顔面頭蓋計測の水平基準平面として, 眼耳平面が用いられる。歯科医学では, 広く咬合関係を知るために臨床上, 咬合平面を使用する場合がある。この咬合平面は, 有歯顎について研究がなされたが, 主に永久歯列を対象としたものが大部分であり, 乳歯列や混合歯列については, 咬合平面の決定が困難な場合が多いことから報告はあまりない。そこで各歯列期における, 咬合平面が眼耳平面および Camper 氏平面との間にいかなる関係を有するかを比較検討するため, 上顎模型の基底面に眼耳平面と Camper 氏平面を表わし, 下顎模型に咬合平面をあらわし, 中心咬合位の状態で接着固定した規格模型を正中矢状断面と前額断面を作成し, 規格撮影された写真上で計測して次の結果を得た。
1)正中矢状断面において眼耳平面に対する咬合平面のなす角度は, 乳歯列, 混合歯列, 永久歯列と年齢増加に伴いそれぞれ, 15.85°, 12.28°, 7.73°と傾斜角度が, 約4~5°減少していく, 一方, 眼耳平面に対する Camper 氏平面のなす角度は逆に各歯列期において, 3.67°, 4.58°, 5.43°と約1°づつ増加していく, したがって年齢増加と共に咬合平面と Camper 氏平面との間の平行性が増していく。
2)前額断面において左右的傾きをみると, 咬合平面は眼耳平面および Camper 氏平面に対してなす角度は, 各歯列群ともほとんど0°とみなしてよかった。
3)乳歯列及び混合歯列においては, 咬合平面と Camper 氏平面との相関性は低い。しかし, 永久歯列においては, 咬合平面と Camper 氏平面との間には高い相関性がみいだせた。
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