日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
最新号
日本救急医学会関東地方会雑誌
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著論文
  • 野田 彰浩, 中島 康
    2019 年 40 巻 2 号 p. 197-200
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    これまで当院では年1回の大規模震災対策訓練に向けた講習会を複数実施したものの, 多くの職員が参加できずにいるという問題を抱えていた。また毎年職員の約1/5が異動や退職により入れ替わり, さらに近年は業務の繁忙度も増しているなどの背景から, 多くの職員が短時間で実施できる効率の良い防災教育方法を導入する必要があった。そこで今回, 減災カレンダーHDMG (Basic) を試験的に実施しその教育効果を検証した。研究参加者は22名で, 実施した前・後で得点を比較した。研究参加者のうち36%が完了できなかった。完了できた参加者14名では11問中8問で実施後の得点が上がったことから, なるべく多くの参加者が減災カレンダーHDMGを完了できるように, 実施環境や実施期間を工夫することが重要であると考えられた。

症例報告
  • 鈴木 亮, 室谷 直樹, 本間 佐和子, 山本 太平, 小林 祐介, 藤沢 篤夫, 渡瀬 瑛, 太田 慧, 尾本 健一郎, 菊野 隆明
    2019 年 40 巻 2 号 p. 201-204
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    48歳男性。胃腸炎症状の後に意識消失発作を認め, 当院に搬送された。救急隊到着時収縮期血圧80mmHg台と低値であったため, 胃腸炎による脱水症状と判断し経過観察入院とした。入院後特に誘因のない, 腹痛・呼吸困難感・血圧低下・顔面紅潮を主徴候とする発作を日に1~2回認めた。アナフィラキシーショックに準じてアドレナリン, 抗ヒスタミン薬の投与を行ったところ, 毎回短時間で症状は消失した。10年前から体幹・四肢にびまん性に存在する小褐色斑を認めていたため肥満細胞症を疑い, 抗ヒスタミン薬の定時投与を開始したところ, 発作を認めなくなった。皮疹の生検では真皮上層に肥満細胞の集簇を認め, 肥満細胞症と診断した。肥満細胞症は多彩な症状を認める疾患であるが, アナフィラキシー様症状もその一つである。アレルゲン不明のアナフィラキシーでは肥満細胞症も鑑別に挙げ, 慢性の皮診を認めた際には積極的に生検を考慮すべきである。

  • 嶽間澤 昌泰, 問田 千晶, 六車 崇, 篠原 真史, 余湖 直紀, 川崎 貴史, 間中 浩, 佐藤 博信, 竹内 一郎
    2019 年 40 巻 2 号 p. 205-208
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    重症外傷センターの役割を担う救命救急センターおよび小児専門施設との施設間連携により救命できた乳児重症頭部外傷例を経験したので報告する。症例は4カ月の男児。母親に抱かれた状態で階段5段目から転落し受傷した。直近救命救急センターで急性硬膜外血腫, 急性硬膜下血腫, 外傷性くも膜下出血, 脳挫傷, 頭蓋骨骨折, 肋骨骨折と診断され, 乳児重症頭部外傷の加療目的で横浜市重症外傷センターへ転送された。正中偏位を伴う急性硬膜外血腫に対し緊急で開頭血腫除去術・外減圧術・頭蓋内圧センサー挿入術を施行した。術後は減圧のために一部開放した皮膚縫合部から脳実質の脱出した状態が継続した。小児専門施設へ転院し, 硬膜形成術と頭蓋形成術および人工呼吸器からの離脱を実施した。発生頻度が低い小児重症頭部外傷では地域の既存の医療資源を有効に活用した施設間連携が不可欠であり, 施設間連携の体制構築において外傷センターが果たすべき役割は大きいと示唆される。

  • 白石 尚子, 守田 誠司, 澤本 徹, 石塚 久美子, 村山 ゆかり, 鈴木 好
    2019 年 40 巻 2 号 p. 209-211
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    16歳男性, ロードバイク運転中軽乗用車と衝突し救急搬送となり, 重症頭部外傷で救急センターへ入院となった。第6病日より突然の高体温, 頻脈, 頻呼吸, 血圧上昇, 全身の震え, 大量発汗を認め, この発作は不規則的に1日数回発生した。諸症状の出現があまりにも急激でありベッドサイドの看護師は患者の生命の危機を感じる中, 発作の出るタイミングや頻度, その時の症状を注意深く観察し, 医療チームで共有したことからPSHの診断に至った。看護実践を臨床判断の視点から省察し, 情報を共有する重要性に関して報告する。

  • 牧 賢郎, 諸江 雄太, 林 宗博, 近藤 裕史, 山下 智幸, 宮城 隆志, 深田 卓也, 鷺坂 彰吾
    2019 年 40 巻 2 号 p. 212-215
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    症例は慢性膵炎の既往がある30歳代女性。突然の腹痛と一過性意識消失で当院救命救急センターに搬送された。来院時頻脈を伴うショック状態であり, 腹部は膨隆してやや硬く, 圧痛および筋性防御を認めた。腹部超音波検査で腹腔内に液体貯留を認め, 採血で貧血およびリパーゼの上昇を認めた。腹部造影CT検査で非活動性の腹腔内出血, 脾梗塞と診断した。さらに膵周囲の液体貯留と膵尾部の壊死像も認め, 慢性膵炎急性増悪と診断した。赤血球液輸血で全身状態は安定した。第2病日に出血源精査を目的として3DCTを再構成し, 脾仮性動脈瘤を出血源として追加診断した。同日脾動脈仮性動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した。経過は良好で, 第12病日に徒歩退院した。慢性膵炎に合併した脾仮性動脈瘤破裂により腹腔内出血をきたした症例を経験した。バイタルサインが安定していても, 出血源の検索と治療介入が必要と考えられた。

  • 柴崎 貴俊, 佐々木 亮, 佐藤 琢紀, 小林 憲太郎, 松田 航, 渡邉 愛乃, 滝井 健人, 木村 昭夫
    2019 年 40 巻 2 号 p. 216-220
    発行日: 2019/06/28
    公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    肝硬変を伴わない非肝硬変性門脈大循環短絡 (non-cirrhotic portosystemic shunt ; NCPSS) による肝性脳症は稀であり, 報告も少ない。今回我々は, 99歳で初発したNCPSSによる肝性脳症に対して保存的治療で良好な転帰をとった一例を経験したため報告する。患者は99歳男性。傾眠傾向となり, 意識障害が進行したため救急搬送となった。高アンモニア血症がみられ, 肝左葉S3に門脈左外側下区域枝から左肝静脈への門脈大循環短絡が認められた。NCPSSによる肝性脳症が意識障害の原因と判断し, 門脈大循環短絡に対してinterventional radiology (IVR) の施行も検討されたが, 99歳という超高齢であることから保存的治療の方針とした。血中アンモニア値は改善し, それに伴って意識障害も改善したため, 第41病日に施設退院となった。近年ではIVRの有効性についての報告も散見されるが, 背景因子に対する適切な内科的治療介入を含む保存的治療でも良好な転帰を得られる可能性が示唆された。

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