動物の行動と管理学会誌
Online ISSN : 2435-0397
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原著論文
  • 田辺 智樹, 三谷 朋弘, 上田 宏一郎, 松井 朗, 河合 正人
    2020 年 56 巻 2 号 p. 55-62
    発行日: 2020/06/25
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    ウマにとって放牧地は栄養摂取の場であるとともに運動の場でもある。本研究では、昼夜放牧飼養下におけるサラブレッド種当歳馬について、食草および哺乳時間と移動距離を測定し、月齢の進行に伴う行動の変化について明らかにした。試験には9頭のサラブレッド種当歳馬とその母馬を用い、5月から9月まで(子馬が1カ月齢から5カ月齢まで)朝から翌朝まで21時間の昼夜放牧を行なった。1日あたりの子馬の哺乳回数および累積哺乳時間は1カ月齢時(36回、40分)よりも4カ月齢時(28回、33分)の方が少なかった(P < 0.05)。1回あたりの哺乳時間はどの月齢でもおおむね70秒だった。子馬の食草時間は1カ月齢(335分/日)から3カ月齢(576分/日)にかけて長くなり(P < 0.01)、4カ月齢時(556分/日)ではほとんど変化しなかったが、離乳後の5カ月齢時(796分/日)では離乳前より長く(P < 0.05)、母馬の食草時間と同程度であった。放牧地での総移動距離は子馬が9.7~15.2km/日、母馬が10.1~16.4km/日だった。総走距離は子馬および母馬ともに1カ月齢時でもっとも長かった(P < 0.05)。以上の結果から、哺乳期の維持行動に費やす時間は子馬と母馬で大きく異なり、1カ月齢時は当歳馬が最も活発に活動する時期であるが、総移動距離は母馬と同程度であり、昼夜放牧飼養は当歳馬にとって成馬と同等の運動量が見込めると考えられた。また、離乳直前まで哺乳頻度は比較的高かったが、子馬の食草時間は3カ月齢まで長くなり、離乳後にはさらに長くなることから、放牧地は栄養摂取の場として特に離乳前後で重要であると考えられた。

  • 金澤 朋子, 西村 直也, 半澤 紗由里, 安藤 正人, 庄子 泰之, 先崎 優, 村田 浩一
    2020 年 56 巻 2 号 p. 63-70
    発行日: 2020/06/25
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

    飼育下アジアゾウに対して、飼育担当者が不在となる時間帯(17時~翌朝8時)での、採食エンリッチメントの導入を検討するため、横浜市立金沢動物園で飼育管理されている個体を対象に、無人で給餌可能な装置(自動給餌機)の効果を、行動学的手法により検証した。自動給餌機は、作動すると獣舎前にチェーンで吊るされた枝葉が給餌されるものを自作した。試験は、夜間帯(18時台~20時台)と早朝帯(5時台~7時台)の間に1回ずつ、自動給餌機が決められた時間に作動する試験1と、日ごとに時間を変えて作動する試験2を実施した。両試験ともに、夜間帯においては効果が認められなかったが、早朝帯においては行動時間量が採食で増加し、常同行動では減少が確認され、自動給餌機の効果が示された。また夜間帯においては、自動給餌機の作動時刻が遅くなるほど効果がなく、自動給餌機をより効果的に活用するためには、作動時刻や回数を改善する必要があると考えられた。

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