われわれが漢字を視覚的に認識する場合, 外側の形状すなわち, 輪郭が知覚できれば, かなり正確に漢字を判読できることは, しぼしば経験するところである. 本稿は, 漢字, その輪郭および内部構造をそれぞれ2値図形関数として定義し, 上記の現象について計算機シミュレーションにもとづいた考察を加える. 計算機シミュレーションでは, 円形low-passフィルタリングによるぼけ変換をパラメーターによって制御し, 漢字, その輪郭および内部構造について, それぞれの図形保存率がぼけによってどのように変化するかを調べ, その結果を実験的性質として定式化する. これにもとづいて図形空間における考察を行う. さらに, 53人の被験者に対して2つの漢字を並べたテストパターンを用いた視覚実験を行い, 上記の考察結果と比較しながら, 輪郭の役割を論ずる.
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