従来, 金属焼付用陶材は外国製品がほとんどであったが, 最近国産品が数種市販されるようになった。 そこで国産の3種(UNIBOND, METALBOND, CERACHROME)と臨床で定評のある外国製品のVMK68を用いて, まげ強さ, 硬さ, 熱膨張を測定し, それぞれの結果を比較検討し, 次の様な所見が得られた。
1)まげ強さは, VMK68 の opaque 色陶材では1,080kg/cm2, UNIBOND のopaque色では1,120kg/cm2, METALBOND の opaque色では1,060kg/cm2でいずれも同じ強さであった。 CERACHROME の opaque色では860kg/cm2を示し, 前者三種より弱かった。 VMK68, UNIBOND, METALBOND の dentin色や enamel色の陶材のまげ強さは opaque色陶材より弱く, CERACHROMEの enamel色陶材では opaque色や dentin色の陶材より強かった。
2)硬さは, どの陶材でも差がなく, opaque色陶材や enamel色陶材では520Hv前後, dentin色陶材では500Hv前後であり, 天然歯の enamel質400Hvより硬かった。
3)熱膨張率は, どの陶材においても opaque色陶材の場合が大で, dentin色や enamel色の陶材では opaque色陶材より0.2~0.5%低い値を示した。
4)陶材の熱膨張率は, ガラス転移点以下の温度域では金属(KIK)のそれより小さく, 転移点以上では金属のそれより大きかった。
5)物理的性質の比較では, VMK68が最も良好であった。しかし国産の UNIBONDも VMK68に劣らない良い陶材であったが, 他の2種には若干の問題があった。
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