電流モード回路は, 原理的に低電圧動作が期待でき, アナログ・ディジタル混載LSIの構成要素として注目を集めている.電流モード回路の機能ブロックであるゲート接地電流ミラーは低電圧動作を犠牲にすることなしに精度を改善するが, ゲート接地回路を導入したため寄生極を生じ, 高周波フィルタへの応用を困難にしている.本稿では, 小信号等価回路による解析から, ゲート接地電流ミラーの伝達関数が広帯域の2次低域通過特性で近似でき, その特性がバイアス電流で制御できることを示す.また, ゲート接地電流ミラー自身を2次伝達関数ブロックとした高次低域通過フィルタの設計法を提案する.設計例として, 1.5μmCMOSプロセス, 電源電圧1.5Vを仮定して, 遮断周波数50MHzの6次位相線形低域通過フィルタを設計した.HSPICEシミュレーションによって設計した高次フィルタの性能(消費電力0.91mW, THD(1MHz)0.31%, THD(50MHz)0.88%, 群遅延誤差0.6%)を確認した.
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