伊豆沼・内沼研究報告
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最新号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 加賀山 翔一, 西堀 智子
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 1-13
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    中池見湿地に生息するニホンイシガメMauremys japonica の生息状況を明らかにするため, 2016 年から2019 年にかけて捕獲調査を行った.本研究より,中池見湿地には1 歳から14 歳以上の100 個体を超えるニホンイシガメが生息することが確認された.von Bertalanffy の成長曲線を用いてニホンイシガメの成長過程を推定したところ,山間部および平野部の河川に生息する個体群を対象にした先行研究と同様の成長パターンを示した.これまでの研究で,ニホンイシガメは山間部を中心に分布すると指摘されてきたため,平野部の河川や低湿地の生息地としての重要性はあまり認識されてこなかったが,低湿地もニホンイシガメの主要な生息地のひとつとなることが示唆された.今後,低湿地である中池見湿地に残された貴重な個体群を消失させないためには,長期的にニホンイシガメの生息数や齢構造の変化をモニタリングしていくことが必要である.

  • 森 晃, 宮田 昌彦, 西原 昇吾
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 15-23
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    イノカシラフラスコモは日本固有変種であり,生育地が東京都三鷹市と千葉県市川市に極限される.筆者らは,房総丘陵(千葉県)の中山間地にある放棄水田からイノカシラフラスコモを発見したので報告する.

  • 斉藤 憲治, 速水 裕樹
    原稿種別: 短報
    2021 年 15 巻 p. 25-30
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    Semi-aquatic warm-temperate annual fern, Ceratopteris gaudichaudii Brongn. var. vulgaris Masuyama et Watano, was collected on October 4, 2019 in a rice paddy where traditional farming practices were used in Matsushima, Miyagi Prefecture, Japan. The collection site (38.4°N) is north of the previous northernmost recorded location in Yamagata (38.1°N) on the Sea of Japan side and in Fukushima (37°N) on the Pacific side. Furthermore, the location in Matsushima is the northernmost range of the genus Ceratopteris in the world. Warmth index near the collection site (87.9) is close to the value in Yamagata (88.1) but considerably lower than in Fukushima (103.1). Characteristics such as the ferns' small size and some sporophytes without fertile leaves, even in early October, indicate the severe conditions of the collecting site for this species. The climatic condition at the collection site may be close to the limit of compensatory progenetic adaptation to a shorter growth period and subsequent dwarfism in the cold climates.

  • 馬渕 浩司, 西田 一也, 吉田 誠
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 31-45
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    ゲンゴロウブナはコイ科フナ属に属する琵琶湖固有の魚類だが,現在は漁獲量が激減し,個体数の減少により絶滅危惧種に指定されている.かつて琵琶湖の東北岸にあった早崎内湖は,本種の最大の産卵場であったが,1970 年に全面干拓され,個体群の減少に大きく影響したと推測されている.本種を含むコイ科魚類(ニゴロブナやホンモロコなど)の資源回復のため,琵琶湖岸に人工のヨシ帯が造成されているが,これが本種の産卵場として利用されているかは確認されていない.そこで本研究では,早崎内湖干拓地の外側の琵琶湖岸に2002–2004 年度に造成されたヨシ帯において,水面近くの植物体に産み付けられている産着卵を採集し,これをDNA 種(亜種)判別することにより,当該ヨシ帯がゲンゴロウブナの産卵場になっているかを調べた.調査領域は,植生や地形にもとづいて以下の3 つに分けられた: 最も沖側に位置しヤナギ属の樹木が優占するエリアA; ヨシが優占するエリアB; ヨシ帯裏側の開水面であるエリアC.2018 年5 月11 日の13:00–13:40 にかけてこの調査領域の中で産着卵を採集した.卵群サンプルの採集時には,採集地点のGPS データを取得し,後日地図上にマッピングして採集エリアと産卵魚種との対応関係を調べた.解析の結果,エリアA では卵が採集されなかったが,エリアB では9 地点から194 個,エリアC では7 地点から174 個が採集された.前者から 80 個,後者から56 個の卵(合計136 個)をランダムに選んで塩基サイト特異的PCR による属判別を行ったところ,全てフナ属の卵と判定された.続いて同様の手法による種・亜種判別を行ったところ,判別に成功した合計127 個の卵のうち79 個(62.2%)はゲンゴロウブナの卵と判定された(残りはニゴロブナまたはギンブナの卵).エリア別にみると,エリアB では41.3%,エリアC では92.3%の卵がゲンゴロウブナと判定され,統計的にも有意にエリアC でゲンゴロウブナ卵の割合が高いことが判明した.以上の解析結果から,調査を行った造成ヨシ帯の特に裏側にある内湖的な開水面は,ゲンゴロウブナの産卵場所となっていることが確認された.

  • 長谷川 政智
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 47-59
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    サハリントビケラは,山地の池沼や渓流付近に生息するとされ,幼虫は蛹化の前に巣材を植物片から砂粒へ変えるとされている.本稿では宮城県の標高約33m にある里山のため池でサハリントビケラを確認し,幼虫が巣材を植物片から砂粒に変えない幼虫を観察したので報告する.

  • 舟木 匡志, 内田 大貴, 久保田 潤一
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 61-77
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    狭山丘陵は,埼玉県と東京都の県境に位置する,豊かな自然環境が広がる首都圏有数の丘陵地のひとつであり,現在も豊富な水資源に由来する谷戸やため池,湿地が点在し,多様な水生生物の生息が確認されている.本報告では,2020 年に狭山丘陵の都立公園内の水域で,水生甲虫類と水生半翅類を対象として調査を実施した.その結果,水生甲虫類8 種,水生半翅類13 種の計21 種が採集・確認された.そのうちレッドデータブック東京2013 選定種はヒメガムシ,オオアメンボの2 種であり,東京都初記録がツヤナガアシドロムシの1 種であった.

  • 伊藤 寿茂, 丸山 隆
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 79-86
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    淡水二枚貝であるマツカサガイ北東本州固有種の幼生の宿主としてのウグイとニホンアカガエルのオタマジャクシの有用性を調べた.水田用水路で幼生を寄生させた供試個体を水量6L,水温22.3±0.2℃の水槽内で13 日間にわたり継続飼育しつつ,離脱してくる幼生と稚貝の数を毎日計数した.すると,幼生の寄生処理後,平均して9 日目(6 日目から11 日目にかけて)に,ウグイから生きた稚貝が検出された.一方で,ニホンアカガエルからは稚貝が検出されなかった。ウグイでは,寄生した幼生の27%以上が稚貝への変態に成功したことから,ウグイはマツカサガイ北東本州固有種の幼生にとって適合度の高い宿主とみなせる.

  • 木村 将士, 山口 真明, 大森 健策, 山崎 和哉, 金子 誠也, 加納 光樹
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 87-95
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    要涸沼川とその支川の飯田川において,特定外来生物コクチバスの生息状況調査を行った.涸沼川における採集調査では,2019 年と2020 年の各年の6 月から9 月に,飯田川合流点より下流側の7 地点で仔魚や成魚を含む計228 個体(体長6.3–295mm)が採集された.そのうち1 地点では 2019 年6 月に産卵床で仔魚およびそれらを保護する親魚が採集された.したがって,コクチバスは涸沼川水系で再生産し分布を拡大しつつあると考えられた.

  • 伊藤 玄, 小菅 崇之, 水野 展敏
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 97-105
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    名古屋市内に位置する名城大学および東山動植物園・世界のメダカ館で栽培されているヒメコウホネおよびヒツジグサの産地の特定を試みた.聞き取り調査の結果,3 つの産地情報が得られた.すなわち,名古屋市天白区八事裏山のおたま池産のヒメコウホネ・ヒツジグサ(産地A: 名城大学栽培),同八事裏山の天白渓湿地(またはその周辺の湿地)産のヒメコウホネ(産地B: 名城大学栽培),同八事裏山の詳細地点不明の湿地産のヒメコウホネ(産地C: メダカ館栽培)である.標本調査の結果,産地A のヒメコウホネおよびヒツジグサについては,1970–1980 年代の標本が確認された.これらのことから,少なくとも産地A 個体群は名古屋市産のヒメコウホネおよびヒツジグサであると判断した.名古屋市産ヒメコウホネおよびヒツジグサは絶滅したとされているため,産地情報が明らかな産地A の個体群は,名古屋市の生物多様性保全において貴重である.

  • 斉藤 憲治, 三塚 牧夫, 麻山 賢人, 藤本 泰文
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 107-120
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    池干しによる駆除の2 年後に見られたオオクチバスMicropterus salmoides 稚魚が駆除の失敗によるものか再度の違法放流によるものなのか推定した.繁殖,成長,死亡についての過去の資料を参照しつつ,池干し時の残存個体または違法放流個体のサイズと数を逆算した.池干し時の捕り残しと仮定した場合,全長35cm 程度の成魚であれば8 尾弱または体長14cm 程度の0 才魚であれば 90 尾弱と推定された.池の干し上げの状況からこの数の捕り残しは現実的でない.池干しのおよそ1 年後の違法放流と仮定すると,調査で確認された稚魚が出現するには,全長38cm 程度を約5 尾または22cm 程度を約8 尾が放流されたと推定された.

  • 尾山 大知, 丸山 智朗, 井口 卓磨
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 121-129
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    2018 年5 月から2021 年5 月にかけて,関東平野を流れる荒川水系の1 細流において採集されたヒメヌマエビ属31 個体の標本を検討したところ,香港をタイプ産地とする陸封種,Caridina logemanni Klotz & von Rintelen,2014 に同定された.本種は年間を通じて確認され,抱卵個体や稚エビも採集されたため,本生息地において定着・再生産していることが示唆された.加えて,C. logemanni の採集地周辺の観賞魚店で販売されていた5 個体の形態も採集された個体とよく一致していたことから,荒川水系における本種の確認例は,観賞目的で流通していた個体の遺棄に由来すると考えられた.本種には標準和名が与えられていないことから,本報において新標準和名「ホンコンクロオビヌマエビ」を提唱する.

  • 太田 啓佑, 谷口 倫太郎, 金光 隼平
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 131-137
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    2019 年から2020 年にかけて高知県物部川水系においてゼゼラBiwia zezera を採集した.本種の高知県内での記録は1972 年から1979 年にかけて鏡川水系と物部川水系で確認されているが,近年の高知県内における本種の生息状況に関する知見は乏しく,河川水辺の国勢調査においても生息が確認されていない.高知県内における本種の分布は琵琶湖由来の移入であると考えられるが,今後,物部川水系における本種の生息状況および生態,遺伝子分析に関する研究が必要である.

  • 萩原 富司, 白井 亮久, 諸澤 崇裕, 熊谷 正裕, 荒井 聡
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 15 巻 p. 139-149
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    イケチョウガイ(琵琶湖固有種)と中国産ヒレイケチョウガイとの交雑種(ヒレイケチョウガイ交雑種)は霞ヶ浦において真珠養殖に用いられてきた.特にヒレイケチョウガイ交雑種は水質汚濁に強いとされ,養殖施設からの幼生の拡散による水域への定着が危惧される.そこで交雑種の逸出状況を把握するため,野生個体を採集し,外部形態を養殖のヒレイケチョウガイ交雑種やイケチョウガイと比較した.真珠養殖場近傍で採集された野生個体は採取地点,殻の形態から養殖されているヒレイケチョウガイ交雑種と同様であると判断された.これらのヒレイケチョウガイ交雑種の成貝の形状は三角形で,後背縁から殻頂にかけて翼状突起が顕著であり,翼長卵形のイケチョウガイと区別できることがわかった.また,ヒレイケチョウガイ交雑種とイケチョウガイの殻の形態を共分散分析により検討した結果,殻長に対する殻高の比率について,両者に有意差が認められた.1936 年以降,霞ヶ浦に放流されたイケチョウガイは現地に定着・増加し1963 年以降真珠養殖に利用されたが,水質汚濁に弱く1980 年以降減少した.一方1988 年に作出されたヒレイケチョウガイ交雑種は水質汚濁に強く,真珠養殖規模の拡大とともに,現地に定着したことを本研究は示した.しかし近年ではこの交雑種も養殖場でたびたび死滅する事例が確認されており,現在の霞ヶ浦は淡水二枚貝類の生息環境として適していないと推察された.

  • 公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
    原稿種別: 訂正
    2021 年 15 巻 p. 151
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー
  • 公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
    原稿種別: その他
    2021 年 15 巻 p. 152
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー
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