岩手医科大学歯学雑誌
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7 巻, 3 号
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総説
原著
  • 三浦 廣行, 中野 廣一, 近野 茂安, 亀谷 哲也, 石川 富士郎
    1982 年 7 巻 3 号 p. 194-202
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    進行性筋ジストロフィー症患者の咬筋について, 表面電極による筋電図分析を行った。

    その結果, 本症患者の咬筋筋電図は, 低電位化傾向, pulseの発生間隔の延長, power spectrum分析におけるピークの低周波数帯域化, 積分値の減少, silent periodの持続時間が延長傾向を示していた。これらは四肢筋における所見と類似するものであり, 咬筋においても筋線維の一部消失に伴う筋機能の障害が現われているのではないかと推察された。

  • 名和 橙黄雄, 石関 清人, 坂倉 康則, 飯田 就一
    1982 年 7 巻 3 号 p. 203-209
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    基底膜を機械的に除去するために, 生後3日のマウス下顎臼歯歯胚の象牙前質を顕微鏡下で摘出した。基底膜除去後のエナメル器と歯乳頭を再接着させて培養を行い, 基底膜再生の経過を電子顕微鏡で観察した。

    基底膜の再生は培養5日目にみられたが, 基底膜再生に先立って無周期性細線維が培養時間とともにエナメル芽細胞表面に著しく増加してくる。この結果は, 無周期性細線維が基底膜再生に関与している可能性を示唆している。

  • 第1報 無歯顎患者治療への指針
    熊谷 啓二, 南舘 祐二, 松木 和彦, 八重樫 寿人, 岩渕 壮之助, 田中 久敏
    1982 年 7 巻 3 号 p. 210-218
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    集合的に顔面を形づくっている解剖学的構造は, 通常そのおのおのが同時に成長発育し, また生涯を通じて機能時に互いに依存しあっている。この様な動的平衡において, 天然歯の喪失というようなある破壊的なでき事は, 残存する健常な部位の形態と機能に非常に大きな影響を与える。

    無歯顎患者の顔貌は人工歯を適切な位置に排列することにより, 天然歯が存在した時と同じように回復することができる。したがって, 人工歯を用いて顔面形態とその機能の調和を作り出すことは, 補綴臨床では最も重要な生物学的挑戦である。

    今回, 無歯顎患者の顔面の審美性を回復する指標を得るため, モアレトポグラフィーを用いて顔面の分析を試みた。

  • 本田 寿子, 田近 志保子, 浜田 育男, 柳原 敬, 金子 克
    1982 年 7 巻 3 号 p. 219-227
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    ヒト上気道に常在する菌として知られているHaemophilus 属菌の口腔内における実態を明らかにする目的で健康な成人38名の唾液と歯垢からの分離を試み, その分離株について生化学的性状による分類と薬剤感受性について検討したので報告する。

    38名の唾液, 歯垢中の Haemophilus 属菌の菌量はそれぞれ平均6.6×106/ml, 6.0x105/gであった。分離した316株を生化学的性状に従って分類した結果, H. influenzae は11株でbiotype I~V型が分離され, Ⅵ型は分離されず, いずれも唾液からのみ分離された。H. parainfluenzae は229株で全体の72.4%であり, biotype別にみると1型173株(75.5%), Ⅲ型38株(16.6%)が唾液と歯垢の両方から, Ⅱ型18株(7.9%)は唾液からのみ分離された。H. aphrophilus 5株は歯垢からのみ分離され, H. paraphrophilus 64株は唾液と歯垢から分離された。また H. parahaemolyticus 7株は唾液からのみ分離された。

    各検体から分離されたH. influenzae, H. parainfluenzae, H. aphrophilus, H. paraphrophilus, H. parahaemolyticus を含む101株についてペニシリン系薬剤6剤, セフェム系薬剤8剤, アミノグリコシド系薬剤2剤, マクロライド系薬剤1剤, テトラサイクリン系薬剤2剤と Chloramphenicol の計20剤を用い, 最小発育阻止濃度を測定した。その結果ペニシリン系6剤のうち, PCGはやや抗菌力が劣り, 他の合成ペニシリン系5剤, なかでもPIPC, APPC, MZPCは優れた抗菌力を示した。セフェム系8剤のうちCZXは0.05μg/mlにピークがあり, 最も強い抗菌力を示した。

    またPCG, ABPC, SBPC, CXM, CZX, CMX, CEX, CCL, CMZにMIC≧100μg/mlの高度耐性を示す株がみられ, そのうちペニシリン系耐性株に β-lactamase 産生を確認した。

症例報告
  • 一とくにリンパ球と腫瘍細胞との関連について一
    畠山 節子, 武田 泰典
    1982 年 7 巻 3 号 p. 178-187
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    C3H/HeNマウスにMCを用いて誘発した肉腫を同系マウスの脾臓漿膜下に移植し, その形態的推移を経日的に検索した。受容マウスには若年群(生後2ヶ月)12匹, 老年群(生後13ヶ月)6匹を用いた。 移植腫瘍組織はすべてのマウスに生着した。移植2日目以降より移植腫瘍組織の増殖がみられ, 7日目には腫瘍組織は脾臓表面に丘状に膨隆するとともに脾臓組織内にも浸潤増殖し, 53日目には宿主の脾臓は分葉状を呈する腫瘍塊にほぼ置換していた。また移植腫瘍組織の増殖の程度は老年群に比べ若年群でより顕著であった。組織学的に移植腫瘍組織と脾臓実質との境界は経日的に明瞭となったが被膜の形成はみられず, 53日目の電顕所見では腫瘍細胞には主として形質細胞およびリンパ球が接していた。しかし両者間に特殊な構造の形成はなかった。組織学的には若年群と老年群間に明瞭な相違は認められなかった。

  • 武田 泰典
    1982 年 7 巻 3 号 p. 188-193
    発行日: 1982/11/15
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    肝硬変期の原発性胆汁性肝硬変症 (PBC) 剖検例より得られた肝組織を電顕的に観察し, 浸潤リンパ球と肝細胞にみられた核内封入体について報告した。リンパ球にみられた核内封入体は紡錘形で限界膜を有さず, 層状ないし網目状の規則的な結晶様構造を呈していた。この核内結晶様封入体は multiple myeloma, Waldenström マクログロブリン血症などの高抗体産生能を呈する疾患でみられるものに極めて類似しており, PBCの免疫異常を形態学的にも示唆する所見と考えられた。肝細胞には類円形で膜構造を有する核内封入体がみられた。この肝細胞の核内封入体は PBC に特異的なものとは考えられなかったが, 唾液腺分泌細胞で報告されている核内封入体に類似しており, 肝細胞の機能の変化を反映しているものとも考えられた。

例会記事
岩手医科大学歯学会第14回例会抄録
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