日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
40 巻 , 3 号
日本救急医学会関東地方会雑誌
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
症例報告
  • 吉田 徹, 堤 健, 栗栖 美由希, 岩井 俊介, 三上 翔平, 吉田 稔, 若竹 春明, 北野 夕佳, 桝井 良裕, 藤谷 茂樹, 平 泰 ...
    2019 年 40 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル フリー

    向精神薬によるARDS (acute respiratory distress syndrome) の報告は限られており, また, ARDSや薬物中毒に対してECMO (extracorporeal membrane oxygenation) の有用性が指摘されている。【症例】20歳代女性。うつ病等で精神科通院中。フェノチアジン系抗精神病薬, ベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬, オレキシン受容体拮抗薬, ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の過量服薬を行い, 服用後約5時間で救急搬送された。来院時意識レベルE3V5M6, その他バイタルサインに大きな所見はなかった。入院後に低酸素血症出現, 胸部単純X線で肺水腫の所見を認めた。人工呼吸管理を施行するも心停止し, VA-ECMOを導入した。頭部・上肢の酸素化不良に対しVVA-ECMOとした。第6病日にVVA-ECMOを離脱, 第32病日に転院した。【考察・結語】本症例は, ARDSから心停止, VVA-ECMOを必要とした。過量服薬した原因薬剤のうち, フェノチアジン系抗精神病薬以外は今までARDSの報告はなく, 注意が必要と考えられた。

  • 今村 友典, 藤本 竜平, 小松 祐美, 金井 尚之
    2019 年 40 巻 3 号 p. 226-228
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル フリー

    【緒言】稀な腹部大動脈瘤-下大静脈瘻の1例を経験したため報告する。【症例】86歳の男性。呼吸困難と下腹部痛を主訴に当院へ救急搬送された。搬送2日前に意識消失発作を起こし他院へ救急搬送された際は異常を指摘されていなかった。体幹部造影CT検査で腹部大動脈と下大静脈のいずれにも造影効果を認め, 腹部大動脈瘤の下大静脈との瘻孔と診断した。緊急手術の準備中に心停止となり, 心肺蘇生術に反応なく死亡した。【考察と結語】本疾患は経過中にショックや心停止となることがある。特に, 術前に心停止を呈した症例の救命率は低く, 本疾患は心停止に陥る前に迅速かつ確実に診断・治療することが重要である。そのためには突然の意識消失発作や腹部大動脈瘤を伴う原因不明の心不全, 腹部の拍動性腫瘤や血管の連続性雑音を呈した場合には, 稀ながら本疾患も念頭に置く必要がある。

  • 松田 慶士, 千葉 宣孝, 杉田 篤紀, 馬渡 貴之, 水落 美紀, 野村 悠里, 渡邉 和宏, 齋藤 豪, 櫻井 淳, 木下 浩作
    2019 年 40 巻 3 号 p. 229-233
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル フリー

    症例は40歳代, 男性。意識を消失し, 駅構内の階段から転落したため救急搬送された。来院時, 意識レベルは改善していたが, 特異的な顔貌, 眼瞼下垂, 前頭部脱毛, 全身の筋萎縮を認めた。血液検査で炎症反応の上昇があり, 胸部X線・CT検査では肺炎像を認めたが, その他の検査で意識消失の原因となる所見はなかった。搬送時の身体所見から筋強直性ジストロフィーを疑った。把握ミオトニア, 叩打ミオトニア試験は陽性。針筋電図検査でミオトニー放電を認め, 急降下爆撃音を聴取した。遺伝学的検査で, ミオトニンプロテインキナーゼ (DMPK) 遺伝子のCTG反復配列を約600リピート認めたため, 筋強直性ジストロフィー1型と確定診断した。筋強直性ジストロフィーは多彩な症状を示し, 場合によっては意識消失し死に至ることもある疾患である。意識消失発作は, 救急診療で多く遭遇するが, 本症例のような比較的稀な疾患が隠れている場合があることも念頭に置くべきと考える。

  • 野口 裕司, 金子 直之
    2019 年 40 巻 3 号 p. 234-237
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル フリー

    はじめに : 除草剤であるパラコート (PQ) は, かつて自殺企図や殺人目的の使用が社会問題になり, 本邦では1999年に生産が中止された。しかし古くから所持している人は少なくなく, また現在もPQ・ジクワット合剤 (PGL) が販売されている。今回我々は3年間で3例の自殺企図を経験した。症例1 : 53歳男性。PGLを飲用し6病日に受診。急性腎不全と肺線維化を認め持続的血液濾過透析 (CHDF) を導入。9病日にCHDFは離脱したが肺線維症が増悪し17病日に死亡。症例2 : 86歳男性。青い液体を吐いて痙攣しているのを家人が発見。救急隊接触時に心肺停止状態。警察の調査でPGLが発見され自殺と断定。症例3 : 78歳男性。自室で苦しんでいるところを家人が発見。救急隊がPGLを発見し搬送。来院時ショック状態で6時間後に死亡。おわりに : 現在市販のPGLの致死率は依然高く, 諸外国では既に厳重に規制されており, 本邦においてもより厳重な行政介入が望まれる。

  • 大井 真里奈, 丸橋 孝昭, 久保田 陽, 栗原 祐太朗, 中谷 研斗, 浅利 靖
    2019 年 40 巻 3 号 p. 238-241
    発行日: 2019/12/31
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル フリー

    肝膿瘍と肝胆道系悪性腫瘍は画像診断のみでは鑑別が困難な場合が多い。症例は90歳代男性。2日前からの倦怠感を主訴に当施設を紹介受診した。初診時のバイタルサインの異常は頻脈のみで, 発熱はなかった。血液検査では, 血小板数減少, 腎・肝機能障害, 炎症反応高値, 乳酸値の上昇があり, 造影CTでは肝右葉に多房性腫瘤影が散在し, 不均一な胆管壁肥厚と肝内胆管の拡張も認めた。多発肝膿瘍や肝内胆管癌などを鑑別にあげたが, 後者を否定できずドレナージは行わず広域抗菌薬によるエンピリック治療を先行した。入院後, 多臓器障害が進行し第3病日に死亡した。病理解剖では悪性所見は認めず, 多発肝膿瘍と確定診断した。悪性腫瘍と肝膿瘍の鑑別に難渋した場合は診断的治療として穿刺ドレナージを考慮すべきである。

原著論文
  • 松本 順, 大井 康史, 佐藤 公亮, 森村 尚登
    2020 年 40 巻 3 号 p. 242-245
    発行日: 2020/02/07
    公開日: 2020/02/07
    ジャーナル フリー

    【はじめに】救急医療の現場では, チーム医療として他職種と連携し診療にあたることが多い。そのような状況において円滑に診療を進めるためにノンテクニカルスキルの重要性が指摘されている。我々は当院での救急外来におけるインシデント報告を分析することで, 救急医療に必要とされるノンテクニカルスキルのカテゴリーを明らかにすることとした。【方法】2012年1月から2016年9月の間の後ろ向き調査。【結果】救急外来で医師が関与したインシデントとして32件の報告が確認された。最も多いインシデントの種類としてはカルテ記載やオーダリングに伴う患者や内容の取り違いであった。これらのインシデントの発生要因を分析すると, 主に状況認識, コミュニケーションやチームワークの問題によるものが多くを占めた。【考察】救急医療の中で, 特に阿吽の呼吸が形成されていないチームでの診療では状況認識やコミュニケーションが重要であると考えられた。

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