胃がん検診においては,今後内視鏡診断が主流になるといわれ,胃がん検診の知識・技能を習得できる人材育成が急務となっている.従来の内視鏡教育では,熟練の内科医による個別指導とテキストによる教育が中心であり,個別指導では医学生全員が同じように診断の体験をすることは難しく,学習の機会も少ないといった問題がある.またテキストだけでは診断の実際を体感することもできない.本論文では,内科医の指導のもとに独自のシナリオを作成し,実践的な内視鏡教育を可能とするシミュレーション型教材を開発した.本教材の特徴は,動画像を用いた点であり,これによりテキストによる学習では難しい診断の疑似体験を可能としている.さらに病変を定量的に評価する範囲診断機能を有することも特徴である.本教材を利用するための機材としてはWindows XP,あるいはWindows Vista OSがインストールされているコンピュータが必要で,このコンピュータを用いて本教材はWeb ブラウザ(Microsoft Internet Explorer 6,7)上で利用できる.臨床実習において医学生26名(6年生4名,5年生22名)による本教材の利用調査を行い,アンケート評価から22名(85%)が本教材について高い評価を示し,本教材の有効性を検証できた.
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