IDTV, EDTV受像機では, 動き適応輝度・色差信号分離, 動き適応 “インタレース走査-順次走査” 変換が行われる.これらの特性は, 画質を決める要因となるとともに, 動き検出の精度に大きく左右される.しかし, インタレース走査信号では, 原理的に静止か動きかが識別不能な動きが存在する.そこで従来は, 動きの時空間方向の相関を利用して, 動きと判定する領域を時空間方向に拡大することにより救済していた.しかし, この手法では自ずと限界がある.
一方, 順次走査カメラでは, 上記の動きを検出することが可能である.そこで, 順次走査カメラによるエンコーダにおいて受像機側で検出できない動きを抽出し, その領域に擬似動き信号を視覚的に目立たない形で映像信号に多重する方式を提案する.試作実験の結果, 受像機側での動きの誤判定がほとんどなくなり, 良質な画質を得ることができた.
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