岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
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Review
  • 木村 英二, 勝本 恵一, 足立 礼孝, 及川 里百合
    2026 年78 巻1 号 p. 1-15
    発行日: 2026/05/01
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    全身に張り巡らされる血管系は,周囲組織の成長,分化と密接に連動しながら,その形態と機能を変化させる動的なシステムでもある.とりわけ発生初期における血管形態形成は,内皮細胞の移動,分岐,吻合,退縮といった細胞挙動が時間空間的に統合されることで成立しており,その制御原理を理解することは,再生医学や血管に関連する疾患の理解にも直結する.ゼブラフィッシュは,体外で受精し発生が進行する小型魚類で,受精卵から胚,仔魚期において高い透明性を有し,多産であり,初期発生過程が急速に進行する特性を有している.これらの特性により,初期の血管形成の全過程が生体内で直接観察できる脊椎動物モデルとして独自の地位を確立してきた.本総説では,ゼブラフィッシュ血管研究の中でも,特に初期発生における形態形成に焦点を当て,形態学的記述から分子メカニズム解析,さらには血流や力学的要因を含む統合的な理解に至るまでの流れを概説する.
Original
  • 外舘 玄一朗, 松本 敦, 鳥谷 由貴子, 土屋 繁国, 赤坂 真奈美
    2026 年78 巻1 号 p. 17-26
    発行日: 2026/05/01
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2022 ~ 2024 年に岩手医科大学附属病院産科新生児室の新生児を対象に独自のアルゴリズムを作成し,糖尿病の妊婦から出生した児,後期早産児,在胎不当過小児,在胎不当過大児に対し低血糖スクリーニングを行った.生後1,2,4 時間と4 時間以降は授乳毎に血糖測定した.低血糖時は哺乳を行い,哺乳後も低血糖が続く,低血糖症状が見られる場合はブドウ糖点滴を行う方針とした.対象児は165 名で31 名に低血糖がみられたが,早期哺乳で治療しNICU に搬送された児はいなかった.塩酸リトドリンを投与された妊婦と妊娠前からインスリン投与が必要な糖尿病妊婦から出生した児に低血糖が多かった.アルゴリズムで基準を明確にすることにより,危険因子のある新生児の採血が漏れることなくスクリーニングすることができた.日本で統一したアルゴリズムが作成され,低血糖の見逃しや過剰な介入がない体制の構築が望まれる.
  • 渡辺 祥, 熊谷 基, 田島 吾郎, 丸山 盛貴, 脇本 将寛, 鈴木 健二
    2026 年78 巻1 号 p. 27-37
    発行日: 2026/05/01
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    Analgesia Nociception Index( ANI )は心拍変動に基づき副交感神経活動を反映する指標であり, 全身麻酔中の侵害受容モニタとしての有用性を指摘されている. 本研究では, 下肢手術において全身麻酔下で施行された末梢神経ブロック(PNB)後のANI 上昇によるPNB の成功および覚醒時疼痛の予測についての有用性と, 残存痛に対するANI を指標にしたオピオイド 追加投与の妥当性を評価した. 前向き観察研究として,全身麻酔下で下肢手術を受けた成人30 例に術後PNBを施行した. ANI の最大値が10 以上上昇した場合を有効なPNB と定義し, 上昇が10 未満の場合はプロトコールに基づきフェンタニルを投与した. 覚醒時疼痛はNumeric Rating Scale (NRS) で評価した. 28 名について最終的な解析が成された. PNB 後のANI は有意に上昇した一方, フェンタニル後の変化は乏しかった. ANI の10 以上の上昇はNRS 4 未満を高い陽性的中率(0.91) で予測したが, 感度は限定的(0.42) であった. またANI 単独によるオピオイド調節には限界が示唆された.
  • 伊藤 浩平, 葛西 敏史, 佐々木 章
    2026 年78 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 2026/05/01
    公開日: 2026/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2021 年4 月から2024 年9 月に岩手県立軽米病院を受診した蜂刺症患者275 名(男性184 名,女性91 名)を対象として,性別,年齢,月別分布,既往歴,刺傷部位,刺傷箇所数,蜂の種類,症状と治療について検討した.月毎の受診者数では暖かくなる7 月から9 月が多くなる傾向が認められた.蜂刺症患者275 名中,ショックをきたした重症例が2 名,全身性の強い掻痒感や顔面腫脹を呈する中等症例が23 名,刺入部周囲の発赤や腫脹など軽症例が250 名であった.治療は,軽症例には軟膏塗布や内服,重症例には全員にアドレナリンの投与を行ったが,中等症患者ではアドレナリン投与が23 名中6 名に留 まっており,アドレナリン投与を控える傾向が認められた.蜂刺症治療において,アナフィラキシーガイドラインの遵守の徹底とアドレナリン適正使用についての教育と啓発が必要である.
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