日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
39 巻 , 2 号
日本救急医学会関東地方会雑誌
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原著論文
  • 内海 秀, 小倉 崇以, 内海 江里加, 藤塚 健次, 中村 光伸, 中野 実
    2018 年 39 巻 2 号 p. 210-213
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/25
    ジャーナル フリー

    外傷性大動脈損傷は, 致死的損傷の一つであり, 緊急手術を要することが多いとされる。しかしながら, 外傷性大動脈損傷に対し保存的治療にて軽快を得ることも経験しており, 今回, 外傷性大動脈損傷に対する保存的治療の妥当性について調査した。2007年1月~2016年9月の10年間に, 外傷性大動脈損傷と診断され当院に入院となった9例を対象とした。9例のうち, grade II が8例, grade III が1例であった。grade II については6名 (75%) が保存療法にて治療を完遂できた。その他の2例については, 1例は重症頭部外傷により死亡, もう1例は大動脈径の拡大により胸部大動脈ステントグラフト術 (TEVAR) を要したが, 救命に成功した。grade III の1例については, TEVARを施行し救命に成功した。外傷性大動脈損傷grade II に対する保存療法は, 妥当性の高い治療法である可能性がある。

  • 中島 功, 市村 篤, 本多 ゆみえ, 中川 儀英, 猪口 貞樹
    2018 年 39 巻 2 号 p. 214-218
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    感染個体の最終的判断は抗原抗体反応によるが, 鳥インフルエンザウイルス感染を疑う個体のスクリーニングを目的とし, 鳥類に非接触で呼吸・心拍をモニターできる透過型マイクロ波装置を開発し, 評価実験を行ったので報告する。鳥型インフルエンザウイルスがヒトのシアル酸レセプターに直接結合することが報告されており, 将来, パンデミックをきたす可能性を否定できない。スクリーニングとは感染確定ではなく, あくまでも感染を疑い, 集団から個体を隔離し, もって集団感染を予防し, ヒトへの感染防止やパンデミックを予知することを目指している。非接触透過型マイクロ波にて得られた持続的データは, 心拍数, RR間隔, 呼吸パターンときわめて高い相関があり, 感染早期より疑わしい個体をスクリーニングでき, 抗原抗体反応を待たなければならない現行システムに比べて時間的な利点が大きく, 集団感染を防ぐことができるであろう。

  • 迫田 典子, 大西 真裕, 池田 尚人, 小菅 宇之, 奈良 和恵
    2018 年 39 巻 2 号 p. 219-221
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    心肺蘇生 (cardiopulmonary resuscitation ; CPR) の経験が少ない急性期病棟の看護師5名に対して, 一次救命処置 (Basic Life Support ; BLS) コース (以下, BLSコース) 受講後2年間のCPRの質の維持に必要な支援体制について聞き取り調査を実施した。CPRの質の維持の方法は, 受講内容や臨床場面を想起しスキルの再確認と定期的なスキルの確認が必要と認識していた。必要な支援体制として, CPRのスキルを習得している教育者の存在が必要であり, スキル維持に影響を与えていたことが明らかになった。今後は, 教育者の支援内容について, 具体化することが求められる。

  • 吉田 徹, 堤 健, 吉田 稔, 若竹 春明, 北野 夕佳, 桝井 良裕, 吉田 英樹, 藤谷 茂樹, 平 泰彦
    2018 年 39 巻 2 号 p. 222-226
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    感染性心内膜炎 (以下, IE) の診断には改訂Duke臨床的診断基準 (以下, Duke基準) が用いられ, IEの可能性あり (以下, IE可能性) では経食道心臓超音波検査 (以下, TEE) が推奨されるが, 非侵襲的に施行前確率を高める手段が望まれる。今回われわれは, 血中心筋トロポニン I (以下, cTn I) の評価を試みた。

    【方法】2016年11月~2017年9月に, Duke基準IE可能性例で, 心臓超音波検査でのIE確定診断 (以下, IE確診) の有無と血中cTn I 値の関係を後ろ向き調査した。

    【結果】対象症例は10例であった。cTn I 値のcut-offを0.056ng/mLにとると, IE確診例6例のうち5例が陽性, IE非確診例では全例が陰性であった (p=0.0476) 。左心系自然弁罹患例では, 全例陽性であった (p=0.0079) 。

    【考察・結語】Duke基準IE可能性例での心臓超音波検査でのIE確診の有無と血中cTn I 値には有意な関連が考えられた。今後, 前向き・多数例での検証を考えたい。

  • 森下 幸治, 加地 正人, 相星 淳一, 本藤 憲一, 田邉 稔, 大友 康裕
    2018 年 39 巻 2 号 p. 227-231
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    わが国の救急医療は主にemergency room (ER), 重症初療, 集中治療, 病院前診療から成り立っているが, 地域性や施設の体制や特性などにより, 求められる救急医療の診療スタイルは異なっている。東京医科歯科大学医学部附属病院の救命救急センターは開設当初より救急科と外科 (外傷・救急外科) を両輪としてきた。救急と外科のスペシャリティを持ち合わせ診療を行うことは, (1)緊急度の高い患者に対する迅速な受け入れ, (2)初期診療からシームレスな処置ならびに手術, (3)術後重症患者の集中治療管理, (4)合併症を有する患者の周術期管理, (5)術中急変のみならず他科の院内急変対応等を可能とする。救急科と外科を両輪とする当科の目指したAcute Care Surgeryのニーズは高まっており, それを目指す若手医師は増えている。救急と外科の両方のスペシャリティをもつ救急医を育成することは今後も重要な課題である。

  • 宮崎 弘志, 古谷 良輔, 望月 聡之, 藤井 裕人, 鈴木 誠也, 三澤 菜穂, 山縣 英尋, 武田 知晃, 大矢 あいみ
    2018 年 39 巻 2 号 p. 232-235
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    気管切開手術はICUで行われる外科処置として一般的であるが, 適応, 時期, 術式などに明確な基準はない。国立病院機構横浜医療センターのICUで2012~2017年に行われ, 麻酔記録が残る97例を後方視的に調査した。患者の年齢中央値は72歳で, 50歳未満は15例, 男女比は65 : 32, もっとも多い原因は呼吸不全だった。術式は外科的気管切開術が65例, 経皮気管切開術が15例, 外科的に気管を露出し穿刺するハイブリッド法が13例, 不明4例であった。手術時間は経皮気管切開術が有意に短く30±13分 (平均±SD), 外科的気管切開術41±13分, ハイブリッド法47±13分であった。術式間では体重に差はなかった。気管切開の至適時期は明確ではないが, 中央値8日 (2~24日) であった。周術期合併症は事故抜管が1例あった。経皮気管切開術は優れた方法であるが, 外科的気管切開術が好まれたのは比較的若い術者が多かったことが考えられる。男女比が2と差があったが原因は不明であった。

  • 渡 潤
    2018 年 39 巻 2 号 p. 236-240
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    CPAにて搬送され結果的に死亡した症例に対し死後CT (オートプシー・イメージング。以下, Ai) を施行し死因究明の有用性を検討したので報告する。対象は2009~2016年, 海老名総合病院にCPAにて搬送され死亡確認後, Aiを撮像した285例。年齢は0~104歳, 中央値は74歳。頭部, 頸部および躯幹部 (胸部~骨盤部) をMDCTを用い撮影し, 放射線科専門医かつAi学会認定医が読影した。結果, CT画像のみから死因が判明した症例は78例であり, 大動脈解離・大動脈瘤破裂40例, くも膜下出血・脳内出血12例, 血性心囊液による心タンポナーデ8例と続いた。死亡時の状況と併せて死因を推定できたのは21例であり, 最多が溺水14例であった。今回の検討では285例中99例 (35%) で死因の推定ができた。CPAで搬送され結果的に死亡したが死因が不明であった場合に, Aiはその原因検索に有用である可能性が示唆された。

  • 山口 遼, 中村 香代
    2018 年 39 巻 2 号 p. 241-245
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は60代女性 (A氏) 。1年前に膵頭部がんに対し膵頭部十二指腸切除をした。その際, 疼痛コントロールを十分に図ることができず, 疼痛が増強することに恐怖を感じていた。今回, A氏は膵頭部腫瘍の再発の診断を受け, 膵臓全摘術が必要であった。前回の手術でA氏は術後疼痛による恐怖体験を抱えており, 手術に対し否定的な発言が聞かれた。そのため, 術直後から2種類の疼痛スケールを選択し, 評価・介入を行った。A氏の疼痛を主観的のみならず, 客観的にも評価することで, 術後早期から疼痛コントロールへの介入ができた。そのことから, 単に複数のスケールを使用するのではなく, 患者と看護師が一緒に評価できるスケールを選択し介入することの重要性を確認できた。また早期から疼痛コントロールを図ったことが, 退院を視野に入れた, 生活調整へと目を向ける成果となった。これらの心理的変化について症例を通し報告していく。

  • 迫田 典子, 池田 尚人, 大西 真裕
    2018 年 39 巻 2 号 p. 246-250
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    心肺蘇生法 (cardiopulmonary resuscitation ; CPR) の経験が少ない急性期病棟看護師の救急看護実践能力向上のための教育計画を検討した。教育計画導入前の看護師24名のクリニカルラダー (clinical ladder ; CL) 構成は, CL I 4名, CL II 15名, CL III 5名, 導入1年後には, CL I 1名, CL II 14名, CL III 9名となった。年間の教育計画は, まず病棟内の教育担当者がCLごとに作成した。次に支援体制は, 病棟内の看護師を2グループに分け支援者と被支援者を決定し, 被支援者の教育計画の進捗状況について毎月1回確認して評価および修正を行った。救急看護の知識・技術の向上と維持のためすべての看護師がCPRと救急看護の研修に参加した。また病棟内の教育担当者が主体となり, 急変時の対応について月1回のカンファレンスの実施と急変時対応時には当日または数日以内にデブリーフィングの実施により実施内容の振り返りを行った。これらの取り組みがCLラダーの向上に影響していたと考えられる。今後の課題は, CL別の教育計画の継続, CPRの質の維持・向上のための定期的な講習会の受講, 支援体制の強化には看護師間の連携が必要である。

  • 問田 千晶, 六車 崇, 竹内 一郎
    2018 年 39 巻 2 号 p. 251-254
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    【はじめに】小児院外心停止は予後不良な疾患である。小児院外心停止後の神経学的予後不良を判断する既存の2基準を用いて, 小児院外心停止90日後の神経学的転帰不良の判断精度を検証した。【方法】日本救急医学会多施設共同院外心停止レジストリの登録データ (134,951例) のうち18歳未満の小児例を対象にした後方視的検証を行った。神経学的予後不良の判断項目は, 基準1 : バイスタンダーの目撃なし, かつ病院到着前の心拍再開なし, 基準2 : バイスタンダーの目撃なし, かつ心電図波形が心静止, である。【結果】小児院外心停止例は319例。2基準の感度/特異度/陽性的中率/陰性的中率は, 基準1 (55.3%/100%/100%/6.6%), 基準2 (39.2%/100%/100%/5.1%) であった。【考察】小児の院外心停止に対する予後判断基準の臨床応用には, TOR基準の是非も含めた追加の検証が不可欠である。

症例報告
  • 堀田 悠人, 伊藤 敏孝, 杉村 真美子, 金澤 将志, 今村 友典, 中野 貴明, 竹本 正明
    2018 年 39 巻 2 号 p. 255-257
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    【症例】14歳男性。【主訴】左下腹部痛。【現病歴】2週間前より左下腹部痛があった。中学校の体育の授業でリレーの練習中に走っていたところ, 左下腹部に激痛が出現し, 痛みによる体動困難のため救急要請となった。【来院後経過】左下腹部の圧痛, 左股関節動作時の痛みを認めた。CT画像では, 上前腸骨棘に剝離骨折を認め, 体動困難であったため, ベッド上安静とし数日経過後退院となった。【考察】腸骨の剝離骨折は, 運動時の付着筋の収縮による牽引が原因となって生じる。好発年齢は, 骨の成長期にあり腸骨稜に骨端線が存在する10代であり, 骨端線部の牽引に対する脆弱性がその原因である。剝離骨折部位の痛みは強く, 身体所見からは疼痛部位の同定が困難であり, 内科的疾患との判別に難渋することがあると考えられた。そのため, 運動後の下腹部痛では腸骨の剝離骨折を念頭に置いて, 診察およびCT読影を行うことが重要であるといえる。

  • 秋山 真之, 金谷 貴大, 重田 健太, 瀧口 徹, 石木 義人, 萩原 純, 石井 浩統, 恩田 秀賢, 増野 智彦, 小笠原 智子, 金 ...
    2018 年 39 巻 2 号 p. 258-261
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    70代の女性。自殺企図で約20cmの千枚通しで自身の腹部を刺し体動困難となった。7時間後に千枚通しが刺さったまま当院に搬送となった。CTでは成傷器の周囲に少量の血腫を認めたが, 明らかなextravasationは認めなかった。成傷器が胃を貫通していることは断定できたが, 血管損傷はアーチファクトで判断が困難であった。成傷器除去と臓器損傷の確認・修復のため緊急手術となった。千枚通しは幽門輪の口側の胃を貫通し膵頭部下縁の後腹膜を通り下大静脈と腹部大動脈の間を貫き椎骨で止まっていた。胃部分切除を行い, 成傷器を抜去したが門脈を貫いていたため門脈・脾静脈・下腸間膜静脈・上腸間膜静脈をクランプし修復した。合併症なく経過し, 術後20日で退院となった。刺創では成傷器は抜去しないことがスタンダードとされているが, 今回抜去されずに搬送されたため, 門脈貫通部からの出血がなく救命し得た腹部刺創の1例を経験したので文献的考察を加え報告する。

  • 木村 龍太郎, 竹本 正明, 杉村 真美子, 金澤 将史, 今村 友典, 中野 貴明, 伊藤 敏孝
    2018 年 39 巻 2 号 p. 262-264
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    【症例】14歳, 女性【主訴】左示指刺創【現病歴】家庭科の授業中にミシンを用いて裁縫中に誤って左示指の末節にミシン針が刺さり救急要請となった。救急隊はミシンを破壊し本体の一部をつけたまま搬送した。【来院後経過】救急外来にて針に付着した布押さえの部分を工事用ペンチで破壊した。針と糸が共に指を手背側から手掌側へ貫通している状態であった。左示指に局所麻酔し, 針の末端部分の一部を切断し, 手掌側の針の先端をペンチで把持して引き抜くように糸と共に除去した。除去後, 止血を確認し, 帰宅とした。【考察】ミシンの縫い目は2本の糸が絡み合うことによって作られる。その構造上ミシン針の糸通しは針の先端についているためミシン作業中の刺創では針と共に糸が必ず体内を通過する。その構造を把握しないで針だけを抜去すると糸が皮膚の中に残存することがある。ミシン針の貫通創の処置では抜去時にミシンの仕組みを知る必要があると考えた。

  • 早野 大輔, 林 宗博, 刀祢 麻里, 齋藤 豊
    2018 年 39 巻 2 号 p. 265-269
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    呼吸サポートチーム (RST) が介入することにより良好に呼吸ケアされた福山型先天性筋ジストロフィー患者の1例を経験したので報告する。

    16歳, 男性。呼吸苦を訴えた後, 心肺停止となり緊急搬送された。蘇生により心拍再開し体温管理療法が実施された。心肺停止の原因は福山型先天性筋ジストロフィーによる呼吸筋の筋力低下と肺炎による呼吸不全と考えられた。気管切開術を施行後に一般病棟に転棟した。病棟では呼吸ケアをRSTが積極的にサポートした。

    福山型筋ジストロフィーは骨格筋障害に伴う運動機能障害を主症状とした遺伝性筋疾患である。進行とともに四肢関節拘縮や脊柱や胸郭の強い変形, 呼吸筋力低下をきたし呼吸機能に障害を生じる。一般病棟においては人工呼吸器を日常的に扱っておらず, 重症呼吸不全患者の管理が困難であった。RSTが介入することにより, 医療従事者の不安が解消され, 安全かつ適切な呼吸ケアを実現することができると考えられた。

  • 飯島 宏章, 青木 弘道, 寺邑 尭信, 渡邉 悠, 猪口 貞樹
    2018 年 39 巻 2 号 p. 270-274
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は78歳, 男性。1月下旬午前5時ごろ, 自宅廊下のトイレ前で倒れているころを妻に発見され救急要請となった。来院時, GCS E1V1M5の意識障害と低体温 (直腸温29.5℃) を認めた。気管挿管を試みたが, 著明な気道狭窄のため声帯より中枢側への挿管チューブの挿入は困難であった。このため, 直ちに輪状甲状靱帯切開を施行し気道確保を行った。血液ガス分析で混合性アシドーシスを認めた。入院後の喉頭ファイバー, 造影CT, 生検により気道狭窄は声門下癌によるものであることが判明し, CO2ナルコーシスにより意識障害をきたし, 低体温を生じたものと考えられた。声門下癌はまれな疾患であるが, 挿管困難例や切迫窒息例ではこうした疾患を念頭に置く必要があり, 迅速な緊急気道確保を行うことが重要であると考えられた。

  • 杉村 真美子, 竹本 正明, 金澤 将史, 今村 友典, 中野 貴明, 戸部 有希子, 伊藤 敏孝
    2018 年 39 巻 2 号 p. 275-277
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は, 14歳女子2人。2カ月ほど前から2人で自殺することを計画してインターネットで情報を集め, 通販サイトで浮揚用のヘリウムガスを購入していた。ヘリウムガスをビニール袋で互いに吸わせ合ったが死ねず, 警察へ連絡し, 警察から救急要請となった。ヘリウムガスを密閉状態で吸入できていなかったため, 身体的にも検査上も明らかな異常は認めなかった。様子観察のため入院としたが問題なく, 精神科診察の後, 退院となった。浮揚用のヘリウムガスには酸素が添加されていないため, 密閉状態で吸入すると窒息死する。この情報はインターネットで気軽に得ることができ, さらにインターネットの通販サイトで誰でもヘリウムガスを気軽に入手することが可能である。今回のように若年者でも身元確認なく手軽に購入できるため注意が必要であり, 早急な対策が必要である。

  • 宮内 雅人, 須崎 真, 増野 智彦, 横田 裕行
    2018 年 39 巻 2 号 p. 278-280
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    はじめに : 救急外来に外傷で来院し, 予期せずがんの存在が明らかになった報告はほとんどない。症例 : 症例1, 70代, 女性。来院10日前, 路上で誤って転倒し, 左前胸部を受傷した。来院時の胸部CTにて, 右肺に浸潤影が認められ, 肺炎との画像診断報告であった。呼吸器科専門医にコンサルトしたところ, のちに高分化型腺がんの診断となった。症例2 : 80代, 男性。自宅階段4段より転落し, 第7頸椎, 第1胸椎, 第2胸椎棘突起骨折, 第11胸椎, 第1腰椎圧迫骨折で入院となった。しかし第2病日より血尿著明であり, 入院時のCTを見直したところ, 膀胱壁の肥厚があり, 泌尿器科コンサルトとなった。のちに膀胱がんの診断となった。考察・結語 : 外傷においてCT検査は, 偶発的ながんの診断に有効であり, 画像診断報告書などの確認は大切である。しかし, 報告内容だけではがんの確定診断は困難なため, 画像所見などで異常所見がみられる場合, 速やかな専門医へのコンサルトが大切である。

  • 長谷川 綾香, 佐々木 庸郎, 野原 春菜, 有野 聡, 松吉 健夫, 一瀨 麻紀, 山口 和将, 小島 直樹, 稲川 博司, 岡田 保誠
    2018 年 39 巻 2 号 p. 281-284
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は65歳男性で海釣りに行った2日後に救急搬送となった。来院時はショックを呈しており, 左下腿の著明な浮腫と両下腿に地図状の紫斑が認められた。時間経過とともに紫斑の著明な拡大が認められ, 壊死性筋膜炎による敗血症性ショックと考えたため, 感染巣コントロール目的に両側大腿切断術を施行するとともに, ビブリオ・バルニフィカスをカバーした複数の抗菌薬投与を行った。手術後に右上肢の紫斑が拡大している所見を認め, 右上肢も切断が必要と考えられた。しかし, 患者家族が右上肢切断は希望しなかったため, 可及的なデブリドマンを連日施行した。入院後, 局所や血液培養からビブリオ・バルニフィカスが検出され, 同菌による壊死性筋膜炎, 敗血症性ショックと確定診断した。連日のデブリドマン, 血液浄化などの集中治療の結果, 循環動態は徐々に改善した。その後各種合併症の治療に難渋したが, 長期にわたる集中治療ののち入院71日目にICUを退出した。

  • 藤綱 隆太朗, 白川 和宏, 石田 径子, 井上 聡, 鳥海 聡, 金子 翔太郎, 土屋 光正, 宮嶌 和宏, 三吉 貴大, 植松 敬子, ...
    2018 年 39 巻 2 号 p. 285-287
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    ナツメグは香辛料としてハンバーグなどの肉料理に用いられ, わが国でも容易に入手可能である。欧米では急性中毒を起こす原因物質として一般的に知られており, 死亡例も報告されている。米国の報告では自殺目的の大量摂取のほか, 意図せずにナツメグ中毒となっている例も半数以上を占めている。しかしわが国では症例報告は少なく, 中毒の原因としてはあまり知られていない。

    本症例は香辛料としてナツメグ10gを摂取した。その後, 浮遊感, 動悸などが出現, 不穏となった。自身でインターネット検索し, ナツメグ中毒の症状と合致することに気づき, 救急要請した。来院時, 不安感と口渇感を訴え, 興奮気味であったが, 安静にて経過観察を行い, 症状は改善した。

    本症例は患者自らのナツメグ摂取の申告により診断に至ったが, 本人の自覚なくナツメグ中毒に至る症例もあると思われる。そのため, 急性の精神異常を呈した症例では原因中毒物質として鑑別にあげる必要があると考える。

  • 秋田 啓介, 楢橋 和真, 稲葉 健介, 玉造 吉樹, 福井 大治郎, 菊地 斉, 遠藤 浩志, 須田 高之, 村岡 麻樹
    2018 年 39 巻 2 号 p. 288-290
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    アルコール性大腿骨頭壊死に伴う疼痛のコントロール目的にフェンタニル経皮吸収型製剤が処方されていた52歳男性が意識障害と呼吸抑制のため救急搬送された。フェンタニル経皮吸収型製剤が計7枚貼付されており, 意識障害と呼吸抑制の原因として麻薬中毒の関与を強く疑った。貼付剤を剝奪し人工呼吸器管理にて加療を行ったところ症状は軽快した。経皮吸収型製剤を使用している患者では貼付剤の過量貼付の可能性を常に考えなければならない。

  • 倉本 悠里, 千葉 宣孝, 杉田 篤紀, 賀川 哲夫, 馬渡 貴之, 齋藤 豪, 櫻井 淳, 木下 浩作
    2018 年 39 巻 2 号 p. 291-294
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例1は50代女性。呼吸困難で受診し, 心臓超音波検査で下大静脈から右心房入口部にかけて限局して浮遊する構造物があった。抗凝固療法を開始したが, 精査中に肺動脈に塞栓し, 循環動態が破綻し死亡した。CT検査で乳腺腫瘍があり, 生検の結果は浸潤性乳管癌であった。症例2は80代女性。意識障害で入院し, 頭部MRI検査で急性期多発脳梗塞があった。入院中に下血があったためCT検査を施行すると大腸腫瘍があった。下部消化管内視鏡検査による生検の結果は腺癌であった。2症例とも原因不明の塞栓症であり, 悪性腫瘍が存在していたことからTrousseau症候群を考えた。Trousseau症候群は原疾患の治療が重要となるため, 原因不明の血栓塞栓症例では, 治療と並行してTrousseau症候群を考え悪性腫瘍の精査を行うべきと考える。

  • 長嶺 嘉通, 瀧口 徹, 重田 健太, 秋山 真之, 石木 義人, 萩原 純, 石井 浩統, 増野 智彦, 小笠原 智子, 金 史英, 辻井 ...
    2018 年 39 巻 2 号 p. 295-298
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は40代男性。前医にて10日前に全大腸型潰瘍性大腸炎と診断された。メサラジン・プレドニゾロン内服が開始されていたが, 病勢コントロールは不良であった。前医にて下腹部痛と造影CTで直腸 (Rb) の穿通を認めたため, 当院へ転送された。直腸穿通に対し, 同日緊急でS状結腸双孔式人工肛門造設術, 経皮的傍直腸周囲ドレナージ術を行い, 可及的に大腸温存を図った。術後第3病日に人工肛門から大量下血を認めた。経皮的動脈塞栓術で止血後, 結腸亜全摘・回腸人工肛門造設術を行った。術後合併症として麻痺性イレウスを認めたものの軽快し, 術後第47病日に自宅退院し, 術後6カ月に直腸切断術を行った。

    潰瘍性大腸炎における緊急手術は, 待機的手術と比べリスクも高い。病勢コントロールは不良であったが, 病状を厳重に監視し迅速に外科的治療介入を行うことで救命し得た潰瘍性大腸炎の1例を経験した。

  • 小口 萌, 湯澤 紘子, 木村 友則, 森戸 知宏, 水嶋 翔平, 貞廣 智仁
    2018 年 39 巻 2 号 p. 299-302
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は心房細動に対しダビガトランを内服中の54歳男性。来院時, 喀血があり頻呼吸と酸素化能の低下を認めた。血液検査で貧血, 代謝性アシドーシス, 腎機能障害, 凝固障害があり, 胸部CT検査では両肺野に浸潤影やすりガラス影を認めた。airway pressure release ventilation (APRV) モードでの人工呼吸管理を開始したが喀血の制御が困難であり, 輸血に加えてイダルシズマブを投与した。投与後に喀血が減少し, その後凝固機能検査の値は正常化した。全身管理を行いながらステロイドパルス療法や血漿交換を施行し第50病日に自宅退院した。各種検査から顕微鏡的多発血管炎による肺胞出血の診断となった。本症例ではダビガトランの内服により出血傾向をきたしており出血のコントロールに難渋したが, イダルシズマブが止血に効果を発揮したと考えられ, 救命することができた。抗凝固薬内服中の出血性合併症に対応するために各抗凝固薬に対しての特異的拮抗薬の開発が望まれる。

  • 室原 誉伶, 金井 信恭, 安倍 晋也, 登坂 淳
    2018 年 39 巻 2 号 p. 303-306
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    アナフィラキシーショックに対してアドレナリン投与後に冠攣縮性狭心症を呈した症例を経験したため報告する。症例は55歳男性。S状結腸癌肝転移に対する外科的治療後, cetuximab, 5-fluorouracil, leucovorin, oxaliplatinにてアジュバント療法を行っていた。本院外科外来にて3コース目を投与中に体幹の皮疹, 嘔吐, 血圧低下, 酸素化低下を認め直ちに救急外来に搬送とした。アナフィラキシーショックと判断し, 救急外来にてアドレナリン0.3mgを筋肉内注射した。その5分後に激烈な胸痛が出現し, 12誘導心電図では II , III , aVfでST上昇を認めた。投与約20分後に正常波形に自然に改善した。緊急冠動脈造影検査を施行したが, 冠動脈に有意な狭窄は認めず冠攣縮性狭心症と診断した。

  • 櫻井 陽奈子, 笹尾 健一郎, 菅原 洋子, 入野 志保, 武部 元次郎, 土屋 悠海, 関根 和彦
    2018 年 39 巻 2 号 p. 307-310
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は67歳独居男性。肺扁平上皮癌に対する左肺全摘除術後の II 型呼吸不全のため在宅酸素療法導入中であった。居室で倒れているところを知人に発見されて救急搬送となり, 深昏睡のため緊急気管挿管後に原因を検索した。トライエージ DOA®でtetrahydrocannabinol (THC) 反応陽性を認めたが, 特定のトキシドロームはなく, II 型呼吸不全急性増悪による意識障害と判断された。支持療法のみで速やかに呼吸不全から離脱し, 覚醒後に患者は大麻の使用歴を否定した。廃用萎縮の進行により入院中の大麻使用は不可能であったが, 退院前 (第100病日) のトライエージ DOA®でもTHC反応が陽性を呈した。入院中もHIV感染に対してエファビレンツ内服が継続されたが, エファビレンツの内服により簡易型尿中薬物検出キットでTHC偽陽性を示すことが文献で報告されていることから, 偽陽性が考えられた。

  • 伊藤 鮎美, 小倉 崇以, 中村 光伸, 酒井 龍一
    2018 年 39 巻 2 号 p. 311-314
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は60代男性。インフルエンザ感染後メシチリン感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) 肺炎, ショックに対し対外式膜型人工肺 (extracorporeal membrane oxygenation ; ECMO) 管理目的に当院に転院となった。VV-ECMOを導入し治療を開始したが, 入院後より血小板減少が進行し, 1.0×104/µLを下回る重症血小板減少症に至った。血小板輸血を繰り返すも血小板数の維持が困難であり, 出血リスクからECMO継続が困難と判断し, 入院5日目にECMOを離脱した。入院12日目に人工呼吸器離脱したものの, 胸部CTで肺野の囊胞性変化と低酸素血症が残存した。血小板減少によりECMOの早期離脱を余儀なくされた症例を経験した。出血性合併症リスクと肺保護の観点からECMO継続の是非を日々検討する必要がある。

  • 久村 正樹, 藤井 昌子, 松枝 秀世, 城下 翠, 橋本 昌幸, 中村 元洋, 淺野 祥孝, 久木原 由里子, 大井 秀則, 平松 玄太郎 ...
    2018 年 39 巻 2 号 p. 315-318
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は55歳男性。自殺企図で有機リン製剤を飲み, 埼玉医科大学総合医療センターに救急搬送された。病着時, Glasgow Coma Scale 14 (E3V5M6) と軽度の意識障害と瞳孔径2mm/2mmの縮瞳, および著明な流涎を認めていた。血液検査ではコリンエステラーゼ値が4U/Lと低下し, 血清からはジクロルボスが検出された。有機リン中毒と診断し呼吸管理を中心に加療を行った。第4病日からリハビリテーション (以下, リハビリ) を開始したが, 第25病日に両足の動かしづらさを訴えるようになった。第33病日に歩行困難となりICU-acquired weaknessの診断基準を満たすようになったが, リハビリ病歴から原因は有機リンの遅発性多発神経炎と診断できた。このため病態に沿ったリハビリが継続できた。第43病日に自力歩行が可能となり, 第65病日に独歩で転院した。重症患者に早期からリハビリを導入することは, 治療のみならず診断にも寄与する可能性がある。

  • 一瀬 麻紀, 岡田 保誠, 稲川 博司, 小島 直樹, 山口 和将, 佐々木 庸朗, 杉田 学
    2018 年 39 巻 2 号 p. 319-322
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    クローン病における消化管穿孔の頻度はまれであり, 未診断のクローン病患者を術前に診断することは困難である。消化管穿孔により手術を施行しクローン病の診断に至った症例を経験した。症例は50代, 男性, 吐血を主訴に公立昭和病院へ救急搬送された。腹膜刺激症状もあり, 造影CTを施行し, free airと小腸壁の肥厚・狭窄を認め, 炎症性腸疾患による消化管穿孔が疑われ同日開腹手術を行った。回腸に1cmの穿孔を認め周囲の腸管は拡張と狭窄を繰り返し腸管内部は一部潰瘍を形成していた。病変部小腸を50cm切除し吻合した。病理検査では類上皮細胞性肉芽腫を認めクローン病と診断した。わが国のクローン病による消化管穿孔は4%とまれであり, 穿孔で初発した患者は70%と報告されている。本症例も未診断であり術後クローン病の確定診断に至った。近年クローン病が増加しており, 消化管穿孔による汎発性腹膜炎の鑑別診断に本症も念頭に置く必要がある。

  • 平良 悠, 柏浦 正広, 中村 雅人, 福島 史人, 笹井 史也, 鈴木 涼平, 天笠 俊介, 田村 洋行, 下山 哲, 海老原 貴之, 千 ...
    2018 年 39 巻 2 号 p. 323-325
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は50歳女性。入院3日前から自然軽快する運動性失語, 右上肢麻痺があり, TIAの診断で前医に入院したが汎血球減少があり, 当院へ転院した。入院時は意識清明で, 血小板減少と溶血性貧血があった。第3病日より頭痛, 嘔気, 発熱があり, 第5病日には見当識障害をきたした。直接クームス試験陽性であり, また破砕赤血球が第5病日までみられず, TTPとAIHA+ITPの鑑別に難渋し, 第5病日からプレドニゾロン1 mg/kg/日を開始し, 第6病日から血漿交換を開始した。第10病日にADAMTS13活性低下, ADAMTS13インヒビター陽性が判明し, 後天性TTPと確定診断した。変動する意識障害が続き, 第11病日からステロイドパルス療法を行うも改善なく, 第14病日に強直性痙攣が出現した。シクロホスファミドも追加したが, 第15病日に死亡した。TTPは早期診断, 早期治療が重要な致死的疾患であるが, その早期診断は容易ではない。PLASMICスコアが早期臨床診断に有用である可能性があると考える。

  • 高橋 慶, 富永 直樹, 瀧口 徹, 川端 真里佐, 土合 昌巳, 五十嵐 豊, 萩原 純, 横堀 將司, 根井 貴人, 小泉 信夫, 増野 ...
    2018 年 39 巻 2 号 p. 326-330
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は50代男性。数日前からの発熱, 下痢を主訴に前医受診し, 高度の肝・腎機能障害を認めたため, 当施設に転院搬送となった。アルコール性肝機能障害およびC型肝炎の既往があったため, 当初それらによる病態を疑い診療を開始した。しかし, 画像上で腹部臓器の器質的異常がみられないなど, 既往疾患の急性増悪としては非典型的であった。そこで詳細な病歴聴取をしたところ, 一般廃棄物運搬業に就労していることが判明した。不衛生な環境を背景に, 肝・腎機能障害, 血小板減少が主症状としてあることからレプトスピラ症を疑い, 血清PCR検査などで確定診断に至った。わが国におけるレプトスピラ症は比較的まれな疾患であるが, 重篤であり死亡例の報告もある。原因不明の肝・腎機能障害, 血小板減少を認めた場合はレプトスピラ症も念頭に置き, 速やかに病歴聴取をして診断に至ることが重要と考えられた。

  • 武田 知晃, 古谷 良輔, 宮崎 弘志, 望月 聡之, 藤井 裕人, 鈴木 誠也, 山縣 英尋, 三澤 菜穂, 大矢 あいみ
    2018 年 39 巻 2 号 p. 331-334
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は22歳男性である。自動二輪車で転倒し, 腹痛を主訴に横浜医療センターへ救急搬送された。造影CTで右腎損傷を認めたが, 血管外漏出の所見は認めずバイタルサインも安定していたため保存的加療の方針とした。翌日には経口摂取を開始できたが, 徐々に腹痛の再燃を認めた。再検した腹部CTで十二指腸下行脚から水平脚にかけて腫瘤様陰影を認めた。遅発性の外傷性十二指腸壁内血腫の診断であった。内腔の狭窄は高度であり手術も十分検討される症例ではあったが, バイタルサインは安定しており貧血の進行も軽度であったため保存的加療の方針とした。その後, 胃管からの排液量も徐々に減り良好な経過をたどった。結果, 侵襲の少ない保存的加療で第36病日に退院することができた。一般的に十二指腸壁内血腫は保存的加療が第一選択とされているが, さまざまな合併症には十分注意し, 管理するうえでは胃管からの排液量や適切な画像フォローが必要であると考える。

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