2000年代に入り,欧米では"all hazards"アプローチによるリスクガバナンスを開始した.日本でも東日本大震災が変化のきっかけに同様のアプローチが採用されるかと思われたが,教訓としての「想定外をなくせ」は,関係者をひたすら特定のワーストケースのシナリオを想定する作業に向かわせている.また,リスクガバナンスという俯瞰的な考え方も欠けたままである.本稿では,"all hazards"アプローチを実現するために,有識者へのアンケートを用いたリスクランドスケープの調査と,より体系的でより客観的なリスクアセスメントの試みを紹介するとともに,そのために必要な安全領域とセキュリティ領域の統合の試みについて述べる.
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