BTN(Bistable Twisted Nematic)液晶セルに於いて双安定なツイスト状態間の遷移の発現に対して、セルパラメータ(セル厚d、セル厚と固有ピッチの比d/P_0、プレティルト角θ_0)、駆動波形、および温度がどの様な影響を与えるかを実験的に検討した。液晶材料には、ZLI-2293(メルク社製)にCB15(BDH製)を適量添加したカイラル・ネマティック液晶を用いた。初期配向状態をツイスト角180°のAnti-Symmetric配向とした。双安定性は、0,5〈d/P_0〈0.75の範囲で生じることを確認した。双安定性をメモリー率を用いて評価した。その結果、メモリー率は、d/P_0が上記の範囲にあるなら、d/P_0の値に依存せず、セル厚dの増大に伴って低下することが判った。メモリー率は、ツイスト角が0°または360°の状態が、ピクセルの周囲およびその内部に存在する配向の不均一な部分から初期状態に緩和する速さによっていることを確認した。温度の上昇に伴いP_0が増大し、ある温度を越えるd/P_0が上述の範囲からはずれて急激にメモリー性が低下することが判った。
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