岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
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原著
  • 遠藤 千恵, 下山 佑, 木村 重信, 四戸 豊, 坂本 望, 佐藤 雅仁, 佐々木 実, 城 茂治, 佐藤 健一
    43 巻 (2018) 1 号 p. 1-11
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    目的:術前の口腔ケアが術後感染症のリスクを軽減するとの報告はあるが,その機序の一つと考えられる全身麻酔時の経口挿管チューブへの口腔細菌の付着については明らかにされていない.本研究では,術後に抜管した気管チューブに付着した総細菌数および口腔レンサ球菌数を測定し,口腔ケアとの関連性について検討を行った.

    材料と方法:全身麻酔下で手術を実施した患者のうち,口腔ケアを希望しなかった群(以下,口腔ケア非実施群とする; NOC 群)33 名と口腔ケアを希望した群(以下,口腔ケア実施群とする;OC 群) 20 名より,術後に抜管した気管チューブを回収した.OC 群では,手術1週間前と手術前日に歯科衛生士による専門的機械的歯面清掃(PMTC)を行った.また,すべての患者より,手術当日の朝に唾液を採取した.抜管したチューブを滅菌生理食塩水に浸漬,撹拌し,付着細菌を回収した.回収した細菌を血液寒天培地およびMitis-salivarius(MS)寒天培地を用いて37℃,嫌気的条件下で48 時間培養し,付着した総細菌数および口腔レンサ球菌数を計測した.また,in vitro の実験として7種の口腔レンサ球菌実験室株を用いて,気管チューブに対する付着能を検討した.

    結果:抜管した気管チューブには103 CFU 以上の細菌が付着していること,またレンサ球菌属が優勢であることが明らかとなった.また,OC 群では,NOC 群と比較してチューブに付着した全細菌数および口腔レンサ球菌数のいずれも有意に少なかった.一方,唾液中の総細菌数・口腔レンサ球菌数とチューブに付着した細菌数の間には,有意な相関関係は認められなかったことから,主にプラーク中のレンサ球菌が気管チューブに付着する可能性が示唆された.さらにin vitro での付着能の実験では,気管チューブへのミュータンスレンサ球菌の付着能が有意に高いことが明らかとなった.

    結論:経口挿管した気管チューブには,口腔レンサ球菌,特にミュータンスレンサ球菌が付着すること,また口腔ケアによりその付着を抑制できることが強く示唆された.

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  • 村上 智彦
    43 巻 (2018) 1 号 p. 12-23
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    義歯安定剤の使用により義歯の維持,安定や咀嚼機能が改善することはこれまで報告されているが,義歯安定剤が口腔微生物に及ぼす影響に関する報告は少ない.そこで本研究は,義歯安定剤使用時のPorphyromonas gingivalis の初期付着率,付着菌数の経時的変化,付着状態(SEM 画像),上皮細胞破壊因子であるgingipain 活性を検索し,義歯安定剤が口腔微生物に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.加熱重合型義歯床用アクリルレジンブロックを作製し,各種義歯安定剤(クリームタイプ,パウダータイプ,クッションタイプ)を塗布したものを実験群,未処理のものをコントロールとした.菌懸濁液(1.0 × 109 CFU/ml)を各試料に滴下し,4 ℃で2時間培養後,義歯安定剤に付着した菌数を菌種特異的定量PCR 法にて定量し,初期付着率を算出した.また,付着菌数の経時的変化を測定するために,菌を初期付着させた各試料をABCM 液体培地に浸漬し37 ℃で1,2,3,6,12,24 時間培養し各培養時間における菌数を定量し,付着状態をSEM 画像にて確認した.各培養時間におけるgingipain 活性は蛍光測定により求めた. クリームタイプ,パウダータイプの初期付着率は,それぞれ59.7 % および70.0 % でクッションタイ プ(4.38 %),コントロール(5.75 %)より高値を示した.また実験群,コントロールともに,培養12 時間までは経時的に菌数は増殖したが,培養12 時間以降では増殖率の減少を認めた.SEM 画像により試料表層を確認したところ,クリームタイプとパウダータイプにおいて菌体周囲にバイオフィルム形成を認めた.Arg-gingipain 活性は実験群において培養1時間から有意差を認め,培養6時間以降で顕著に高値を示した.これらの結果から,義歯安定剤の使用はP. gingivalis の病原性を高める可能性が示唆された.

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  • 佐藤 宏明
    43 巻 (2018) 1 号 p. 24-35
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    2002 年に発表されたMcGill consensus では「下顎無歯顎症例の補綴治療における第一選択肢は2本のインプラント体で支持するインプラントオーバーデンチャー(2-IOD)である」と提言している.それから現在に至るまで,2-IOD におけるインプラント体の生存率やインプラント体にかかる応力解析などに関する研究が進められてきた.しかし,2-IOD の義歯床形態,人工歯の数,咬合様式,アタッチメントの選択など補綴装置の設計指針は確立されていない.本研究では,2-IOD に設置されるロケーターアタッチメントに着目し,維持力の違いが顎堤粘膜に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,無歯顎模型による実験を行ったので報告する.

    下顎無歯顎模型の両側犬歯相当部に,2本のインプラント体(Φ3.75 mm × 11.5 mm ,Bränemark System® Mk Ⅲ Groovy RP,Nobel Biocare, Kloten, Switzerland)を埋入後,2-IOD を製作した.圧力測定のために,小型圧力センサを6ヵ所(両側小臼歯部頬側,両側頬棚部,両側大臼歯部舌側)に設置した.荷重は,全部床義歯(CD)装着者の咀嚼力を参考に50 N とした.測定は,維持力の異なる3種類のリテンションディスク(0.7 kg,1.4 kg,2.3 kg)を用いて行った.対照として実験用CD を製作し,同様の実験を行った.

    両側荷重条件において,全ての測定部位で2-IOD のほうがCD よりも粘膜負担圧が軽減された.片側荷重条件においても,義歯の支持に関与する小臼歯部頬側と頬棚部において,2-IOD のほうがCD よりも粘膜負担圧が軽減された.

    本研究から,CD と2-IOD にかかる咬合力が同じ場合は,ロケーターアタッチメントが顎堤粘膜への負担を軽減させることが明らかとなった.

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  • 中里 文香
    43 巻 (2018) 1 号 p. 36-47
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    認知症治療は,原因を根治できるものが未だ存在せず,あくまで進行を抑える対症療法が主流となっている.そのため,認知症を発症する以前の認知症対策が重要課題となっている.近年,脳血流量の増減が認知機能などの脳機能に影響を与えることが明らかとされてきている.本研究では高齢者の咬合力と脳血流量との関係に着目し,無歯顎高齢者に対して義歯による補綴治療を行い,咬合力の上昇による脳活動の変化を明らかにすることを目的に検討を行った. 対象は,上下顎全部床義歯の新製作を主訴に岩手医科大学歯科医療センターを受診した,65 歳以上の無歯顎高齢者とした.補綴専門医が義歯診察・検査法を用いて初診時装着義歯(旧義歯)の診査を行った結果,要再製と診断された義歯を装着した17 名の対象者を被験者とし,従来法にて上下顎全部床義歯(新義歯)を製作した.口腔機能評価は,咬合力を測定し,脳活動評価は7 T functional Magnetic Resonance Imaging(f MRI)を用い咀嚼運動(chewing)と安静を交互に3 回繰り返すブロックデザインで撮像を行った.評価時期は旧義歯装着時(Old Dentures: OD)と新義歯装着後(New Dentures: ND)とした. 咬合力は,OD と比較しND において有意な上昇を求めた.脳活動は,OD と比較しND において側頭極,下頭頂小葉,下前頭回,島,中前頭回,下側頭回,海馬,楔前部,中側頭回,小脳に有意な上昇が認められた.また,咬合力の増加と相関して,小脳,上側頭回,中側頭回,上前頭回,下前頭回,島,一次運動野,一次体性感覚野,被殻,視床,海馬傍回に脳活動の上昇が認められた. 無歯顎高齢者に対し義歯治療による咬合力の上昇が認められた場合,認知機能や記憶に関与する前頭葉ならびに海馬傍回の脳活動が上昇し,前頭葉ならびに海馬傍回の機能の維持に関与している可能性が示唆された.

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  • 中里 茉那美, 下山 佑, 根本 優子, 佐々木 大輔, 根本 孝幸, 佐々木 実, 八重柏 隆
    43 巻 (2018) 1 号 p. 48-60
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    歯周炎は2型糖尿病のリスクファクターとなることが示唆されているものの,その分子機構についてはいまだ明らかにはされていない.インクレチン [GLP-1(glucagon-like peptide-1)および GIP(gastric inhibitory polypeptide/glucose dependent insulinotropic polypeptide)]は食物摂取後のインスリン分泌を促進する生理活性ペプチドであるが,その後速やかにジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)によりN 末端から2番目のアラニンと3番目のグルタミン酸の間が切断され,不活性型となる.最近の研究から,ヒトの慢性歯周炎の主要原因細菌であるPorphyromonas gingivalis がDPP4 を保有していることが明らかにされている.原核細胞である細菌のDPP4 は真核細胞であるヒトのDPP4 と相同性を持つことから,歯周病原細菌の感染は,その保有するDPP4 のインクレチン切断作用を介して2型糖尿病の病態形成/進行につながる可能性が推察される.

    そこで本研究では,歯周病原細菌の菌体結合型DPP4 の発現とそのGLP-1 切断能について検討した.その結果,今回調べた6菌種の歯周病原細菌のうち,P. gingivalis,Tannerella forsythia およびPrevotella intermedia が菌体結合型DPP4 を発現しており,それらはGLP-1 切断・不活性化能を示すことが明らかとなった.また,リコンビナント体を用いたT. forsythia DPP4(TfDPP4)の検討から,TfDPP4 はP. gingivalis DPP4(PgDPP4)と相同性が高く,分子量,等電点,至適pH,塩濃度依存性といった分子プロフィールが類似することが明らかとなった. 以上の結果から,P. gingivalis を含む複数の歯周病原細菌が菌体結合型のDPP4 を発現しており,そのDPP4 は,ヒトのDPP4 同様,インクレチンの切断・不活化に機能し得ることが明らかとなった.それゆえ,歯周病原細菌感染である歯周炎は2型糖尿病の重要なリスクファクターとなることが示唆された.

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  • Maiko Maiko OHTA, Akira NEMOTO, Naoyuki CHOSA, Seiko KYAKUMOTO, Seiji ...
    43 巻 (2018) 1 号 p. 61-73
    公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー

    Sensory neurons in the periodontal ligament (PDL) transmit the impulses, which are generated by the mechanical stimulation of the tooth, into the trigeminal ganglion, resulting in the excitement of the nucleus ventralis posteromedialis of the thalamus. When sensory neurons are injured, the neurites become atrophied and degenerated. Nerve growth factor (NGF) belonging to neurotrophic factors plays important roles in neurite extension and regeneration of injured sensory neurons. We evaluated how the major component of the outer membrane of gram-negative bacteria, lipopolysaccharide (LPS), affected transforming growth factor-beta1 (TGF- β1)-induced NGF expression in rat PDL-derived fibroblasts SCDC2 cells. qRT-PCR and ELISA analyses showed that LPS suppressed TGF- β1-induced NGF synthesis through the activation of Toll-like receptor 4 (TLR4). In addition, inhibitor of κB (I- κB) kinase-2 (IKK-2) inhibitor, TPCA-1, abrogated LPSinduced suppression of TGF- β1-promoted NGF expression. Intriguingly, western blotting showed that LPS inhibited TGF- β1-induced activation of p38 mitogen-activated protein kinase (MAPK) that mediated TGF- β1-induced intra-cellular signal transduction for NGF expression. These results suggested that TLR4-mediated signaling activated by LPS suppresses TGF- β1-induced NGF expression in PDL fibroblasts by inhibiting TGF- β1-induced p38 MAPK activation in a nuclear factor- κ B-dependent manner, possibly resulting in the suppression of the regeneration of injured PDL neurons. (194 words)

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  • 福徳 暁宏
    43 巻 (2018) 1 号 p. 74-82
    公開日: 2018/06/13
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    目的:本研究においては,歯科用口腔内スキャナーを用いてインプラント上部構造と対合歯に生じる咬耗を定量的に調べることを目的とした.

    材料と方法:本研究の趣旨に賛同し、同意を得られた30 名の患者を対象とした.測定対象歯は第一大臼歯とし,インプラント最終上部構造を装着時および3か月経過時に歯科用口腔内スキャナー(3M true definition scanner, 3M, St. Paul, MN, USA)でインプラント上部構造およびその対合歯を撮影した.撮影したデータはSTL ファイルとして出力し,画像計測ソフト(GOM Inspect, GOM, Brunswick, Germany)を使用して2つのデータを比較した.第一大臼歯機能咬頭の3か月間の咬耗量を算出し,上部構造の材質,性別,固定様式別にそれぞれの咬耗量を比較,検討した.統計解析は統計解析ソフト(IBM SPSS 24, IBM, Armonk, NY, USA)を使用して行い,有意水準は5%とした.

    結果:インプラント上部構造の咬耗量は,モノリシックジルコニア(Zr)で76 ± 30 ㎛,ハイブリッド型コンポジットレジン(HC)で71 ± 27 ㎛であった.両者に統計学的有意な差はみられなかった. 一方,対合歯の咬耗量はZr の対合歯で59 ± 25 ㎛,HC の対合歯で60 ± 20 ㎛であり,こちらも統計学的有意な差はみられなかった.また,男性の上部構造咬耗量は女性より有意に大きい値を示した(p<0.05)が,上部構造の固定様式(セメント,スクリュー)による差はみられなかった.さらに,対合歯がインプラント,天然歯どちらの場合にも,上部構造の咬耗量に差はみられなかった.

    結論:口腔内スキャナーを用いた咬耗量の計測は,十分な精度を有していることが明らかとなり,インプラント上部構造の形態変化の経過観察に有用なシステムであることが示唆された.インプラント上部構造と対合歯の咬耗量に関して,適切に咬合調整,研磨されたZr とHC に違いはみられず,Zr もインプラントの上部構造として適用できることが示唆された.また,男女の咬耗量に差がみられたことから,咬合力が上部構造の咬耗量に大きく関与していると考えられた.

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  • 筑田 真未, 城 茂治, 佐藤 健一
    43 巻 (2018) 1 号 p. 83-96
    公開日: 2018/06/13
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    超高齢社会において,歯科医師は合併疾患を複数有する患者を診療していかなければならない.現在のアドレナリン含有局所麻酔薬の使用によって異常な血圧上昇をきたすことにより心疾患の増悪や脳血管障害などの偶発症を起こしかねない.それらの偶発症を未然に防ぐためにアドレナリンに代わる循環動態変化のより少ない局所麻酔薬添加薬が必要と考えられ,デクスメデトミジン塩酸塩(Dex)が注目されている.今回われわれは,顎顔面領域の主要動脈の一つである舌動脈血管平滑筋に対するDex の作用およびその作用機序について等尺性収縮張力と細胞内カルシウムイオン([Ca2+]i)動態を同時測定し検討を行った. 屠殺ブタ(月齢6 カ月)の舌から直径1 ~2 mm の舌動脈を摘出し,長さ2 ~3 mm に切断した後,血管内皮を剥離し反転して内膜側を外側にした舌動脈血管平滑筋の輪状標本を作製した. Fura-2/AM を負荷した標本を細胞内カルシウムイオン測定装置(AQUACOSMOSTM, HAMAMATSU)の恒温槽内(1.0 ml)に設置し,静止張力4 mN を負荷した.酸素95 % と二酸化炭素5 % 混合ガスのバブリング下でHanks Component Solution 溶液(HCS)を30 分間灌流した後各種刺激薬(KCl,アドレナリン,カフェイン,ヒスタミン)を投与し,その際に発生する収縮張力と[Ca2+]i 変化を同時測定した. ブタ舌動脈血管平滑筋で,Dex は高KCl の脱分極性刺激による収縮張力と[Ca2+]i を添加濃度の増加に伴って増加させ,アドレナリンの受容体刺激による収縮張力と[Ca2+]i の増加を濃度依存性に抑 制した.このことから収縮張力の増大には[Ca2+]i が関与していることが示唆された.Dex は細胞外から細胞内へのCa2+ 流入機構である受容体活性化Ca2+ チャネル(RACC)を抑制した.細胞内貯蔵部位からの細胞内へのCa2+ 放出機構であるホスファチジルイノシトールリン脂質(PI)代謝回転で生じるイノシトール-1,4,5- 三リン酸(IP3)刺激によるCa2+ 放出(IICR)を抑制したが,細胞外からのCa2+ の流入による細胞内Ca2+ 誘導性Ca2+ 放出(CICR)は抑制しなかった.Dex の口腔内主要動脈の一つである舌動脈血管平滑筋に対するDex の作用と作用機序を解明したことはDex 添加局所麻酔薬の創薬に対する一助となりえる.

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岩手医科大学歯学会第84 回例会抄録
特別講演
一般演題
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