本研究では,肢体不自由児と病弱児を対象とする特別支援学校において,教員である筆者が,生徒たちとの日々の関わりの中で,ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)を活用し,①SFAを用いた生徒たちとの対話,②SFAを用いた元気度チェック,③SFAを用いたソーシャル・スキル・トレーニングの授業の3つの実践を行い,それぞれの効果を検討した。その結果,生徒一人一人の主体性・自己肯定感・表現力が向上した。また,生徒たちは,自分なりの答え(解決)を自分の力で見付け出した。教員は,生徒たちにとって身近な存在であり,日々の何気ない関わりの中でSFAを活用することができることから,教員がSFAを活用することに意義があると考える。
キャリア・カウンセリング分野では,従来,量的に標準化された職業適性検査や職業興味検査に重きが置かれていたが,近年,臨床心理学分野と同様に質的アセスメントが重用されるようになってきている。本研究では,大学生と在職者と大学院生に対してこれら質的キャリア・アセスメントを用いた複数のキャリア・カウンセリング事例を検討し,質的キャリア・アセスメントでライフキャリアテーマを掘り起こし,そのテーマに沿ってキャリア・カウンセリングを行うことの有用性について検討することを目的とした。結果,質的キャリア・アセスメントは早期に相談を終結することが可能であり,短期で解決することが必要な就職支援では特に効果的であった。他方,クライエントに経験や自信が乏しい場合には宿題を出すことで資源の不足を補う必要があるほか,支持的な技法や集団的な技法と併用していく必要があることを指摘した。
本論文では保育者に対する教育相談研修について報告した。研修会は,ブリーフセラピーの視座に立ち,保育者のリソースを引き出すことで,自己効力感を促そうと設計した。94名の保育者が研修会に参加した。研修会の実際の展開や,子どもの問題行動への対応に関する自己効力感尺度の得点の変化を手がかりとして,研修会の有用性について考察した。
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