8Kスーパーハイビジョンなどの放送サービスを提供するためのメディアとして,12GHz帯(11.7〜12.75GHz)の右・左旋両円偏波による衛星放送が検討されている.その際,受信アンテナとして右・左旋円偏波共用のパラボラアンテナを用いれば,1台で両偏波の放送サービスを受信できるため,従来と同じスペースに設置可能であるとともに,導入コストの低減も期待できる.一方,両偏波の受信信号を1本の同軸ケーブルで同時に伝送するためには,右旋と左旋とを別々の周波数に変換する必要がある.2015年3月のARIB標準規格STD-B63改定で左旋用のIF周波数が規定されたので,その仕様に従い,右・左旋円偏波共用受信アンテナを量産に適した方法で試作し,電気性能を評価した.測定の結果,12GHz帯の放送帯域において,開口効率74%以上,交さ偏波識別度26dB以上,コンバータ雑音指数1dB以下を得た.
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