岩手医科大学歯学雑誌
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15 巻, 3 号
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総説
原著
  • 佐々木 実, 金子 克
    1990 年 15 巻 3 号 p. 165-169
    発行日: 1990/12/30
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    Staphylococcus epidermidisの産生するslime中のprotease(slime protease)が, Tリンパ球から産生されるinterleukin-3(IL-3)およびmacrophage activating factor(MAF)産生におよぼす影響について検討した。Slime protease処理(25, 50および100μg/ml)によりTリンパ球からのIL-3産生は, 用量依存的に抑制され, 3H-チミジンのマウス骨髄細胞へのとり込みの値は低下した。また, MAF産生もslime proteaseにより抑制されたが, マクロファージ培養上清の残存グルコース量は, 用量依存的に増加した。

    以上の結果から, slime proteaseはTリンパ球が活性化されてできるリンホカインであるIL-3およびMAFの産生を抑制し, 生体防御能を阻害してS. epidermidisの重要な病原因子の一つとなっているものと考えられる。

  • 本田 寿子, 金子 克, 小川 英治, 高砂子 祐平, 和田 博泰, 佐藤 正明, 今野 正躬, 斉藤 勝明, 村田 政美
    1990 年 15 巻 3 号 p. 170-179
    発行日: 1990/12/30
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    1979年から1989年までの11年間に, 岩手県内の7医療機関において, 種々の臨床材料から分離したC群レンサ球菌とG群レンサ球菌について, 臨床材料別, 年齢別, そして菌種を検討した。また, 分離株についてpenicillin(PCG), ampicillin(ABPC), cephaloridine(CER), cephalexin(CEX), chloramphenicol(CP), tetracycline(TC), erythromycin(EM), oleandomycin(OL)とlincomycin(LCM)の合計9薬剤に対する感受性試験を行った。C群レンサ球菌45株とG群レンサ球菌385株は, 主に咽頭から分離した。年齢別では学齢期層からの分離が最も多く, C群レンサ球菌は45株中24株(53.5%), G群レンサ球菌は385株中344株(89.4%)であった。C群レンサ球菌の菌種はStreptcoccus equi subsp. equi 2株, Streptcoccus equi subsp. zooepidemicus 4株, Streptcoccus dysgalactiae 35株とStreptcoccus anginosus 4株であった。また, G群レンサ球菌385株はS. dysgalactiae 343株, S. anginosus 38株とStreptcoccus canis 4株であった。分離株はPCG, ABPC, CERとCEXに対して優れた感受性を示した。TC耐性菌はC群にはなくG群に7株あり, 1979年から1988年の間に1株ずつ分離した。また, EM 耐性菌はC群レンサ球菌に2株, G群レンサ球菌に4株あった。OL耐性菌はC群G群レンサ球菌に2 株ずつあり, LCM耐性菌はC群レンサ球菌に2株, G群レンサ球菌に3株あった。これらEM, OL, LCMの各耐性菌は1979年から1983年でみられ1984年以降はみられなかった。

  • 松丸 健三郎, 梁川 輝行, 桜田 光男, 高谷 直伸, 横藤 英夫, 菅原 教修
    1990 年 15 巻 3 号 p. 180-189
    発行日: 1990/12/30
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    本研究は, 40~78歳の302名の歯周疾患患者記録を調査し, 患者の全身疾患の頻度, 種類と年齢群(40~49, 50~59, 60~78)との関係を明らかにするためにおこなわれ, 以下の結果を得た。現疾患では, 循環器系(特に高血圧)はどの年齢群でももっとも多くみとめられ, 既往疾患では, 消化器系が, 40歳代と60歳以上で, 泌尿・生殖器系が50歳代でもっとも多くみとめられた。現疾患と既往疾患とをまとめてみると, 循環器系と消化器系はどの年齢群でも高率に, 一方泌尿・生殖器系疾患は50歳代で, 呼吸器系は60歳以上でそれぞれ高率にみとめられた。現疾患を有する患者数は加齢的に増加し, 全身疾患の既往歴もなく, 現在も罹患のみられない患者数は, 加齢的に減少していた。2つ以上の全身疾患(現疾患および既往疾患を含む)に罹患する者の割合は加齢的に増加していた。

  • 外川 正, 松嶋 正造, 吉田 広海, 田中 健一, 山田 吾郎, 橘 雅洋, 桐田 淳
    1990 年 15 巻 3 号 p. 190-196
    発行日: 1990/12/30
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    本研究は歯科用エアーコンプレッサーから排出する圧縮空気中の細菌の混在と細菌の混入した経路あるいは増殖の場について考察することを目的として行った。歯科診療所7ヵ所を対象に, 各歯科診療所のスリーウェイシリンジから放出する圧縮空気中の細菌数を算出した。さらに各歯科診療所のエアーコンプレッサーの条件を変えて, 細菌数を算出した。また, セントラルバキュームの排気の条件を変えて, 機械室内の浮遊細菌数を算出した。

    その結果, 歯科用エアーコンプレッサーから排出する圧縮空気中には細菌が混在していることが明らかになった。これら細菌の発生源はセントラルバキュームから排出する空気と細菌の増殖の場となったエアーコンプレッサー内部の水分であった。これらのことから圧縮空気中の細菌数を減少させるためには, セントラルバキュームの排気とエアーコンプレッサーの吸気を屋外に設置すること, さらにエアーコンプレッサーの水抜きを頻繁に行うとともに, 機械が作動していないときには, 機械内部を乾燥状態に保つために圧縮空気を抜いておく必要がある。

  • 田近 志保子, 金子 克, 高砂子 祐平
    1990 年 15 巻 3 号 p. 197-204
    発行日: 1990/12/30
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    1985年1月から1990年3月まで6年間にわたり, 慢性疾患児・虚弱児収容施設の小・中学生を対象として, 毎月一回, 咽頭培養を行いA群レンサ球菌の分離を行った。A群レンサ球菌(M4, M6, M12型)分離陽性者について, IgM, IgG抗体をenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)により測定して次の結果を得た。

    1)ELISAによるA群レンサ球菌の抗体測定で, M型抗原量は, 0.5~1.0μg/mlの範囲内では抗体価は最高値を示し, IgM, IgGともに型特異的であった。

    2)同一症例で, M4, M6, M12型抗体価をT型抗体価と比較すると, M型抗体価がIgM, IgGともに8倍高かった。

    3)T型抗体が消失した例について, M型抗体を測定するとM型抗体は確認でき, 持続期間の長いことがわかった。

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