日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
42 巻, 4 号
日本救急医学会関東地方会雑誌
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著論文
症例報告
  • 鈴木 亮, 多賀 匠, 上石 稜, 室谷 直樹, 本間 佐和子, 山本 太平, 小林 祐介, 藤沢 篤夫, 渡瀬 瑛, 太田 慧, 畠山 淳 ...
    2021 年 42 巻 4 号 p. 87-90
    発行日: 2021/12/28
    公開日: 2021/12/28
    ジャーナル フリー

    肺腺癌および糖尿病にて他院通院中の77歳女性が, 意識障害で搬送された。入院時採血にて低血糖を認め, ブドウ糖静注にて速やかに意識レベルは改善し, 清明となった。患者に糖尿病治療薬の使用歴はなく, 入院時の採血にてCortisolの低値を認め, 副腎クリーゼと考えられた。肺線癌に対しては, 入院21カ月前からNivolumabが投与されていたが, 浮腫のため入院14カ月前から中止となっていた。三者負荷試験を行い, ACTH単独欠損症と診断された。また, 下垂体造影MRIではとくに異常所見は認められなかった。以上より, ACTH単独欠損症の原因はNivolumabによる免疫関連有害事象と考えた。入院日よりステロイド投与を行い, 以降低血糖は認められず, 入院25日目に軽快退院となった。NivolumabによるACTH単独欠損症は投与中止から長期間を経ても発症する可能性があり, 注意が必要である。

  • 鈴木 源, 田口 茂正, 林 辰彦, 江川 裕子, 清田 和也
    2021 年 42 巻 4 号 p. 91-94
    発行日: 2021/12/28
    公開日: 2021/12/28
    ジャーナル フリー

    集中治療室で経過観察を行うも, 上気道症状が出現した際に気道確保に輪状甲状靱帯切開が必要であった上気道型気道損傷の1例を経験した。症例は51歳男性で, 自宅火災で顔面 II 度熱傷4.5%, 両上肢 II 度4%を受傷した。咽頭痛, 呼吸困難感, 呼気性喘鳴, 嚥下時痛といった上気道症状を認めなかったため, 救急外来では気道確保を行わなかった。集中治療室で上気道症状をモニタリングして, 有症状時に気道確保を行う方針としたが, 上気道症状出現時には経口気管挿管が困難で, 輪状甲状靱帯切開による気道確保を要した。上気道型気道損傷の上気道のモニタリングにおいて上気道症状の経過観察のみでは気道確保の必要性の判断に遅れをきたす可能性があると考えられた。

  • 大谷 圭, 山本(矢田) 恵麗奈, 卯津羅 雅彦, 武田 聡
    2021 年 42 巻 4 号 p. 95-99
    発行日: 2021/12/28
    公開日: 2021/12/28
    ジャーナル フリー

    2型糖尿病でipragliflozinなどを経口内服治療中の51歳の男性。受診の7日前から嘔吐と下痢が始まり, 症状が改善せずに救急受診となった。初診時は高血糖やケトーシスを認めず急性胃腸炎と診断され帰宅となったが, すぐに症状が再燃し, 嘔吐に加え脱力の症状も出現したため翌日に再度救急受診となった。このときに患者が過度の食事制限を行い, 3週間で17kgと著明な体重減少をきたしていたことが判明した。検査所見と上記情報から本症例は正常血糖ケトアシドーシスと診断し, 緊急入院で輸液・カリウム補充・インスリン投与を行い, 第15病日に軽快退院した。Sodium glucose co-transporter (SGLT) 2阻害薬内服患者が体調不良などで救急診療をする際には正常血糖ケトアシドーシスを発症している可能性もあるが, 本症例のように初診で急性胃腸炎や脱水症などと診断される恐れもあり, 救急医にとってこの疾患を想起することは重要であると考えられた。

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