長良川河口堰運用後,河口堰湛水域のヨシ群落のモニタリング調査を続け,また全国各地の河川河口域・汽水湖においてヨシ群落の分布調査を行い,次のような結果を得た.1)長良川河口堰湛水域では,河口堰運用後ヨシ群落は急激に死滅し,運用後7 年目の2002 年までに,面積にして約9 割が消失した.群落の消失過程は,面から線へ,線から点へ,そして点の消滅と形容することができる.点状ヨシ(株立ちヨシ)の水中部は地下茎とひげ根が緊密に絡み合ったマット状を呈している.土中ではひげ根は少なく,疎らな地下茎が縦横にのびて地上部を支えている.株立ちヨシは河川水から溶存酸素や栄養分を十分に取り込めるため,その生育は良好である.株立ちヨシの死滅は,洪水時に倒壊しておこる.2)日本各地の22河川および6ヶ所の汽水湖の感潮域のヨシ群落の観察から,ヨシは基本的に潮間帯に生育していること,潮間帯のヨシ群落内部において,潮溜りを形成する局地的凹地にヨシは生育しないことが確認された.すなわち,水深がごく浅くても,常時水没している地盤・土壌にヨシは生育していないことが明らかになった.ヨシ群落は,通常,水没と干出を繰り返す地盤・土壌に生育するのであり,通気組織の働きには限界があるため,還元状態にある水没土壌では長期間生存できないと考えられる.
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