岩手医科大学歯学雑誌
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11 巻, 2 号
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原著
  • 宮澤 秋裕
    1986 年 11 巻 2 号 p. 73-97
    発行日: 1986/07/15
    公開日: 2017/11/18
    ジャーナル フリー

    チタン合金(Ti), アルミナスセラミックコーティングチタン合金(TiAl)およびバイオセラムテーパーピン: 酸化アルミニウム(Bio)製インブラントピンを用いて, ビーグル犬に実験的歯内骨内インプラントを施し, 4, 12, 24週後の病理組織所見を観察した。結果は次の通りである。

    1)4週後では, TiピンとBioピン周囲に薄くて密な線維性結合組織層が接し, その外側は肉芽組織がとり囲んでいた。また, 少量の新生骨組織が, 部分的にBioピンに接して認められた。しかしながら, TiAl ピンの周囲には大部分の例で化膿性炎症が観察された。

    2)12および24週後では, TiピンとBioピン周囲の線維性結合組織層は4週間経過後よりも密になっており, Bioピン周囲の骨の新生も明瞭になっていた。一方, TiAlピン周囲には膿瘍を伴った著しい化膿性炎症が見られ, この化膿性炎症は, アルミナスセラミックの接着剤によって惹起されると考えられた。

    3)TiピンとBioピンの2, 3の例では, 根尖部の歯周組織に軽度のリンパ球浸潤をみたが, その原因は明らかでなかった。

    4)TiピンおよびBioピンの太さと病理組織的変化の間には相関性を見出すことはできなかった。

  • 武田 泰典, 中屋敷 修, 八幡 ちか子, 福田 容子
    1986 年 11 巻 2 号 p. 98-103
    発行日: 1986/07/15
    公開日: 2017/11/18
    ジャーナル フリー

    ヒト剖検例127例より得た顎下腺を用いて導管系における石灰化物の出現状況を組織学的に検索した。その結果, 7例に導管腔内石灰化物がみられた。この導管腔内石灰化物は高齢者に多くみられる傾向にあったが, 性差はなかった。また, 出現部位を組織学的構成部位別にみると, 線条部導管で最も多く認められた。一方, 導管腔外石灰化物は3例にみられたが, これら3症例の年齢はいずれも50歳代以上であった。 この導管腔外石灰化物も線条部導管に最も多くみられる傾向にあった。

    以上の様な導管系の小石灰化物の出現状況は唾石のそれとは大きく異なっていた。したがって, これら小石灰化物は唾石形成と直接関連はないものと考えられた。

  • 野坂 久美子, 伊藤 雅子, 小野 玲子 , 守口 修, 山田 聖弥, 山崎 勝之, 印南 洋伸, 甘利 英一
    1986 年 11 巻 2 号 p. 104-120
    発行日: 1986/07/15
    公開日: 2017/11/18
    ジャーナル フリー

    昭和55年から60年までの6年間に岩手医科大学歯学部小児歯科外来を, 外傷を主訴として来院した小児255名を対象に, 外傷の状態ならびにその処置内容について検索した結果, 次のような結果が得られた。

    なお, 調査は乳歯, 永久歯, 軟組織のみ, その他の4つの外傷に区分して行った。これらの中で, 乳歯の外傷が最も多かった。また, 性差では男女比2:1で男児の外傷が, 歯種別では上顎(乳)中切歯の外傷がそれぞれ最も多かった。外傷の好発年齢は乳歯で1, 2歳代, 永久歯で8歳代であった。

    外傷の状態は, 乳歯では不完全脱臼, 永久歯では歯冠破折が最も多かった。1人当たりの外傷歯数は1歯が最も多かった。受傷から来院までの期間は, 乳歯と軟組織のみの外傷では1日目が最も多く, 永久歯では1日目と当日が同数であった。不完全脱臼歯に対する処置は整復固定が最も多いが, それらの半数に感染根管治療がなされた。

    また, 乳歯では動揺度のいかんにかかわらず, その1/3に感染根管治療が行われたが, 永久歯ではわずか13%であった。全体の外傷状態に対する処置内容から, 乳歯の外傷では永久歯に比べて歯髄の損傷が大きかったため, どの外傷状態でも経過観察が重要と思われた。また, 乳歯の歯冠の変色は受傷から約1ヵ月後に認められたため, これが歯髄死の判定の目安になるものと思われた。

  • (1) 癒合形態とその後継永久歯との関係について
    印南 洋伸, 袖井 文人, 野坂 久美子, 甘利 英一
    1986 年 11 巻 2 号 p. 121-133
    発行日: 1986/07/15
    公開日: 2017/11/18
    ジャーナル フリー

    昭和41年から58年までに岩手医科大学歯学部小児歯科を受診した患児, ならびに昭和57年の盛岡布における3歳児歯科健診を受診した幼児3043人 (男1553人, 女1490人)の中から, 145人の乳歯癒合歯, ならびに乳歯先天性欠如歯について, 病態写真, 石膏模型, X線写真を用いて検討を行った結果, つぎのような結論を得た。

    1)乳歯癒合歯の発現頻度は, 診査総数の4.53%であった。また, 性差はみられなかった。

    2)乳歯癒合歯の発現部位は前歯部のみで, その91.2%が下顎に発現したが, 左右差はみられなかった。

    3)歯種別ではAB癒合歯69人, BC癒合歯64人と多く, AB癒合歯は12人と少なかった。また, AB癒合歯は男児に有意に多く発現していた。

    4)両側性の発現例は女児に多かった。

    5)癒合形態を完全型と不完全型に分けると, その発現頻度には差がなかった。また, 歯冠外形と歯髄腔との関係を4型に分類したところ, 完全型64歯は全て1型 (髄室, 根管がともに1つのもの) を示し, 不完全型80歯中47歯がIV型 (髄室, 根管ともに2分するもの) を示した。

    6)後継永久歯は, 癒合歯を有する全症例の53.7%において欠如を示した。その内訳はBC癒合歯39.6%AB癒合歯7.4%, AB癒合歯6.7%であった。

    7)乳歯先天性欠如歯は7人 (0.23%) に発現し, 癒合歯に比較して非常に低い値であった。しかも, その後継永久歯は全例において欠如, または癒合を示していた。

  • 小川 光一, 石川 富美子, 戸塚 盛雄, 一戸 孝七
    1986 年 11 巻 2 号 p. 134-146
    発行日: 1986/07/15
    公開日: 2017/11/18
    ジャーナル フリー

    岩手医科大学歯学部附属病院の新患数の将来予測をする目的で, 昭和41年5月より60年6月までの19年2ヵ月間における月別1日平均予診新患登録者数を調査し, 季節変動と長期変動を検討した。

    季節変動の評価に長期変動が混入するのを避けるためPersonsの連環比率法を用い季節指数を求めると, 1月と3月に新患数のピークがあった。地域別では, 盛岡市内と県東部・沿岸地域の季節変動はなく, それらの周辺では1月と3月に, その遠方地域では8月にも新患数のピークがあった。また, 私費負担, 矯正科, 小児歯科の新患数は1月, 3月と8月に多く, 老人医療の新患数は4月と6月に多かった。

    季節変動を考慮すると, 医療保険制度改正による新患数への影響は少なかった。年次別地域別新患数において, 地域によって本院での新患数の一定化する年次が異なっていた。近い未来における新患総数の増減は少ないと予想された。

症例報告
例会記事
岩手医科大学歯学会第21回例会抄録
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