 内海 成治
    2016 年 16 巻 p. 75-78
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 高橋 真央
    2016 年 16 巻 p. 79-82
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 高橋 真央
    2016 年 16 巻 p. 83-87
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
     すべての子どもが健康に育ち、教育を受ける機会を得て、大人に成長することを私たちは願っている。しかし、グローバルな視点から見ると、子どもの成長と発達の過程が安全に保障されている国や地域は決して多くは無い。紛争、貧困、格差、環境汚染など子どもを取り巻く現実は、常に国際社会の様々な問題に翻弄されている。さらにこれらは、開発途上国に限られた問題だけではなく、日本をはじめとした先進国にも共通している。国際社会では、国連機関、援助機関や各国政府またNGOが連携してこれらの諸問題を解決すべく様々な取り組みを行っている。21世紀の初めに開発途上国の諸課題を解決するために国際社会が取り組むべき共通の開発目標としてまとめられたものがミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)であった。これは、貧困、教育、ジェンダー、保健医療、環境に関して8つの目標と具体的な21のターゲットから設定されていた。ほとんどの目標は1990年を基準年とし、2015年を達成期限としていた。これらの中には、「初等教育の完全普及の達成」や「ジェンダー平等推進と女性の地位向上」や「乳幼児死亡率の削減」といった子どもに関する直接的な目標が教育と保健医療の分野から含まれていた。2015年はこれらの目標の最終年にあたり、その達成度に関して評価が行われた。今、世界の子どもたちはどのような状況にあるのか?私たちが今後取り組むべき課題とは何なのか? これらの問いについて国際社会で掲げた目標を振り返りながら考えていきたい。
  • 日下部 光
    2016 年 16 巻 p. 91-104
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は、サブサハラ・アフリカ(以下、アフリカ)における就学支援を含めた孤児支援の動向を踏まえ、マラウイの中等教育における孤児の就学状況を分析し、孤児の就学を支える仕組みについて考察を深める。マラウイにおいてNGOや政府の就学支援プログラムは、孤児の就学を支える仕組みの重要な部分を担う。特に、NGOによる就学支援は、活発に展開されており、孤児のエンパワーメントや中等教育修了後の支援に重点が置かれ、コミュニティ開発の一環として位置付けられている。これらの支援を通して、NGO関係者と孤児の関係性が構築されており、孤児の日常生活における安心感をもたらしている。しかし一方で、NGOの支援は、対象のコミュニティに限定した支援や女子優先等のアプローチであるため、学校レベルにおいては、就学支援の機会の平等が確保できず、孤児間の格差が生じている。そのため、学校は孤児間の格差を軽減するための取組みを行っている。孤児の就学を支える仕組みの中で、支援提供者が支援を実施する際には、支援団体間の調整による選考基準の調和化やアカウンタビリティーの確保など検討すべき課題がある。
  • 内海 成治
    2016 年 16 巻 p. 107-108
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 山口 洋典
    2016 年 16 巻 p. 109-110
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー
  • 竹端 寛
    2016 年 16 巻 p. 111-112
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小川 寿美子
    2016 年 16 巻 p. 113-114
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
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