伊豆沼・内沼研究報告
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5 巻
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 嶋田 哲郎
    2011 年 5 巻 p. 1-3
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/11/10
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    One adult White-breasted WaterhenAmaurornis phoenicurus was observed in Lake Izunuma, Miyagi Prefecture, on 3 June 2010. This is the first report on the occurrence of the species in Lake Izunuma.

  • 高橋 睦美, 吉田 政敬, 田村 将剛, 中井 静子, 嶋田 哲郎, 横山 潤
    2011 年 5 巻 p. 5-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/11/10
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    浮葉植物の一種アサザ(ミツガシワ科)は,日本各地で絶滅が危惧される植物である.本研究では本種の有性生殖に関連する生物間相互作用を明らかにする目的で,伊豆沼のアサザ個体群を対象に訪花昆虫相を調査した.2009, 2010年の観察の結果,2目5種の訪花昆虫が記録され,モンシロチョウを除いていずれの種も送粉昆虫と判断された.主要な訪花昆虫はハナバチ類で,特にクロマルハナバチとセイヨウミツバチの訪花頻度が高かった.本研究の観察結果は,ハナアブ類など双翅目昆虫を欠くことを除けば,ヨーロッパでの観察例と類似しており,イチモンジセセリが主要な送粉昆虫となっている関東地方での観察例とは傾向が異なっていた.これはアサザの開花期における東北地方と関東地方の各昆虫群の相対的な頻度の違いに起因すると考えられる.

  • 藤本 泰文
    2011 年 5 巻 p. 13-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/11/10
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    富栄養化が問題となっている宮城県伊豆沼・内沼の湖畔に位置するため池で,水生植物の変遷を2006年から2010年の8月まで観察した.このため池では2006年から2009年までコウガイモ群落が観察され,60~80cm の葉を付けた大型のコウガイモが分布していた.ハスは2008年以降に生育が観察され,2010年には池の水面の80%以上の範囲を覆った.2010年には,コウガイモ群落が形成されていた場所はハス群落に覆われ,コウガイモ群落は観察されなかった.その一方,コウガイモ群落が形成されていた場所の水面上に,矮小化した3株のコウガイモが浮いているのが観察された.矮小化した株は根が短く,大型魚や波浪により浮き上がりやすい状態であった.ハス群落の繁茂により光が水面に届かなくなった環境下では,コウガイモの成長が制限されることで群落消失が進行すると考えた.

  • 安野 翔, 山中 寿朗, 嶋田 哲郎, 鹿野 秀一, 菊地 永祐
    2011 年 5 巻 p. 21-35
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/11/10
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    炭素安定同位体比および脂肪酸組成を用いて,伊豆沼に生息するオオユスリカChironomus plumosus幼虫の餌資源内容の解明を試みた.餌候補であるPOM(浮遊懸濁有機物)および堆積物の炭素安定同位体比(δ13C)は,それぞれ–27.8±1.3‰,–27.8±0.1‰であった.一方,オオユスリカ幼虫のδ13Cは,–50.9~–27.5‰と個体間で大きく異なった.δ13Cが高く,POMや堆積物と同様の値を示す個体はこれらの有機物を同化していると考えられるが,POMや堆積物に比べて極端に低いδ13Cを示す個体は,メタン酸化細菌を摂食することで,メタン起源の炭素を同化しているものと考えられる.δ13Cの異なるオオユスリカ幼虫4個体(–50.9‰,–47.5‰,–36.4‰,–31.7‰)の脂肪酸組成を調べた.いずれの個体においても,珪藻や緑藻,藍藻起源の脂肪酸に比べ,細菌起源の脂肪酸マーカーが多く含まれており,細菌の餌資源としての重要性が示唆された.細菌起源の脂肪酸マーカーの一種であるi17:0含有率とオオユスリカ幼虫のδ13Cの間に有意な負の相関が認められた.したがって,i17:0は,メタン酸化細菌(メタン資化細菌)に由来する脂肪酸であることが示唆される.

  • (財)宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
    2011 年 5 巻 p. 37-71
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/11/10
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    伊豆沼・内沼とその周辺地域における昆虫相を明らかにするために,2006年に伊豆沼鳥獣保護区特別保護地区において昆虫類の生息調査を行なった.調査の結果,14目180科770種の昆虫類が確認された.確認された種の多くは,平地の池沼が存在する地域に一般的な種であったが,全国的にも分布が限られているオオセスジイトトンボやコバンムシが多く生息していたことが特徴的であった.

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