動物の行動と管理学会誌
Online ISSN : 2435-0397
55 巻 , 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著論文
  • 岡 桃子, 山梨 裕美, 岡部 光太, 松永 雅之, 平田 聡
    2019 年 55 巻 3 号 p. 107-116
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    飼育下の大型ネコ科動物で問題とされている常同歩行の発現には環境エンリッチメント(以下エンリッチメント)の有無や来園者の影響など複数の要因が絡んでいると考えられるが、複合的な検討は行われていない。そこで本研究ではエンリッチメントの有効性及び来園者数と気温がトラの行動に与える影響について検証した。京都市動物園で飼育されているアムールトラ3頭を対象とし、 3分毎の瞬間サンプリングを用いて行動を記録した。放飼場内に設置するエンリッチメントの種類が多いと、トラの常同歩行頻度は有意に減少し(P < 0.05)、エンリッチメントの利用頻度が有意に増加した(P < 0.01)。複数のエンリッチメントの設置はトラの常同歩行の抑制に効果的であり、探索行動や捕食行動等多様な行動を引き出す上で有用であることが示唆された。また来園者の存在によって、トラの休息頻度が増加、エンリッチメントの利用頻度が低下する可能性があると考えられた。

  • 菊池 貴子, 植竹 勝治, 田中 智夫
    2019 年 55 巻 3 号 p. 117-124
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    国際的にアニマルウェルフェアに配慮した養鶏への流れがある中、現在日本では産卵鶏の90%以上が従来型ケージにより飼養されている。本研究では導入が容易な福祉的飼育方法の提案を目的とし、従来型ケージを改良した福祉ケージを作製し、その資源利用について観察を行った。2羽用の従来型ケージ6個を横1列に連結し、止まり木、爪とぎ、両端に巣箱兼砂浴び場(以下、巣箱)を設置した。市販の福祉ケージで使用されている敷材2種(砂浴び用と巣箱用)をそれぞれ4ケージの巣箱に設置し、その利用について検討した。白色レグホーン56羽を各ケージ7羽ずつ収容し、10分間隔の瞬間サンプリング法により鶏の行動、場所の利用を記録した。砂浴び用敷材を設置したケージに比べ、巣箱用敷材を設置したケージの方が巣箱の利用が多く認められた(p<0.05)。巣箱用敷材を設置したケージにおいて、巣箱での砂浴び様行動がその他の場所よりも多く認められた(p<0.01)。一方、砂浴び用敷材を設置したケージにおいて、巣箱での砂浴び様行動はその他の場所に比べて少なかった(p<0.01)。両ケージともに、巣箱での産卵がその他の場所に比べて多く認められた(p<0.01)。これらの結果より、砂浴び場を兼用した巣箱を設置した福祉ケージにおいて、巣箱用敷材が有効であることが示唆された。

  • 井門 彩織
    2019 年 55 巻 3 号 p. 125-133
    発行日: 2019/09/30
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    チーターの発情周期は個体関係や飼育環境によって変化することから,繁殖を効率よく進めていくためには,生理学的だけでなく行動学的モニタリングも重要である。しかしながら,性成熟に伴う発情指標行動や鳴き声の発現時期に関する研究は乏しい。このことから,行動学的モニタリングの開始時期の明確化と個体の行動特徴を正確に把握するために必要な発情指標行動の基礎的データを得ることを目的とした。2009年から2013年にかけて多摩動物公園で飼育されていた22頭のチーターを観察対象とし,発情指標行動と鳴き声の頻度,発現時期と鳴き声の変化の分析を行った。その結果,性成熟とされる生後24ヵ月に向かって行動,鳴き声共に変化することが明らかとなった。「匂いをかぐ」「グルーミング」は生後6ヵ月以内の早期から発現し,最も遅く発現した行動は,雌の「尿をかける」で3歳以降であった。その他の行動と鳴き声は,親離れが始まる生後15~17ヵ月から発現又は変化し始めると考えられた。しかし,成熟個体の行動発現頻度をみると4項目で個体差が見られた。このことから,雌雄の行動特徴と発現状況を生後15~17ヵ月以降から継続的に把握し,個体ごとの発情指標を選出する必要があると考えられる。

feedback
Top