国際的にアニマルウェルフェアに配慮した養鶏への流れがある中、現在日本では産卵鶏の90%以上が従来型ケージにより飼養されている。本研究では導入が容易な福祉的飼育方法の提案を目的とし、従来型ケージを改良した福祉ケージを作製し、その資源利用について観察を行った。2羽用の従来型ケージ6個を横1列に連結し、止まり木、爪とぎ、両端に巣箱兼砂浴び場(以下、巣箱)を設置した。市販の福祉ケージで使用されている敷材2種(砂浴び用と巣箱用)をそれぞれ4ケージの巣箱に設置し、その利用について検討した。白色レグホーン56羽を各ケージ7羽ずつ収容し、10分間隔の瞬間サンプリング法により鶏の行動、場所の利用を記録した。砂浴び用敷材を設置したケージに比べ、巣箱用敷材を設置したケージの方が巣箱の利用が多く認められた(p<0.05)。巣箱用敷材を設置したケージにおいて、巣箱での砂浴び様行動がその他の場所よりも多く認められた(p<0.01)。一方、砂浴び用敷材を設置したケージにおいて、巣箱での砂浴び様行動はその他の場所に比べて少なかった(p<0.01)。両ケージともに、巣箱での産卵がその他の場所に比べて多く認められた(p<0.01)。これらの結果より、砂浴び場を兼用した巣箱を設置した福祉ケージにおいて、巣箱用敷材が有効であることが示唆された。
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