今日,携帯機器,音響・映像機器,医療機器,ロボット等の各種電子システムは高度にディジタル化され,高性能センサを取込むことで更に進化を続けている.一方,微弱アナログ信号を扱うセンサは,多様な使用環境,厳しい小型低コスト要求のため,適合する「センサ用AD変換器」が存在せずディジタル化か進んでいない.そこで,時間分解能型回路によるオールディジタルAD変換器TAD(Time A/D converter)を開発した.本方式は,ディジタル式センサのコア回路として車載を含め既に実用化されている.今後益々,小型,高性能,低コスト,低電力,スマート化の要求が高まり,これらの同時達成が強く求められる.そのため,センサ回路のディジタル化が一層重要となる.本論では,TAD動作原理と構成,試作IC評価結果,センサ適用例,そして,65nm-TADテストICによる「CMOS微細化効果と可能性」を示す.また,時間分解能型回路で可能となる多機能性について紹介する.
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