[Co/Pd(lnm)]_9および[(Co-20vol%B)/Pd(lnm))]_9の各垂直磁気記録媒体(総厚10〜14nm)について, CoならびにCoB層の膜厚と, 磁気特性ならびに記録再生特性との関係を検討した.垂直磁気異方性K_uは, CoあるいはCoB一層当たりの膜厚(δ_<Co>あるいはδ_<CoB>)が0.2〜0.3nmで極大を示し, その値は5.7x10^6erg/cm^3(Co/Pd)ならびに3.2x10^6erg/cm^3(CoB/Pd)であった.Co/Pd媒体のK_uV/kTの値は200以上(δ_<Co>>0.3nm)の大きな値を示したが、いずれの媒体のK_uV/kTの値も膜厚の低下にともない大きく低下し, K_uの膜厚依存性とは対応しない.低記録密度時の熱安定性を得る上で重要なK_u/2πM^2_Sの値は, 膜厚の低下にともない単調に増加し, 膜厚0.2〜0.3nmで10程度の大きな値を示した.TEM観察ならびに残留保磁力の解析から, CoB/Pd媒体の粒間の交換相互作用は, Co/Pd媒体よりも低いことが明らかとなった.CoB/Pd媒体の雑音信号比S/N_mは, 膜厚の低下にともない単調に増加し, また, 膜厚が薄い領域におけるCoB/Pd媒体のS/N_mはCo/Pd媒体よりも高かった.これらのS/N_mの違いは, 主に粒間の交換相互作用の違いに起因しているものと推察される.
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