本稿では、コンテンツ視聴におけるHDRとSDRの違いが生理・心理状態に及ぼす影響についての評価実験を行ったのでその結果を報告する.58インチの4KTVを用いて、4K-HDR(High dynamic range)と4K-SDR(Standard dynamic range)の輝度レンジの異なるTVコンテンツ視聴を行った.測定項目として、主観評価, 瞬目率,交感神経活動度(LF/HF),NIRS (near infrared spectroscopic topography,近赤外分光法)による脳血液動態を計測した.その結果,コンテンツの種類により効果の内容は異なるものの、4K-HDRの心理評価スコアは4K-SDRのそれと比較して、「臨場感」,「立体感」,「迫力感」,「質感」等の項目で有意に大きかった.また、生理評価においても、コンテンツの種類により中枢神経系の活動を反映するNIRS(O2Hb値)が、4K-HDR映像視聴中に、4K-SDRのそれと比較して有意に大きい場合と小さい場合があり、生体への効果を増幅させる可能性が示唆された.
抄録全体を表示