日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要
Online ISSN : 2432-4094
Print ISSN : 2432-4086
41 巻
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  • 妻鹿 ふみ子
    2023 年 41 巻 p. 6-10
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
  • ワークキャンプにおける異質な他者との出会いの「型」のまなびほぐし
    堤 拓也
    2023 年 41 巻 p. 11-18
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
    本稿は、コロナ禍の福祉教育・ボランティア学習実践における学習者の〈ゆらぎ〉の分析を通して、 そこでの〈ゆらぎ〉の意義を明らかにしようとしたものである。コロナ禍の WC における筆者自身の 〈ゆらぎ〉を分析した結果、コロナ禍の WC は異質な他者との出会いの「型」を実体験を通してまなび ほぐせる場であったことが見出された。さらに、多種多様な「当事者性」をもつ人々の出会いと交流の 中に「当事者性の交差」が立ち現れるような「当事者性学習論」を構築していくにあっては、福祉教育・ ボランティア学習実践において「対峙」が生じるプロセス、異質な他者との出会いの「型」やそこでの 「感性」に〈ゆらぎ〉が生じるプロセスについて、実践の中から丁寧に分析していくこと、そして、こ れらのプロセスやそのプロセスが起こりうる条件を個人の資質や能力に還元するのではなく、集団の 相互作用のなかで捉えていく必要性があることが見出された。
  • 渋谷 篤男
    2023 年 41 巻 p. 19-24
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
    コロナ禍の人びとの行動に対しては、さまざまな制約が生じた。ボランティア活動にも大きな影響 を与え、活動の限定あるいは停止を生んだ。一方で、あらためて人と人とのつながりを重視する働きか けもあった。法令による規制や各自治体の要請があり、それ以外に人びとの声がさまざまな制約あるい は促進を生んだ。 これらの動きにより、あらためて注視しなければならないことは、危機状況においてのみならず、通 常の福祉活動に対しても、法令による意思とともに、社会の意思があり、この二つが合わさった「社会 のルール」ともいうべきものが、影響を与えているということである。コロナ禍に加えて、通常の福祉 活動における「社会のルール」がどのような構造を持ち、そして影響を与えているのかを検討した。
  • 共に悩み考え続けるメッセージを届ける福祉教育
    野尻 紀恵
    2023 年 41 巻 p. 25-36
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
    3年以上も続いてきたコロナ禍において、社会を動かすことがとても難しい子どもたちは、おおき な影響を受けながらも声をあげることもできず荒波に押し流されてきた。一方、感染症の感染拡大・感 染防止の世の中の動きの中で、子どもたちの学習環境の中に ICT が急激に入り込み、GIGA スクールが ぐんと進んだ。今、with コロナ社会にあっては、感染症という問題だけではないゆらぎを生きる私た ちにとって、福祉教育は一筋の光が見出せる何かを示す存在であることができるのだろうか。 本論文ではコロナ禍を経験し、Society 5.0 への技術変革が進む社会において、特に学校における福 祉教育に焦点化した福祉教育の価値を問い直すことを試みる。
  • 田村 真広
    2023 年 41 巻 p. 37-48
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
    本論文では、コロナ禍において福祉教育・ボランティア学習の実践領域が直面した「これまでに経 験したことのない」事実を考察の対象としている。様々な分野・領域において議論を喚起している國分 (2017)の提唱する中動態論から三つの射程を手がかりとして、大学でのアクティブ・ラーニング、地 域における住民活動、災害避難活動の先行研究に着目し、各実践領域への影響、課題、展望を整理して いる。中動態論から、福祉教育・ボランティア学習の実践領域における主体性と当事者性、ゆらぎと対 話によるとらえ直しという課題を析出している。具体的には、イベント開催者・参加者が抱えるジレン マの取り扱い、参加者の意志と承認欲求の見分け方、目的-手段を乗り越える実践への寛容性の確保で ある。課題の解決には関係者間による深い対話、そして学際的な探究が求められている。コロナ禍は対 話と探究の可能性を広げたといえる。
  • 川島 ゆり子
    2023 年 41 巻 p. 49-59
    発行日: 2023/11/02
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
    コロナ禍において、対面でのケアを含むボランティア活動は休止を余儀なくされた。この状況を継 続したかどうかという二元論で捉えるのではなく、ボランティア学習のゆらぎととらえ、ケア倫理の枠 組みを援用しながらゆらぎの二重性について考察した。 第1層として、ボランティア活動者と当事者の間のケアリング関係の網目のなかで、個別の生成的コ ミュニケーションが紡ぎ上げられてきた活動が不可になったことに対する葛藤としてのゆらぎがあっ た。第2層として、社会全体が当事者性を帯びたコロナ禍で、感染を抑え込むという普遍的な正義のも と、対面ボランティア活動が批判の対象となったことにより活動の意義を問い直すゆらぎがあった。こ の二重のゆらぎの経験を語ることにより、個別的で濃密なケアの意義を、普遍的な政策としての包括的 支援体制構築に連動させていくことが可能となり、動的平衡状態としての地域での活動の継続を考え ることができる。
  • 人類学の視座から考える
    妻鹿 ふみ子
    2023 年 41 巻 p. 60-71
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
    本論文は、コロナ禍の社会においてのボランティア実践のあり方をめぐる「ゆらぎ」について、思 想の力を借りて考えるものである。すなわち、社会全体の大きな「ゆらぎ」の中にあった相互行為の場 としてのボランティア実践の「ゆらぎ」について、主に人類学の力を借りて考える。ボランティア実践 が本来有している偶然の出会いという魅力、偶然が必然に変わってゆくことで実践が学びとなり、継続 へのモチベーションが生まれるという面白さが奪われ、封印せざるを得なかったコロナ禍の3年間の 諸相を、ボランティアコーディネーター対象のウェブ調査の分析をベースに、統計学的人間観、関係論 的人間観、ならびにそれぞれの人間観が依拠する時間の流れ方を分析のツールにして議論する。すなわ ち、現場で起きていた「ゆらぎ」について人類学の知見から説明をつけ、今後も必ず見舞われると言わ れているパンデミック下の社会におけるインフォーマル・ノンフォーマルな教育としての福祉教育・ ボランティア学習につながるボランティア実践のあり方について考察する。
  • 三ツ石 行宏
    2023 年 41 巻 p. 74-88
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
  • 「荒れ」を克服した中学校の卒業文集の分析を基にした面接調査から
    野畑 昭徳
    2023 年 41 巻 p. 89-103
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
    荒れた中学校を再生する中で総合的な学習の時間を通してパフォーマンスを中心としたボランテ ィア活動の資源を獲得させ、「総合学習発表会」や「地域貢献部」という兼部できる部活動で、その 活用を図った。その結果、荒れた学校が市内でもっとも落ち着いた中学校となった。10 年が経過し 振り返ってみると「なぜ、生徒たちは変容したのだろう。」という問いが生まれた。この実践にはサ ービスラーニング(以下、SL)の要素があり、生徒たちはそこに学びの楽しさを知ったのではない かと考えた。そこで、この実践のSLの入口としての有効性に着眼した。当時の卒業文集をテキスト マイニングで分析すると共に卒業生、元外部指導者、元教員に追跡調査を行うことで、三者のせめぎ 合いや葛藤などをリアルに受け止め、パフォーマンス技術の習得とその発表の過程を深掘りすること にした。それにより SL への入口構成に必要な条件を探り出し提案する研究である。
  • FUMIE テストによる障害者に対する潜在的態度の測定を中心として
    丸岡 稔典
    2023 年 41 巻 p. 104-115
    発行日: 2023/11/01
    公開日: 2024/09/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は社会福祉施設での介護等体験が参加した学生の障害者への態度の変化に与える影 響を明らかにすることにある。そのために、介護等体験に参加した 10 名の学生を対象とし、介護等体 験前後にFUMIEテストを実施し障害者の潜在的態度の変化を測定した。また、質問紙調査により障害 者との接触経験と障害者に対する顕在的態度を、聞き取り調査により介護等体験による障害者への態 度変化を尋ねた。結果、介護等体験前後での障害者に対する潜在的態度に変化はみられなかったが、事 前の潜在的態度が否定的な場合や援助経験やボランティア経験がない場合に、潜在的態度が肯定的に 変化していた。また、聞き取り調査の結果から、「障害者も普通の人と変わらない」とする障害者への 態度が生成していることが示された。このような態度は、国連障害者権利条約や障害者差別解消法のお ける障害者観と共通する部分があり、今後の介護等体験の効果を検討する上で参考となる。
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