肺腺癌および糖尿病にて他院通院中の77歳女性が, 意識障害で搬送された。入院時採血にて低血糖を認め, ブドウ糖静注にて速やかに意識レベルは改善し, 清明となった。患者に糖尿病治療薬の使用歴はなく, 入院時の採血にてCortisolの低値を認め, 副腎クリーゼと考えられた。肺線癌に対しては, 入院21カ月前からNivolumabが投与されていたが, 浮腫のため入院14カ月前から中止となっていた。三者負荷試験を行い, ACTH単独欠損症と診断された。また, 下垂体造影MRIではとくに異常所見は認められなかった。以上より, ACTH単独欠損症の原因はNivolumabによる免疫関連有害事象と考えた。入院日よりステロイド投与を行い, 以降低血糖は認められず, 入院25日目に軽快退院となった。NivolumabによるACTH単独欠損症は投与中止から長期間を経ても発症する可能性があり, 注意が必要である。
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