筆者らは,動き補償とブロック適応3次元予測に基づいた動画像データの高能率可逆符号化方式を開発している.この方式では,時間方向と空間方向の相関を同時に利用可能な3次元予測器を複数設計し,これらをブロック単位で切り替えることで,画像の局所的な性質に応じた適応予測を実現している.従来は,このブロック適応予測に用いる3次元予測器の設計をフレーム毎に行っていたが,絵柄が空間的な領域によって大きく変化する画像では,それぞれの領域毎に予測器の設計を行った方が有利となる場合があると考えられる.そこで本稿では,画像を空間方向に分割すると共に,時間方向には統合して得られる時空間領域毎に予測器の設計を行うものとし,その適切な条件について考察する.符号化シミュレーションの結果,本手法により符号化レートを0.01-0.06 bits/pel削減できることを確認した.
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