動物の行動と管理学会誌
Online ISSN : 2435-0397
56 巻 , 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著論文
  • 安井 早紀, 伊谷 原一
    2020 年 56 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2020/04/24
    ジャーナル フリー

    アジアゾウ(Elephas maximus)は、古くから使役動物としてアジアの国々で、人とともに生活してきた。また、世界中の動物園で多くのアジアゾウが飼育され、飼育員やゾウ使いとゾウとの事故は現在もしばしば起こっている。飼育下でのゾウの管理において、人とゾウの関係は非常に重要であるにもかかわらず、これまであまり研究されてこなかった。したがって本研究の目的は、ゾウとゾウ使いとの関係が、ゾウの行動にどのように影響するかを明らかにすることとした。

    タイ、スリン県にあるゾウ研究センターにいる17頭の飼育下アジアゾウを対象として研究を行った。個体追跡法を用いて、対象個体の全ての社会行動を記録し、また1分ごとにゾウとゾウ使いとの距離を記録した。ゾウの社会行動の頻度と、ゾウがゾウ使いと近接している割合を比較した結果、ゾウ使いと近接している割合が高いゾウは、他個体との社会行動の頻度が低いことがわかった。

  • 小倉 匡俊, 近藤 沙紀, 中尾 小百合, 河村 あゆみ, 福泉 洋樹, 岡部 光太
    2020 年 56 巻 1 号 p. 8-17
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2020/04/24
    ジャーナル フリー

    動物園において複数の動物種を同一空間で飼育展示する混合展示はさまざまなメリットがある。しかし動物福祉を損ないうる状況も存在し、たとえば出産と哺育に対して混合展示が負の影響を与えうることが指摘されている。本研究では日本の動物園における混合展示の代表的な組み合わせであるアミメキリンGiraffa camelopardalis reticulataとグレビーシマウマEquus grevyiを対象に社会関係を評価するとともに、グレビーシマウマの出産が動物福祉に与える影響を調べた。京都市動物園で飼育されていたアミメキリン3個体とグレビーシマウマ1個体(出産後は2個体)を対象に、社会行動と最近接個体、個体間距離を記録し、出産の前後で比較した。その結果、出産前後ともに異種間での親和行動が観察され、一定の良好な関係を築いていることが確認された。しかし個体の組み合わせによっては親和行動が減少し敵対行動が増加するなど、出産によるネガティブな変化も見られた。混合展示により個体数の限られた飼育環境においても社会的な刺激がもたらされることと、出産と哺育に際する攻撃行動の増加に対する注意の重要性が示された。

  • 井門 彩織, 足立 樹, 楠田 哲士, 谷口 敦, 唐沢 瑞樹, 近藤 奈津子, 野本 寛二, 佐々木 悠太, 伊藤 武明, 土井 守, 小 ...
    2020 年 56 巻 1 号 p. 18-28
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2020/04/24
    ジャーナル フリー

    チーターにおいて、種の保存のうえで飼育下個体の繁殖は極めて重要である。しかし、チーターの発情周期は飼育環境や個体間の関係で変動すると考えられ、雌からの発情時期の予測は難しい。そのため、本研究では雄の行動と鳴き声による雌の発情検知の有用性について明らかにすることを目的とした。9頭の飼育下チーターの行動観察、鳴き声の解析及び糞中エストラジオール-17β含量の測定を行った。その結果、観察期間中に繁殖に関与しなった雌のみで雄の行動と有意な相関がみられ、雄の行動から雌の発情を検知することは困難であった。一方で、「求愛に用いられる雄の鳴き声」は、繁殖相手と認識した個体に対して発せられており、交尾日が近づくにつれて「他個体とのコミュニケーションに使用される鳴き声」よりも顕著に増加していた。このことから、「求愛に用いられる鳴き声」の増加は、雌の発情検知及び雄が繁殖相手として認識しているかどうかを把握することに有用であると考えられる。しかし、雄が繁殖相手として認識していたとしても雌が必ずしも許容するわけではないことが明らかとなった。

シンポジウム報告
feedback
Top