非平面へのプロジェクタ投影時に生じる投影面上の画素密度不均一問題に対し,空間光位相変調器を用いて光の波面を制御し,投影面上に画素を再配置することで画素密度を補正する手法を提案する.実験により,画素密度不均一の改善が確認できた.
サイドミラー代替のカメラモニタシステム(CMS)を従来ミラーと併せて実装した実験車両を,運転経験が豊富な23名の学生ドライバが運転し,従来ミラーとの比較およびモニタの配置について主観評価した.約10分間の運転を3試行し,各試行後にCMSと従来ミラーとを,死角の少なさ,距離感,表示の見やすさ,総合評価について比較した.同時に,CMSに対する慣れの評価,および左側モニタをAピラー下部に配した場合とダッシュボード上中央に配した場合との間で比較を行った.結果は,20分程度でCMSの利用に慣れ,総合評価も従来ミラーより有意に高くなった.CMSの優位性には死角の少なさ,表示の見やすさが寄与している.モニタの配置に有意差はなかったが,運転経験が長いドライバほど試行を重ねると従来ミラーに近いAピラー寄りに評価がシフトした.ドライバの内省報告からCMSのモニタ配置およびドライバ受容性について多くの示唆を得た.
近年,プロジェクションマッピングは様々な展示やエンターテインメントに用いられるほどに普及し,自由に把持操作できる物体を対象とした動的プロジェクションマッピングも盛んに研究されている.しかし,従来の動的プロジェクションマッピングでは,高度な映像投影を実現するために,プロジェクタやカメラなどの機材が対象を取り囲むように配置されてきた.そのため,操作するユーザや投映対象自身による遮蔽によって影が生じたり,装置自体が心理的な圧迫感を与えることで,現実感の付与や演出効果の向上を妨げたりすることが新たな制約となってきた.そこで本論文では,体積走査型ディスプレイによって生成した立体像を光源として,再帰透過光学系を用いて投影することで,見えない投影装置によるプロジェクションマッピングを実現する方式を提案する.この方式を実現する試作機を構築し,プロジェクションマッピングへの利用可能性を検討する.
22.2マルチチャンネル(22.2 ch)音響の普及を目的として,家庭用音響機器へ実装可能な22.2 ch音響対応MPEG-4 AACデコーダを開発した.新4K8K衛星放送の22.2 ch音響番組を家庭で楽しむためには,家庭用音響機器にも実装可能な汎用のチップで動作するMPEG-4 AAC音声符号化方式のデコーダライブラリとAACストリームを機器間で伝送する必要がある.そこで汎用チップ上で動作する22.2 ch音響対応MPEG-4 AACデコーダライブラリを開発し,通常の倍の速度でストリームをHDMI伝送し,受信したストリームをデコードするデコーダを試作した.信号発生器からテストストリームをHDMIで伝送し,試作したデコーダで動作することを確認するとともに,MPEG規格で定められたデコーダの仕様を満たすことと,主観評価実験によりデコード音声品質に問題がないことを確認した.
メイクアップ方法のひとつであるアイラインには目を大きく見せる錯視効果があり,それにより女性の魅力を向上させている.アイラインには決まった形状がなく,厚さや長さは自由である.本研究では,アイラインの厚さと錯視量の関係を実験的に検証する.