歯肉や口腔粘膜の創傷に対する刺激を物理的に遮断し, あわせて薬剤の滞留性を向上させることを目的として, 新しく開発された接着性医療用品SI-3906の有効性および有用性について臨床的に検索した。被験者は, 岩手医科大学歯学部付属病院第2保存科を訪れた患者のうち, 口内炎8例, 知覚過敏症8例, スケーリング処置6例, 歯周外科処置7例, その他の損傷6例の計35例である。その結果は次の通りである。
1. SI-3906の平均付着時間は, 最短はその他の損傷例の3時間43分, 最長はスケーリング処置例の5時間38分であり, 全症例の平均付着時間は4時間56分であった。
2. SI-3906を単独で適用した際の平均付着時間は4時間27分で, 一方薬剤と併用した際は5時間29分であり, 薬剤併用例で1時間程長かった。適用部位別平均付着時間は, 歯肉6時間強, 舌3時間15分, 口唇3時間弱であった。
3. 有効性は, 処置日では28例中26例(93%), 再診日では35例中全例に認められた。
4. 副作用はいずれの症例においても認められなかった。
以上の結果より, SI-3906は適用した35例中34例(97%)に有用性があると判定された。
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