草と緑
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12 巻
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 伊藤 操子, 伊藤 幹二, 小西 真衣, 佐治 健介
    2020 年12 巻 p. 1-15
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    都市・市街地に存在する個々の公園の緑地は,そのさまざまな機能が公園利用上だけでなく周囲の住環境保全にも重要なものとして,生活者に無くてはならない社会的資産である.しかし,近年は増大する雑草の猛威と非科学的かつ粗放な管理の横行で劣化が進行している.本稿では,まず都市公園の整備実態,公園緑地の機能等について概説し,次いで関東・関西地方を中心に77公園で実施した,雑草の繁茂状況と管理に対する現場調査の結果および調査過程で知り得た関連の事実を紹介した.そして,これを踏まえた公園緑地の雑草管理における課題について考察した.記録された発生雑草種数は333種にわたり多様であったが,広域的に多くの発生が見られた種には植栽の種類による特徴がみられた.公園緑地の主要部分を占める広場芝生(広場施設)と景観芝生(修景施設)では,共通的にスズメナカタビラ,シマスズメノヒエ,メヒシバ,オヒシバ,シロツメクサ,オオバコが主要草種であったが,単立木株元ではこれらの他多年生大型種が,低木植込みでは多年草やつる性雑草が目立った.地域による大きな差異は見られなかったが,整備時期が新しい公園で大型多年草の繁茂が多かった.管理は芝地を中心に年間2~4回の刈取りで行われていたが,調査公園の86%が管理のすべて~一部を外部委託していた.結論として,公園管理責任者の地方公共団体と現場の実施者との乖離という体制的不備と関係者の植物(植栽および雑草)への意識レベルの改善が,雑草を知って管理の適切化を図る以前の課題であることが分かった.
  • 佐治 健介
    2020 年12 巻 p. 16-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    ここ数十年来の雑草繁茂の増大は,種々のインフラ施設における土地利用の阻害,植栽の劣化,生活環境の悪化,生態系サービスの低下などに大きく影響している.今日の日本では,雑草対策のためのツールは防草シートをはじめ各種のマルチ材,除草機器,除草剤など豊富にそろっているものの,これら技術の機能を十分に生かし統合した科学的思考に基づく雑草管理はほとんどなされていない.防草シートによるマルチは,一度の施用により長期にわたって雑草植生を抑えることのできる手段である.本稿では,雑草管理に関わる人々が防草シートの機能を理解してより適所適材的に活かすこと,および関係者に本資材についての知識があらためて共有されることを目的に,活用場面,要求機能や構造,施用方法とその留意点などについて解説し,雑草害の拡大防止に向けて防草シートをどう活かしていくか,今後の展望について考察した.
  • 角 龍市朗, 伊藤 幹二, 伊藤 操子
    2020 年12 巻 p. 27-36
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    私たちの生活空間を潤す緑地は,その維持管理作業から毎年大量の剪定枝や刈草といった 植物発生材を‘みどりの廃棄物’として系外へ排出し続けている.本来,これらは,土壌に還元することによって表土形成を担う重要な機能を有しているが,これを無下にしている現状は低炭素社会へ向けての行動に逆行する.本稿では,炭素循環・環境保全の側面で持続可能な緑地管理技術として,植物発生材を系内でマルチ資材として活用することを提案する.まずは,木本から草本に及ぶ16種類の植物発生材マルチの雑草制御効果を評価し,その効果には遮光・被圧の影響のほかに資材から溶脱する生理的要因があることを見出した.次に植物発生材マルチが地温,土壌水分含量,土壌硬度に及ぼす影響を明確にし,土壌固化を防ぐ機能を認めた.そして有機物の還元について把握し,表土からの有機物の流亡や分解の抑制に寄与していることを確認した.これらの結果に基づき,実際のマルチ資材としての活用を視野に入れた指針ならびに他の事例から導いた留意点を説明した.さらに,植物発生材マルチを15年間活用している集合住宅の事例とその実情を紹介した.本稿の趣旨が緑地に関わる住民,事業者,行政者に共感,実践されることを期待する.
  • 伊藤 幹二
    2020 年12 巻 p. 37-48
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/31
    ジャーナル オープンアクセス
    昨今目にする水害の現場には,例外なく散乱・滞積する土砂と雑草バイオマスごみが残されている.雑草と豪雨災害の一連の事象との関係について,因果関係をはっきりさせ問題点をしっかり把握・共有し,雑草管理の視点から何が提言できるのかが求められる.そこで,雑草が豪雨被害の発生要因にどのように関わっているのかを検証するために,雑草ウオッチャーによる情報収集を行った.回答総数152の53%が豪雨前に目にする雑草の繁茂状況に関するものであった.河床や堤防には必ずと言ってもよいほどに雑草の繁茂がみられ,川幅の2/3や3/4を雑草が占めている光景から.用水・排水・放水路の内側や両サイド,とくにグレーチングで守られた排水溝を埋め尽くす雑草など,それらの機能が大きく損なわれている様子がうかがわれた. 次いで回答総数の32%が豪雨後の雑草ごみに関わるものであった.ここでは掃流雑草木による橋桁崩壊や護岸工作物崩落の助長,雑草ごみによる排水・放水機能の阻害,土砂・雑草バイオマスごみ量と処理費用,雑草ごみの散乱と景観の悪化などが指摘された.この他鉄道,道路,太陽光発電施設では,斜面崩壊,土砂崩れなど斜面雑草が関わる被害が寄せられた.これらの雑草害は,河川管理,用水・排水路管理,斜面植生管理に関わることであるが,雑草問題は1)河川敷・道路敷・鉄道敷における雑草の異常繁茂,2)豪雨による土砂と雑草繁殖体の流出・拡散,3)雑草バイオマスの増加と雑草管理の欠如,4)雑草害の軽視による豪雨被害の助長,5)豪雨後の土砂・雑草ゴミの清掃に整理することができる.以上の結果から,今後,生活圏のインフラ維持の現場で豪雨災害と雑草害の負のスパイラル拡大を止めるには,雑草対策を優先して取り組む必要性が明らかになった.
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