日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
39 巻 , 3 号
日本救急医学会関東地方会雑誌
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
原著論文
  • 松田 隼, 小島 直樹, 野原 春菜, 有野 聡, 松吉 健夫, 佐々木 庸郎, 一瀨 麻紀, 山口 和将, 稲川 博司, 岡田 保誠
    2019 年 39 巻 3 号 p. 341-343
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    当救命救急センターを受診する患者の中で, 発熱を主訴に受診する患者は比較的多いが, 初療の段階では確定診断が困難なことがある。【対象・方法】2016年9月~2017年8月に当院一次, 二次救急外来を受診された16歳以上の患者のうち, 発熱の原因を確定することができず, かつ入院を要した患者の特徴・臨床経過を後方視的に検討した。【結果】総受診者数16,282例のうち, 対象となったのは24例であった。男性は13例, 平均年齢は74.5歳 (16~98歳), 平均入院日数は18.4日 (3~57日) であった。最終診断として, 感染性13例, 痛風関節炎1例, 膠原病1例, 退院まで原因不明であったものは9例であった。血液培養は全例で採取され, 陽性率は37.5%であった。帰宅後に血液培養陽性となったため, 再受診させ入院となった例が3例あった。【考察】原因不明の発熱で入院となった症例を後方視的に検討した。原因不明の発熱患者では, 血液培養の採取が重要である。

  • 迫田 典子, 大西 真裕, 池田 尚人, 小菅 宇之, 奈良 和恵
    2019 年 39 巻 3 号 p. 344-347
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    心肺蘇生 (cardiopulmonary resuscitation ; CPR) の経験が少ない急性期病棟の看護師4名に対して, 一次救命処置 (Basic Life Support ; BLS) コース受講前から受講後2年間 (受講前, 受講直後, 受講後3カ月, 6カ月, 1年, 2年) のCPRの質の推移について客観的評価機能を用いて調査を実施した。胸骨圧迫の質の推移は, BLSコース受講直後より大幅な低下はなく, 受講2年後には向上していた。研究対象者4名は, BLSコース受講後3カ月以内, 受講後1~2年の間にCPRに関連する研修に全員が参加しており, CPRの質の維持に影響していた。今後は研究対象者のCPRの質の維持への取り組みを調査し, 教育内容・方法について明らかにしていく。

症例報告
  • 内山 学, 中澤 太一, 宮谷 侑祐, 飯尾 純一郎, 小川 敦裕, 沼田 賢治, 菅原 誠太郎, 溝辺 倫子, 本間 洋輔, 中島 義之, ...
    2019 年 39 巻 3 号 p. 348-350
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    症例は62歳女性。生来健康であった。来院前日に喀痰, 咳嗽を認め, 来院当日に発熱, 悪寒戦慄, 体動困難の主訴で救急搬送された。発熱, 低血圧, 意識障害から, 敗血症性ショックと診断し初期治療施行後, 集中治療室に入室した。血液塗抹標本にHowell-Jolly小体を認め, 救急外来で施行したCTでは脾臓の低形成を認めた。尿中肺炎球菌抗原陽性, バッフィーコートで双球菌を認めたため, 脾臓機能低下による侵襲性肺炎球菌感染症と診断した。第7病日に集中治療室を退室したが, 加療中に発生した四肢末端の壊死に感染を繰り返し, 両上下肢切断術が必要となった。脾臓機能低下は侵襲性肺炎球菌感染症のリスクであり, 致命的になることがある。血液塗抹標本のHowell-Jolly小体は, 脾臓機能低下を示唆しているといわれ, 脾臓摘出以外で脾臓機能低下を示す所見としてHowell-Jolly小体を検索することは有用であると考える。

  • 深野 賢太朗, 萩原 章嘉, 松田 航, 植村 樹, 木村 昭夫
    2019 年 39 巻 3 号 p. 351-354
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    レプトスピラ症は, スピロヘータ目レプトスピラ科に属するグラム陰性桿菌レプトスピラが引き起こす人獣共通感染症で, 疑わないと診断が難しく適切な抗菌薬治療を行わないと悪化する可能性がある。症例 : 74歳, 男性。全身倦怠感と全身が黄色いとのことで救急要請。来院時vital signsはGlasgow Coma Scale 14 (E3V5M6), 血圧65/45 mmHg, 心拍数68/分, 体温36.9℃, 呼吸数24/分, 経皮的酸素飽和度 99% (O2 4L/分フェイスマスク) で敗血症が疑われた。身体所見は頭頸部では眼球結膜の黄染があった。また, 四肢において両大腿と下腿の把握痛があり, レプトスピラ感染症による敗血症が疑われた。救急外来にていったん循環は安定したが, 抗菌薬投与後に血圧が下がり昇圧薬を使用した。しかし, 14時間ですぐに離脱できた。レプトスピラ感染症によるヤーリッシュヘルクスハイマー反応の症例報告は少なく, また今後国際化に伴って東京での報告例も一層増えると考えられ, 重症化する前に病歴から疑う必要があり報告した。

  • 茅切 碧, 吉行 綾子, 中本 礼良, 漆畑 直, 村田 希吉
    2019 年 39 巻 3 号 p. 355-358
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    多発性骨髄腫では免疫抑制を来すが, 蜂窩織炎を合併した例の報告は少なく, 中でも蜂窩織炎を契機に多発性骨髄腫が判明した例は極めて稀である。難治性蜂窩織炎の経過中に, 免疫能低下の背景を検索する中で発見された多発性骨髄腫の一例を報告する。症例は56歳男性で, 左足背の疼痛, 腫脹を主訴に救急外来を受診した。左足背に皮下膿瘍を認め, 膿培養2セットからメチシリン感受性黄色ブドウ球菌 (以下, MSSA) が検出された。一方で, 総蛋白に対するアルブミン低値, 赤血球の連銭形成, IgG 高値, 免疫電気泳動でのM蛋白検出から多発性骨髄腫を疑い, 骨髄検査の結果, 同症の診断に至った。抗菌薬投与・創部処置への反応が乏しく約2カ月を要したものの, 蜂窩織炎は改善し, 多発性骨髄腫に対する化学療法を開始することができた。本症例のように非典型的な皮膚病変では, 免疫抑制や悪性腫瘍が背景となっている場合があるため, 積極的に検索することが肝要である。

  • 重田 健太, 増野 智彦, 小林 純子, 佐々木 和馬, 金谷 貴大, 富永 直樹, 秋山 真之, 中江 竜太, 石木 義人, 塚本 剛志, ...
    2019 年 39 巻 3 号 p. 359-362
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    ECPRを含むV-A ECMO導入時には呼吸ECMOとは異なり, 迅速なカニュレーションが求められる。動脈硬化をもつ高齢患者が増える中, カニュレーションに伴う合併症に遭遇することは決して稀ではない。今回我々はV-A ECMO送血管留置に伴う合併症を生じた高齢者の2例を経験した。本2症例では, 共に総腸骨動脈に強い蛇行が認められ, 同部位にV-A ECMO送血管が先あたりし, 送血を行っていたために合併症をきたしたと考えられた。1例では高度な溶血を, もう1例では逆行性動脈解離をきたしていた。高齢患者では動脈硬化や血管の蛇行を念頭に置いたカニュレーション, 慎重な挿入, 留置位置決定が必要である。

  • 藤井 遼, 阿野 正樹, 宮武 諭
    2019 年 39 巻 3 号 p. 363-365
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    症例はてんかんの既往があり不整脈リスクのない27歳男性で, 意識障害を主訴に救急搬送された。診療中に痙攣発作が出現し, 意識障害は遷延した。血中カルバマゼピン濃度高値であり, てんかん重積とカルバマゼピン中毒の疑いで入院とした。入院第4病日に心室細動が出現し, 蘇生処置により自己心拍再開が得られた。心室細動発症前の心電図モニターに著明なアーチファクトが混入していたことから, 痙攣後の心室細動であった可能性があり, 痙攣関連突然死も考慮された。

  • 野原 春菜, 有野 聡, 今村 剛朗, 松吉 健夫, 佐々木 庸郎, 山口 和将, 一瀬 麻紀, 小島 直樹, 稲川 博司, 岡田 保誠
    2019 年 39 巻 3 号 p. 366-369
    発行日: 2019/02/08
    公開日: 2019/02/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】カルシウム拮抗薬の急性薬物中毒に対し塩化カルシウムの投与が奏効した49歳女性1例を経験したので報告する。【症例】49歳女性。既往歴は高血圧・糖尿病・子宮頸癌治療後。薬物過量内服による意識障害を主訴に当院へ搬送となった。内服したのは主にアムロジピンベシル酸塩で, 最大535mgを内服した。アムロジピンベシル酸塩の中毒症状として, 低血圧と急性腎機能障害を合併した。グルコン酸カルシウム水和物, グルカゴン, 静注用脂肪乳剤を投与したが循環動態への効果は乏しく, 塩化カルシウム水和物が効果を示した。塩化カルシウムの持続投与により循環動態を安定化することができ, 合併症なく第9病日にICUを退室し, 第12病日に自宅軽快退院となった。【考察】グルコン酸カルシウムに反応の乏しいカルシウム拮抗薬中毒症例において, 塩化カルシウム投与を試みることは有効と考えられる。

  • 藤田 晃浩, 本藤 憲一, 森 周介, 大友 康裕
    2019 年 39 巻 3 号 p. 370-372
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    外国人患者を医療機関が受け入れる際には, 医療通訳や医療安全, 宗教, 訴訟リスク, 未収金など問題点が多い。日本ではアジアで初めての第三国定住受け入れ国としてパイロットプログラムが開始され, 難民受け入れ数は増加傾向にあり, RHQやISSJなどの難民支援団体が積極的に活動している。今回, 我々は難民申請中の無保険状態の患者の治療に伴い, 患者の医療費負担額や未収金軽減のため, 特定活動ビザの取得や無料低額診療事業実施施設の利用, 医療通訳の派遣などの調整で難渋し, 入院期間が長期化した1例を報告する。今後も難民として認定されていない患者が来院する可能性は十分あり, 各病院でも対応を確認しておく必要がある。

  • 藤江 聡, 好川 謙一, 関 裕, 益子 邦洋, 安藤 高夫
    2019 年 39 巻 3 号 p. 373-375
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    線維筋痛症に対して長期ステロイド内服中の70歳女性。来院7日前より下痢, 嘔吐が出現し近医受診したが, 体動困難であったため当院に救急搬送された。来院時, 頻脈, 発熱を認めた。培養検査採取の上, 抗菌薬投与と十分な補液を行い, CT所見から誤嚥性肺炎と急性腸炎の診断で入院加療となった。入院1時間後, 意識レベル低下, 血圧低下に至り, 昇圧薬を含めた蘇生を行ったが反応せず死亡となった。翌日, 来院時採取された血液培養, 便培養からAeromonas hydrophilaが検出され, 腸炎から発症した敗血症の診断に至った。Aeromonas hydrophilaは夏季に多い腸炎の起因菌となるグラム通性陰性桿菌である。多くは自然軽快する腸炎として経過するが, 肝硬変, 担癌患者, 免疫不全者では時に壊死性筋膜炎のような軟部組織感染症, 特発性細菌性腹膜炎など重症感染症を来すことが知られている。Aeromonas hydrophilaによる急激な経過を来す症例も文献で報告されており, 本症例では腸炎からbacterial translocationを来したものと考えられた。

  • 齋藤 美沙
    2019 年 39 巻 3 号 p. 376-379
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    当ER-HCU病棟ではこれまで, 介護度の高い患者が自宅退院をした症例はなかった。入院前に比べ介護量が増加した患者が自宅退院を目指した取り組みについて報告する。80歳代, 女性。敗血症ショックにより入院後, 転院調整するが感染症があり難渋する。家族は在宅介護の経験もあり自宅退院を希望したため支援を開始する。キーパーソンは長女であったが, 主介護者は次女であり, 高齢でもあった。他職種と協働し技術習得の計画を立案した。入院前と比べ介護量の増加が著明であり, 技術習得の困難さが予測されたが, 家族は経験からできると思っていた。しかし進めていくと戸惑いや不安を訴え, 家族と医療者が思うことのギャップは大きいと感じた。それを埋めるために, 段階に合わせた指導や, 負担をかけすぎないことも重要である。また他職種と協働することでより適正な役割分担が可能となる。現在在宅療養の必要性が増しており, 救急病棟でも先を見据えた取り組みが必要とされる。

  • 大野 孝則, 堀内 弘司, 河西 克介, 比留川 賢一, 川上 正人
    2019 年 39 巻 3 号 p. 380-383
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    61歳女性, 意識障害を主訴に救急搬送となった。経過からは24時間から36時間経ったメタノール中毒によると診断した。推定メタノール血中濃度は331.5mg/dLであった。すでにpH6.713と代謝性アシドーシスを呈していたことから, メタノールからギ酸への代謝が進んでいることを考慮し, 間欠的血液浄化を行い血中メタノールおよびギ酸の除去を試みた。透析終了後pHは7.623まで改善していたものの2時間後に瞳孔散大となり, 頭部CT再検したところ著明なpsuedo-SAHを伴う脳腫を認めた。同様の経過をたどった過去の症例と比較したところ経過時間が長く, 来院時のメタノール濃度の高い症例では透析後に脳浮腫をきたす傾向があるようにみられた。脳浮腫の原因としては神経細胞内にメタノールもしくはその代謝物質が蓄積したことに伴う神経細胞内の再膨張によるものである可能性がある。

  • 井上 悠太郎, 萩原 章嘉, 佐藤 琢紀, 高谷 紗帆, 山本 真貴子, 木村 昭夫
    2019 年 39 巻 3 号 p. 384-386
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/01/31
    ジャーナル フリー

    77歳男性。右頸部から右肩にかけての痛みを訴え救急要請した。発熱およびCRPの上昇, 単純CTで左水腎症と腎周囲脂肪織混濁を認め左閉塞性腎盂腎炎の診断で緊急尿管ステント留置を行い, その後救命救急センターへ入院となった。第5病日になっても発熱やCRP高値が持続し, 加えて右頸部の疼痛の増悪と異常知覚を認めたため頸胸部の脊椎脊髄MRIを行った。第2-5胸椎椎体にSTIRで高信号, T1強調で低信号を示す領域を認め化膿性脊椎炎の診断となった。抗菌薬治療を続けたが右頸部の疼痛とCRP高値が持続していたため第8病日に超音波検査およびCTを施行した。小気泡が散在する膿瘍形成が認められ, 右深頸部膿瘍と診断した。切開排膿を行い, 連日創部の洗浄と抗菌薬投与を続け治癒に至った。急性腎盂腎炎に化膿性脊椎炎を合併した報告は散見されるが深頸部膿瘍を合併した報告例は少ない。ここに, 今回我々が経験した症例を報告する。

  • 唐津 進輔, 近藤 豊, 石原 唯史, 杉中 宏司, 松田 繁, 岡本 健, 田中 裕
    2019 年 39 巻 3 号 p. 387-390
    発行日: 2019/01/31
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    【背景】日本には年間約2,400万人の外国人旅行者が訪れるが, そのうち30%が保険未加入者であり, 医療費の未払いが問題となっている。そのため医療機関を受診する保険未加入の外国人への対応は喫緊の問題である。【症例】25歳男性, ベトナム国籍。右胸部痛, 呼吸困難を主訴に当院救急外来を受診。医療保険未加入のためベトナムで通院の方針となったが, 呼吸困難により入国管理局に出国を許可されず救急外来を再受診。呼吸窮迫のため同日入院となり骨髄穿刺より急性リンパ性白血病と診断された。しかしながら高額な医療を希望しなかったため, 呼吸状態改善に必要な胸水穿刺とステロイド投与を行った。状態改善し第5病日に退院したが, その後ベトナムで治療を継続し医療費は全額振り込まれた。【考察・結語】医療保険未加入の外国人患者においては医療費を考慮しながら, 必要な治療を選択しチームでの包括的なアプローチが重要と考えられた。

  • 荒井 翔也, 石上 雄一郎, 小川 敦裕, 菅原 誠太郎, 沼田 賢治, 中島 義之, 本間 洋輔, 溝辺 倫子, 高橋 仁, 井上 哲也, ...
    2019 年 39 巻 3 号 p. 391-393
    発行日: 2019/02/15
    公開日: 2019/02/15
    ジャーナル フリー

    症例は47歳男性, 体幹が右に傾く失調性歩行を主訴に来院した。小脳疾患などの頭蓋内病変が疑われたため頭部CT及び頭部MRI施行するも明らかな頭蓋内病変は認めなかった。右背部に手拳大の皮下腫瘤を認め, 体表超音波検査を施行すると皮膚直下にエコーフリースペースを認めた。腰部皮下膿瘍と診断, 切開排膿術及び抗菌薬治療を行うと失調性歩行は改善した。後日, 造影CTを施行すると, 右腰腸肋筋外周から腰方形筋背側に及ぶ膿瘍形成を認め, 最終的に傍脊柱起立筋膿瘍の診断に至った。脊柱起立筋は, 腸肋筋, 最長筋, 棘筋から構成され, 片側のみが動くと側屈, 回旋する。本症例では, 膿瘍周囲の脊柱起立筋へ炎症が波及し, その結果として右のみの脊柱起立筋が収縮し, 右に傾き失調性歩行となったと推測された。

  • 三崎 萌子, 弦切 純也, 長田 雄大, 佐野 秀史, 山中 浩史, 奥村 栄太郎, 坪内 信彦, 沼田 儒志, 新井 隆男
    2019 年 39 巻 3 号 p. 394-397
    発行日: 2019/02/25
    公開日: 2019/02/25
    ジャーナル フリー

    【はじめに】標準的な治療を行い, いったんは改善したが, すぐに再燃し重症化したマイコプラズマ (mycoplasma pneumonia ; MP) 肺炎の一例を経験したため報告する。【症例】75歳男性。特記すべき既往歴なし。重症MP肺炎の診断で入院となり, AZM 500mg/日×4日間を含む抗菌薬治療で呼吸状態が改善したため16日目に自宅退院した。しかし退院後すぐに呼吸困難を発症し, 退院4日目に再入院となった。気管挿管・人工呼吸管理およびMINO 200mg/日×22日間を含む抗菌薬治療等で治癒し入院69日目にリハビリテーション転院となった。【考察】本症例の再燃原因について, 病原菌がマクロライド耐性であった可能性, 抗菌薬の投与期間が短かった可能性, ステロイドの投与が有効であった可能性が考えられた。【おわりに】重症MP肺炎の治療は, 再発予防の観点からも, 症例ごとに臨機応変な対応を行う必要があると思われた。

原著論文
  • 川上 直樹, 岩崎 任, 大谷 典生, 石松 伸一
    2019 年 39 巻 3 号 p. 398-400
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー

    【背景】欧米では食塊による食道閉塞の発症に器質的疾患が関与する割合が60~80%とされている。【目的】食塊により食道閉塞している患者を後ろ向きに検討し器質的疾患の関与を明らかにする。【方法】10年間に上部消化管内視鏡 (以下, EGD) で食塊が食道を閉塞していることが確認された25例に対し患者背景, 原因疾患を後ろ向きに検討した。【結果】25例の内初回発症例は14例, 複数回発症例は11例であった。年齢, 性別, EGDにおける異常所見, 食道, 悪性腫瘍疾患既往の4項目において初回発症群, 複数回発症群に有意差を認めなかった。全体の60%に器質的疾患が関与しており, その中には医学的介入可能な疾患が存在していた。【考察】両群間で食道, 悪性腫瘍疾患既往に有意差はなく食塊により食道閉塞したことがあれば原因検索のためのEGDは施行すべきであると考える。また食塊により食道閉塞している患者背景に医学的介入可能な器質的疾患が潜在している事が改めて確認された。

  • 前谷 和秀, 柚木 良介, 則尾 弘文
    2019 年 39 巻 3 号 p. 401-404
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー

    当施設では, これまでバイタルサインの安定化の後に, 救急患者をストレッチャーに乗せて4階にあるCT室までエレベーターで上がってから, 一般外来患者の合間にCT撮影を施行していた。しかし, 2014年秋より, 初療室内にCT室を配置し, 安全かつ早期にCT撮影を行えるようになった。そのため, CT一体型初療室運用前後で, どのような診療状態の変化を来すのかを明確化するために本研究を行った。対象は, 2014年4月1日から1年間において, 救急車で搬入された患者のうち, CT撮影を行った1,928名の患者を対象とした。主な評価項目は, 来院からCT撮影までの時間, 来院から診断確定までの時間とした。CT導入前後を比較し, 来院から撮影までの時間は5分短縮し, 診断確定までの時間は12分短縮していた。特に, 高エネルギー外傷症例において時間短縮を認めた。CT一体型初療室の導入にて, 安全かつ迅速に診断ができ, 早期治療が行えるようになったため, 導入前後のデータを提示し, その有用性について報告する。

  • 山本 建太郎
    2019 年 39 巻 3 号 p. 405-408
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー

    救急業務に関連した事故・ヒヤリハット事例の発生要因を類型化し, 同種事故の再発防止について検討することを目的として, 総務省消防庁「消防ヒヤリハットデータベース」の全掲載事例から救急関連事例を抽出し, 心理的要因について分析した。その結果, 危機認知や注意力の欠如は, 焦りの状況よりも2倍近い頻度で事故・ヒヤリハットに結びつくことが示唆された。また事例の中心要素のうち, 直接要因としては行動の意思決定に関わるもの, 背後要因としては, 事故では集中力や注意力の欠如, ヒヤリハットでは偶然事故にならなかった・運が良かったとするものが最も多かった。これら教訓事例の危機認知や注意力の欠如が起きやすい状況を救急隊員の行動や時系列に沿って検証し, 明確化された直接要因や背後要因を各種危機管理能力向上方策に反映することにより, 今後さらに増大する救急需要に向けて同種事故の再発防止を図ることができると考える。

  • 谷河 篤, 清水 敬樹
    2019 年 39 巻 3 号 p. 409-412
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー

    集中治療室 (以下, ICU) で手術を行った症例を検討し, ICUでの手術について現状と課題を報告する。対象は2015年4月から2017年3月までの2年間で, 6症例 (胸部1例, 腹部5例) の手術計10件を検討した。症例はopen abdomen (以下, OA) に対して腹腔内観察や閉腹といった比較的短時間の手術から腸管切除や膵切除といった難易度の高い手術までと多岐にわたった。スタッフ不足という課題はあるが, 患者の全身状態や手術室が対応困難の場合はICUで手術を行う必要がある。

症例報告
  • 有馬 大輔
    2019 年 39 巻 3 号 p. 413-415
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー

    大動脈解離に意識障害を合併する場合は予後不良と言われている。当院で経験した意識障害を呈した大動脈解離の治療成績を検討した。手術を要したStanford A型の大動脈解離症例で意識障害を呈した13症例を対象とした。年齢は72±8歳, 男性比は30.8%であった。随伴所見として, 心タンポナーデ, 頸動脈高度狭窄/閉塞の合併率が高かった。重症意識障害 (Glasgow Coma Scale 3~8点) を呈した症例の死亡率は30.2%で, 重症度によらず術前に意識障害が進行した症例の死亡率は46.2%であった。重症意識障害を呈した大動脈解離の予後は不良であり, 経過中に意識障害が進行する症例も予後不良と考えられた。

  • 伊藤 達哉, 弦切 純也, 長田 雄大, 星合 朗, 櫻井 将継, 小西 浩之, 横森 良平, 小林 雄大, 新井 隆男
    2019 年 39 巻 3 号 p. 416-418
    発行日: 2019/03/25
    公開日: 2019/03/25
    ジャーナル フリー

    背景 : 急性胆囊炎の起炎菌として黄色ブドウ球菌 (MSSA) は稀であるが, 血行性移行などにより感染が成立することがある。症例 : 82歳女性。数カ月前より肝臓や腰椎に原発不明の転移腫瘍が発見され近医で精査中。当日, 意識障害とショックで救急搬送された。腹部CTにて胆囊の腫大と壁肥厚があるものの腹部の圧痛やMurphy徴候は不明瞭であった。翌日血液培養でグラム陽性球菌が陽性となった。第3病日に経皮胆囊ドレナージを施行したところ膿性胆汁が排出され全身状態が改善した。血液および胆汁培養ともに結果は黄色ブドウ球菌であった。考察・結論 : 急性胆囊炎の起炎菌として黄色ブドウ球菌の可能性は低いがゼロではない。したがって患者に胆囊炎を示唆する所見があるなら, 治療期を逸することなく, ドレナージを含めた適切な治療を考慮するべきと思われる。

  • 西野 将司, 須崎 紳一郎, 原田 尚重, 原 俊輔, 蕪木 友則, 寺岡 麻梨, 平山 優, 山本 浩大郎, 鈴木 秀鷹, 岸原 悠貴, ...
    2019 年 39 巻 3 号 p. 419-421
    発行日: 2019/03/27
    公開日: 2019/03/27
    ジャーナル フリー

    心肺停止後に頸髄虚血による四肢麻痺を認めた稀な症例を経験したので報告する。症例は62歳男性。当院泌尿器科にて尿膜管腫瘍切除術施行後5日目に病棟内で卒倒し精査したところ肺血栓塞栓症による閉塞性ショックであったことが判明した。その後心肺停止に陥り, 心肺蘇生術を施行。体外補助循環を確立し, 低体温療法を含めた全身管理目的にICU入室となった。体外補助循環を離脱し体温管理を終了したところ患者は頸部から上の運動の指示は入るものの四肢は動かず四肢麻痺の状態であった。この際に撮影したMRIで頸髄C5〜C7に虚血性変化を認めた。以降はリハビリとともに四肢麻痺は改善した。心停止後症候群の中でも心停止が脊髄に及ぼす影響は明らかになっておらず, 医療水準の向上に伴い社会復帰出来る症例も増えてきているため四肢麻痺の原因の一つとなりうる脊髄虚血を病態究明のための症例集積が待たれる。

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