α溶血を示し, グラム陽性球菌で, オプトヒンディスク(5μg)に感受性を示した433株の分離菌株を被検菌とし, オプトヒン感受性試験によるStreptococcus pneumoniae同定法について検討した。被検菌のうち胆汁で溶解した株については生物学的性状, 血清学的検査から, S. pneumoniae と同定し, オプトヒンに対する最小発育阻止濃度を測定した。
その結果, 胆汁で溶解したものは, 433株のうち398株, 非溶解のものは35株であった。この35株の内訳はS. sanguis Ⅰ 2株, S. mutans 1株, S. salivarius 2株, S. mitis 28株, S. anginosus 2株であった。胆汁溶解のS. pneumoniae398株のうち67株(16.8%)がオプトヒンに耐性(≧5μg/ml)で, そのMICは6.25~>200μg/mlに分布していた。
また, オプトヒン耐性S. pneumoniaeはmucoid型colonyにはみられず, smoothあるいはrough型colonyに多く認めた。さらに, S. pneumoniae398株はpenicillin, cephem系薬剤に対して感受性を示したが, macrolide, lincomycin, tetracycline系薬剤には耐性株も多く, オプトヒン感受性, 耐性別に31薬剤に対する感受性を検討した結果, 後者は前者に比して耐性の傾向を認めた。
これらのことから, S. pneumoniaeをオプトヒン感受性試験のみで同定することは十分とはいえず, S. pneumoniaeに特異的な胆汁溶解性による同定を重視する必要性が示唆された。
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