ITヘルスケア誌
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9 巻, 2 号
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巻頭言
  • 山下 和彦
    2014 年 9 巻 2 号 p. 1
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/21
    ジャーナル フリー
    第8回 ITヘルスケア学会年次学術大会が東京医療保健大学五反田キャンパスで開催され無事に終了いたしました.400名近い多くの皆様にご参加いただき感謝申し上げます.本学術大会は,在宅医療,認知症,健康支援,医療現場におけるITの活用,ビッグデータをキーワードに構成され,4つのシンポジウムと多くの一般演題でのディスカッションで盛り上がりました.大変興味深いものが多く,質疑応答の時間が短かったことが残念でした.さて,今回の年次学術大会でもスマートフォンやモバイル端末を利用した有益な報告や健康支援の分野では慢性疾患の予防やケアにアプリケーションやセンサ技術を活用し,高い効果が確認されたものなどがありました.これまでは勘と経験に頼っていた運動支援や在宅医療,医療現場が情報技術やセンシング技術を活用することで,高い精度で安全に効果が期待できることがわかりました.これらは学会発表の域にはすでになく,社会でどのように広く活用するかを議論すべき段階にあることは確実です.開発サイドのシーズ,現場のニーズ,それらを効果的に組み合わせた展開などを議論できる場が必要です.そのためにも本論文誌の役割は大きいものがあります.学術大会のご発表だけではなく,それをきちんとまとめ,社会に発信することまで含めて本学会では支援したいと考えております.本学会では論文賞も設置しましたので,多くのご投稿を引き続きお待ちいたしております.ちょうど医療用ソフトウエアの薬事法の変革,2025年に向けた介護保険や地域支援事業などの方策の変更など激変の時期にあります.多くの皆様にアンテナを張っていただき,これからの未来に本当に役に立つ意見交換と活動を行いましょう.2014年7月
原著
  • 一色 和慶, 福村 肇, 田中 紀之, 高田 昌太, 岡田 志麻, 伊坂 忠夫, 牧川 方昭
    2014 年 9 巻 2 号 p. 2-12
    発行日: 2014/09/21
    公開日: 2015/01/21
    ジャーナル フリー
    本研究では若年者と中年者において1日の有酸素運動がその日の睡眠に与える影響について客観的,主観的評価の両面から基礎検討を行った.実験期間は2週間とし,1週目に普段通りの生活を行い(Control),2週目に高運動強度の運動(HIE)と中強度の運動(MIE)の運動介入を行った.また睡眠指標には睡眠時体動量,OSA睡眠調査票を用いた.睡眠時体動量の計測にはアクチグラフを使用した.結果,睡眠体動量において,若年者ではControlと比較してHIEを行った日では体動量が有意に減少し,睡眠の質の改善傾向が認められた.中年者ではいずれの運動条件においても体動量の減少はみられなかった.OSA睡眠調査票においては,若年者ではHIEの運動を行った日のみに各因子の得点および総得点の平均値はControlに比べて高いことが確認された.一方,中年者ではいずれの運動条件でも各因子の得点および総得点の平均値はControlに比べて低いことが確認された.以上のことから,若年者では睡眠の改善には高強度の運動が有効な手段であると考えられる.一方,中年者では高強度,中強度の運動ともに睡眠の質の改善に寄与しなかったが,低い運動強度を設定することによって睡眠の質を改善できる可能性が示唆された.また,中年者では主観や個人に応じた運動強度の設定が睡眠の質を改善するうえで重要な要素であると示唆された.
研究ノート
  • 飯沼 正博, 石井 豊恵, 宮田 充
    2014 年 9 巻 2 号 p. 13-21
    発行日: 2014/09/21
    公開日: 2015/01/21
    ジャーナル フリー
    はじめに 近年、スマートフォンが普及し、外出先でのIT環境の利用が進んでいる。通信回線の高速化、大容量化も進んでいることでより高度な情報活用が可能となった。AED(automated external defibrillator)を用いた除細動が有効であるという報告もある一方、外出先にてAEDを探すということは未だ難しい状況である。こうした状況からAEDをスマートフォンにて検索するシステムを開発した。本システムではスマートフォンに搭載されているGPSを用いており、任意の場所から付近のAEDの場所を地図で示すことが出来、必要に応じてその場所までの道順まで表示することが出来る。今回その有効性について実際にAEDを検索しその時間を測定した。 方法 システム開発はスマートフォン、webサーバーそれぞれで行った。システムはAEDmapと称し、Apple社のサイトを通じて無料で配布しており今回それを用いた。被験者20名(平均38.1、標準偏差8.04、中央値35)に実際に検索してもらいその所要時間を測定した。 結果 AEDの場所をスマートフォン上に地図として表示するまで平均27.7±1.82秒であった。 まとめ 土地勘に依らず30秒以内に最寄りのAEDを検索できた。スマートフォンの普及の状況にあって本システムは有用であると考える。
調査報告
  • 医学生へのeラーニングによる教育の実践とその評価-
    小柏 香穂理, 浜本 義彦, 藤田 悠介, 西川 潤, 寺井 崇二, 坂井田 功
    2014 年 9 巻 2 号 p. 22-33
    発行日: 2014/09/21
    公開日: 2015/01/21
    ジャーナル フリー
    本稿は,2009年にITヘルスケア誌に掲載された「胃がんを対象とした内視鏡教育のための動画像を用いたシミュレーション型教材」の続報で,開発した教材の有効性を学生に対する評価から検証したものである.本研究の目的は,先行論文で開発した内視鏡教育のためのシミュレーション型教材を活用して,医学生を対象とした教育実践とその評価について得られた知見を報告することである.本研究では,医学生82名(6年生31名,5年生51名)を対象に教育実践を行い,学生の学習履歴データを分析・評価した.その結果,主成分分析により教材中の8つの問題が,画像に関係する問題と画像に関係しない問題に類別されることがわかった.また,病変の範囲診断の評価では,「検出率-過検出率」という評価量を使って定量的に評価した結果,NBI(色素)画像が通常画像よりも読影に適していることがわかった.今回の調査結果から得られた知見として,内視鏡教育には,画像に関係する問題と画像に関係しない問題の両方を学習する必要性が明らかにされた.画像に関係する問題は従来のテキストによる学習だけでは限界があり,特に読影能力を高めるためには動画像を活用する問題を効果的に学習することが期待できるeラーニングが内視鏡教育に有効であると考えられる.
編集後記
  • 磯部 陽
    2014 年 9 巻 2 号 p. 34
    発行日: 2014/09/21
    公開日: 2015/01/21
    ジャーナル フリー
    ITヘルスケア学会誌は,諸般の事情により抄録集を除いて3年ぶりの発行となりました.会員数,学会参加者数ともに年々増加している中,待望の学会誌の発行です.本年より初めて編集委員として参加しました.勝手がわからず編集作業をさらに遅らせてしまったのではないかと反省しています.本号には3編の論文が掲載されています.掲載の受理からかなり時間が経過した論文もあります.改めて投稿に感謝申し上げるとともに,研究のさらなるご発展を期待しております.毎年の学術大会の時期に発行される抄録集には,ITヘルスケア関連の実に魅力的な論文が満載されています.研究奨励賞を受賞された発表者の方々だけでなく,多くの学会員に本誌を投稿の場として活用していただけるよう努力していきたいと思います.最近,ヘルスケア領域で活用が期待される斬新なITデバイスが相次いで市場に投入されました.よりスマートな形でのICTのヘルスケアへの貢献,ビッグデータの活用とセキュリティ管理など本学会が取り組むべき課題は多方面に及びます.来年熊本で開催される学術大会のテーマはまさに「スマート&ウェアラブル化するITヘルスケアへの展望」,本学会と本誌の発展を祈りつつ,編集後記とします.2014年9月21日
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