草と緑
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11 巻
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 中山 祐一郎
    2019 年11 巻 p. 4-14
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    シリーズ「管理で動く雑草植生」では,雑草植生が変わる・変えられるということについて,数回に分けて解説する.第1回では,主たる植栽のない立地において,イネ科植物の群落が,刈取りという人為に対してどのように変化するのかという一般性について解説した.まず,生態学的な観点から,雑草群落は「草原」であることを説明した。次に,一般的な遷移の概念と,現在の日本列島で普通にみられる草原は火入れや刈取り,放牧などの人間の影響のもとで成立した二次草原(半自然草原)であることを,放牧地における遷移の調査事例をもとに解説した。そして,攪乱,とくに刈取りにともなって植生がどのように変化するのかについて,採草地・放牧地,河川堤防,水田畦畔および高速道路法面での事例を紹介した。草原にどのような植物が生育しているのかを知り,植物同士の共存や排除のメカニズムを探ることは,河川堤防や水田畦畔,道路法面などの維持管理において大切な意味をもつ.次回以降では,イネ科多年生草本以外の植物も対象にして,植生の変化をひきおこす刈取り以外の要因やそのメカニズムについて解説し,植生を制御する方法を考察する予定である.
  • 伊藤 幹二
    2019 年11 巻 p. 15-27
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    私たち日本人は,リスクとの付き合い方がへたなことも事実ですが,ともすればリスクの優先順位を間違い,常に警戒を怠るべきでない本当に危険なものへの注意がおろそかになる傾向があります.この背景には,雑草のリスク,除草剤に対する無知さによる“とにかく使いたくない”という公的圧力もありますが,原因は雑草のリスクとその防除手段のリスクをごちゃごちゃにしてきたことにあります.これらの反応は,いずれも,雑草と除草剤の本当の姿を知らないことから起きているように思えます.今回の記事は,世に出回っている除草剤が,どれだけの知力,努力,財力を注ぎ込んだ結果の産物か,その実態を知ってもらうことを目的としています.私たちは,除草剤と呼ばれる化学物質と「どういう道を歩んできたのか」を知っていなければ,「今どういう時代を生きているのか」を知ることが出来ず,ましてや「これからどういう道を進んで行けばよいのか」を考える時に困るのではないでしょうか.そこで,あまり知られることがない,化学物質が様々なバリアーを克服して除草剤として認知されるまでの一連の流れを紹介します.このまま除草剤を忌避し雑草の侵略を野放しにするか,それとも除草剤を駆使して戦うかは,読者の皆様全員の意志と能力次第だといえます.
  • 大黒 俊哉
    2019 年11 巻 p. 28-37
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    砂漠化問題の解決のためには,地域の自然的特性に加え,社会経済的な条件に応じた処方箋を考えていく必要がある.本稿では,砂漠化対処を医療行為に例え,持続的土地利用のための適切な砂漠化「診断」,砂漠化土地の「治療」および,砂漠化防止のための「予防」について論じた.砂漠化の「診断」においては,加速的侵食が発生する「しきい値」を明らかにすることが,砂漠化プロセスを解明するうえで不可欠であるばかりでなく,砂漠化防止や持続的な利用を考えるうえでもきわめて重要である.一方,「しきい値」を超えて砂漠化した土地を「治療」するには,緑化や利用制限によって単に量的な回復をはかるだけでなく,飼料価値の高い草地への回復や土壌保全機能の向上が達成できるような,持続的土地利用の再構築を視野に入れた植生回復技術の開発が求められる.また,気候変動性の高い乾燥地では,土地の脆弱性に注目した長期的なリスク管理につながる砂漠化早期警戒システムの確立が,砂漠化を「予防」しつつ持続的な土地利用をはかるうえで重要である.今後は,気候変動に伴う干ばつ頻度の増加等が乾燥地生態系に及ぼす影響について予測した上で,気候変動に適応した土地利用・管理戦略を再構築していくことが期待される.
  • 露﨑 浩
    2019 年11 巻 p. 38-45
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    夏生の一年生草本であるメヒシバ(Digitaria ciliaris (Retz)Koeler)の生育地は多様で,畑やその畦畔,果樹園,芝地,庭や花壇,路傍,そして海岸砂地にも生育する.本稿では,初めに,メヒシバの形態および生態的特性について,成長を追うかたちで記述する。具体的には,小穂の休眠覚醒過程,小穂の死亡,出芽の不斉一性,中胚軸の伸長による出芽,C4型光合成による成長と小穂生産などについて,形態および生態的な特性を記述する.次いで,生育地を異にするメヒシバの個体群について解説する.畑とその畦畔には,形態および生態的形質を遺伝的に異にする個体群が生育している.具体的には,畑の個体群は,畦畔の個体群に比べ,出穂が早く,小さくて休眠性の強い小穂を生産する.これは,畑で行われる耕起や除草が選択圧として働いた結果と考えられる.このような関係は,花壇とその近くの路傍に生育するメヒシバ個体群においても認められる.海岸砂地には,内陸部に生育するメヒシバに比べ大きな小穂をつけるメヒシバ個体群が生育しており,これは海岸砂地の乾燥条件などに適応した結果と推察される.メヒシバは,各々の生育地における攪乱(耕起など),競合,環境圧(乾燥など)に対し適応的な個体群を分化させることで,多様な生育地を獲得し,住みかとしていると考えられる.
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