映像情報メディア学会誌
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69 巻, 12 号
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論文特集 次世代放送方式に向けた伝送路符号化および伝送方式
巻頭言
特集論文
  • 朝倉 慎悟, 蔀 拓也, 田口 誠, 村山 研一, 土田 健一, 澁谷 一彦
    2015 年 69 巻 12 号 p. J320-J327
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    NHK放送技術研究所では,次世代地上放送において8Kスーパーハイビジョンなど大容量コンテンツのサービスを実現するために,UHF帯を使用する大容量無線伝送技術の研究を進めている.水平偏波と垂直偏波を同時に用いることで伝送容量を単一偏波のみを用いる場合の2倍にすることができる偏波MIMO伝送では,水平偏波と垂直偏波の伝搬路特性の違いによって,ビット誤り率に劣化を生じることが,これまでの実験で確認されている.今回,この劣化を改善するため,周波数インタリーブと水平・垂直の両偏波間で行う偏波間インタリーブを合わせた新たなインタリーブ手法を考案し,その改善効果を計算機シミュレーションによって検証した.さらに,変復調装置に考案した手法を実装し,その効果を室内実験,野外実験によって検証した.
  • 岡野 好伸, 水谷 照一, 高塚 昌宏, 藤澤 伸悟
    2015 年 69 巻 12 号 p. J328-J337
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    ハイビジョン放送(HD-TV)サービスでは,放送衛星(Ku-バンド)の他,地上波(UHF-バンド)も搬送波として利用されている.これらの搬送波は,周波数が大幅に異なるため,既存の自己共振型アンテナでは,一元化が極めて困難である.そこで本論文では,衛星放送受信用アンテナのパラボラ反射器に着目,これをUHF-バンド用アンテナ素子として利用することを試みた.具体的には,パラボラ反射器の収束性能に与える影響を低く抑え,かつUHF-バンドでアンテナ素子として利用可能となるように,スロットを開口した.さらに,衛星放送波と地上波の到来方向の不一致を許容できるように,パラボラ反射器背面に付加素子を付与し,地上波に対して提案アンテナが緩指向性を示すようにする技術の開発を行った.
  • 中澤 進, 長坂 正史, 亀井 雅, 田中 祥次, 斉藤 知弘
    2015 年 69 巻 12 号 p. J338-J343
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    スーパーハイビジョンや立体映像など将来の放送コンテンツはデータ量が増大することが予想されるため,大量のデータからなる信号を放送するための伝送路として,筆者らは,21GHz帯を用いた放送衛星を研究開発している.21GHz帯を用いた放送衛星では,アレー状に並べた給電素子にそれぞれ増幅器を接続し,広帯域で高出力な中継器構成とすることにより,データ量が大きな放送信号を伝送することが可能である.さらに,限られた衛星電力を有効に利用して降雨減衰を補償するため,放射パターンを制御することができるアレー給電反射鏡アンテナを提案している.本報告では,21GHz帯放送衛星搭載アンテナ用として試作したアレー給電部を紹介し,励振位相を制御することで所望の放射パターンを形成した例を示す.また,給電部の制御誤差が放射パターンに与える影響を評価した.
  • 小川 一人, 井上 友幸
    2015 年 69 巻 12 号 p. J344-J354
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    放送サービスやマルチキャストコンテンツ配信サービスのように不特定多数のサービス利用者が存在し,しかもコンテンツが著作権保護やその他の理由で暗号化される場合がある.これらのサービスにおいても,暗号方式の危殆化などの理由により,暗号方式を更新する必要が生じる.ただし,暗号方式を予告なく突然更新することはできない.サービスを享受するための受信機によっては復号モジュールが容易に更新できないためである.したがって,新旧の暗号方式を併用し,古い復号モジュールを持つ受信機であっても,新しい復号モジュールを持つ受信機であってもコンテンツの復元が可能になる期間が,新規の暗号方式への移行の準備として必要になる.新規の暗号方式に完全移行するのは,準備期間の後になる.この準備期間では,新旧2つの暗号方式でそれぞれ暗号化コンテンツを作成して,2つの暗号化コンテンツを伝送する方法も考えられるが,従来の2倍の伝送レートが必要になるため非現実的である.本稿では新旧2つの暗号方式を利用する場合でも伝送レートの増加が極力少なくなる方法を提案する.提案方法では,コンテンツの一部だけを新旧の暗号方式で暗号化して伝送,その他の部分は平文で伝送する.この方法であっても実用的には問題のないレベルの安全性を有している.そして,本方法により,新旧どちらの復号モジュールでもコンテンツの復元が可能であるとともに,伝送レートをそれほど増加させることなく暗号化コンテンツの伝送が可能になる.
特集フィールド論文
  • 長野 翔一, 木町 誠, 山根 啓史
    2015 年 69 巻 12 号 p. J355-J360
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    近年,IPネットワークを活用した高画質ライブ配信の取組みが加速している.過去に行われた実験においては,皆既日食映像,デジタルシネマ映像,高校野球選手権映像など幅広い分野で,実フィールド検証が行われている.しかしながら,従来のフィールド検証は,パケットロス発生を抑止するため,高コストな帯域保証型のIPネットワークの構築が不可欠であり,一般に普及するベストエフォート型のIPネットワークを用いた実験はあまり行われていない.この問題を解決するため,我々は,佐賀バルーンフェスタのライブ伝送システムにおける実フィールド実験において,ベストエフォート型IPネットワークのパケットロスについて分析を行った.分析の結果,ベストエフォート型回線のパケットロスが帯域保証型同様,実用に耐える範囲であったこと,ベストエフォート型回線のパケットロス発生は,主に無記憶性にしたがう傾向が強いことを示した.
特集研究速報
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