岩手医科大学歯学雑誌
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40 巻, 3 号
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研究
  • 高橋 美香子, 石川 義人, 加藤 秀昭, 齋藤 千尋, 松本 誠, 千葉 卓, 中里 紘
    原稿種別: 本文
    2015 年 40 巻 3 号 p. 101-114
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー
    岩手県立磐井病院歯科口腔外科は2007年に開設され、2008年6月から入院患者の受け入れを開始した。今回我々は、当科を受診する患者の実態を把握することを目的として、入院患者について臨床的検討を行ったのでその概要を報告する。調査の対象は2009年4月から2014年3月の5年間に入院した患者で、年度別入院患者数と性別、年齢分布、居住地域別入院患者数、疾患の詳細、手術時の管理法と在院日数、受診経路について調査を行った。5年間の入院患者数は406名で、男性が199名、女性が207名であった。年齢は3歳から94歳までで、20歳代が80名と最も多かったが、70歳以上の患者も80名と多くみられた。居住地域別入院患者数は、岩手県内の合計が389名(95.8%)、そのうち両磐地域が342名(84.2%)、宮城県は14名(3.5%)で、その他の県が3名であった。疾患別患者数は、歯の疾患が226名で半数以上を占め、嚢胞性疾患67名、炎症性疾患53名、腫瘍性疾患36名などであった。手術時の管理法は、全身麻酔が314例、局所麻酔が38例で、手術は行わず、消炎、栄養管理、止血や経過観察を行った症例が54例であった。在院日数は1日から93日で、平均8.6日であった。受診経路は、院外紹介が372名(91.6%)で、そのうち歯科からの紹介が351名(86.5%)、医科からの紹介が21名(5.2%)で、院内紹介は13名(3.2%)、紹介なしは21名(5.2%)であった。当科の紹介患者の状況から、当科に求められている役割について考えると、全身疾患を有する患者の抜歯、埋伏歯の抜去やその他の口腔外科的疾患の精査加療、歯性感染症に対する消炎処置や入院下での経過観察など、口腔外科としての役割と、歯科として全身疾患を有している患者の一般歯科治療を行うことであると推測された。当科周辺では高齢化が加速していることを考慮すると、今後は、口腔外科疾患の診療とともに、有病者、高齢者に対する一般歯科診療においても、病院歯科の利点を積極的に活用した診療を行っていくことがますます重要になると考えられた。
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