本研究では,様々な個性を持つ需要・供給家が存在する電力ネットワークにおいて,電力バランスを保持するためのリアルタイムプライシング則を設計することを考える.様々な個性を持つ需要・供給家が存在するにも関わらず,システム全体を安定化し,かつ所望の性能を達成する制御則を設計する方法を提案する.
本研究では,確率的な外乱に加えて周期性外乱が加わった場合に対して,定値制御系から得られた閉ループ入出力データを用いて,プラントパラメータや外乱モデルだけでなく,印加された周期性外乱信号を推定する手法を与える.また,推定されたパラメータが一意に定まる条件を与えるとともに,本手法が化学プロセスモデルに対して有効であることを確認する.
プラント監視制御システムの急速な発展によって、多量の監視変数に低コストでアラームを設定することが可能になった。一方、必要性がないアラームまで設定され、多数のアラームが連鎖的に発生する連鎖アラームの要因となっている。本研究では、連鎖アラームの削減を目的に、複雑な運転ログデータから類似している連鎖アラームのグルーピング方法を提案する。
制御系コントローラは、上位のレイヤから攻撃者などにより悪意のある操作が与えられるという仮定を考慮していない。本研究では、プラントの動的モデルが存在するモデル予測制御が適用されている制御系を対象とし、ローカルコントローラのレイヤで不安全を引き起こし得る操作を検知する制御系用Sandboxの提案を行う。
化学プラント内に数多く設置されている熱交換器は,配管の腐食・劣化や伝熱面のファウリング現象等によって性能(熱交換効率)が低下する.性能が低下した熱交換器は開放して洗浄しなければならないが,一般的には熱交換器の開放・洗浄は定期点検期間中にしか実施されない.そこで,本研究ではプラント運転中に熱交換器の状態を監視し,性能が低下した熱交換器を特定する手法を検討した.
流動層乾燥法を用いたラクチュロースの三水和物結晶粉から無水物結晶粉へ変換するプロセスにおいて、結晶粉中の水分量変化をFT-NIRSを用いてリアルタイムでモニタリングできるようにし、乾燥終点の自動判定が可能となった。
子宮頸癌検診における細胞検査技師の絶対数の不足が問題となっており,自動診断支援システム開発による作業のサポートの必要性が生じている.そこで本研究では画像処理によって,細胞診における病理医の所見を取り入れた特徴量を自動的に抽出する.そして,子宮頸癌検診画像から陰性・陽性の判別を行う.
健常皮膚移植が行われた重度熱傷患者の患部画像を用いて、熱傷部と健常部の面積を計算し、時系列ごとの健常皮膚の拡がりを数値で得ることによって治療の効果を定量的に評価することを目的とする。それに向け、面積を計算する上で重要となる熱傷領域の抽出を、画像処理によって可能な限り自動化する手法について考えていく。
我々はこれまで、超音波診断補助ロボットを用いて、呼吸により移動する臓器に追従するビジュアルフィードバックシステムを構築してきた。本発表では、断層像中の臓器が呼吸によって横断面方向に移動して見えなくなる場合に着目し、関心領域の大きさの変化から臓器の移動方向を予測するシステムを構築したので報告する。
我々はこれまで、超音波診断におけるプローブ移動に伴う断層像変化に着目し、その関係性を頭の中でイメージできる熟練者の空間把握能力をメンタルローテーションと定義してきた。本発表では、その能力を計測すると共に、プローブ座標系や断層像座標系等、様々な座標系を用いてメンタルローテーション行列を決定する手法を提案する。
肌状態の評価や診断はヒトの感覚に依存しているのが実情であるが、美容や皮膚科学の分野では定量的な解析法が要求されている。本研究では、画像技術を用いてキメや透明感などの肌質の解析法を試みた。画像解析技術は肌状態の評価に極めて有用であることが示された。
McKibben型空気圧ゴム人工筋のモデルパラメータから製品種を特徴づけるモデルパラメータを抽出することでモデルパラメータ上での様々な議論が可能となるであろう.そこで本論文では,機械学習を用いた識別境界の決定,および,識別境界の過学習に関する検討により,特徴的なモデルパラメータの抽出をおこなう.
本研究では,非線形システムの状態空間モデルを得る一同定法を提案する.システムの局所的な動特性を近似するモデルを部分空間法で複数個構成し,それらを座標変換で結びつけることでシステムの準定常的な動特性を近似する.座標変換は得られた動特性から最小二乗の意味で導かれる.最後に提案手法の有効性を数値的に示す.
非線形性を含む分布定数の連続系のモデル化には通常FEM等の方法が必要である.精密かつ汎用的なFEM環境に離散コントローラや論理演算機能を取り込む方法について提案する.本手法により多入力多出力の制御系を容易に実現することが可能である.本論文では線形の熱伝導モデルに本手法を適用し,その有効性について検証を行った.
本稿では局所的な欠損区間を持つ音声の修復について扱う.音声修復においては短時間区間をARモデルで仮定し,部分空間法に基づくハンケル行列のランク最小化を用いた修復手法が存在する.本稿ではAR係数が時変である場合を考慮してSwitchedARモデルを仮定し,一般化主成分分析とハンケル行列のランク最小化を組み合わせた手法を提案する.
船の非線形運動として不規則波中のパラメトリック横揺れに着目する。このダイナミクスをよく予測できるモデルとして著者らのうちの一人が開発したモデルがあるが、位相をも含めた形での予測結果を得るには至っていない。本研究では、この課題を解決するために逐次データ同化と呼ばれる方法を応用し、実際のデータからモデルに含まれる減衰力などのパラメータの同定を行う。
本発表では、細胞システムのオンライン制御の実現へ向けての試みとして、1.マイクロ流体デバイスによる入力制御系、2.インスリン刺激に対する細胞内の分子応答(S6K活性)のライブセルイメージング、3.非線形ARXモデルによる細胞内応答のデータ同化(システム同定)の3つの研究事例について報告を行う。
株式市場の内部メカニズム検討する手段に人工市場がある。従来の人工市場では投資家の意思決定や取引のルールを重要視したモデル化がされてない。実用的なルールを内包した人工市場を構築すると、公正な証券取引所の再設計にモデルを利用できる。そこで投資家モデル群と売買ルールに基づいた人工市場を設計し、その評価を行う。
人の行動を予測し解析することは,安全で快適な都市空間の構築やその評価に有用とされている.中でも退出時の出口選択行動を理解し表現することは,混雑の際,重要な指針となり得る.本研究では,歩行者が退出時に個々の意思に従って行動すると仮定し,一つの群集挙動モデルを提案する.このとき,複数の出口から歩行者を退出させるシミュレーションを行い,主観的意思決定が混雑に及ぼす影響について調べる.
本研究では、年齢構造を持つ感染症の数理モデルに対して、制御理論に現れるバックステッピング法を適用し、時間ステップ毎の患者数の増減予測のための閾値条件を導出した。その予測法による2006年から2015年の日本のインフルエンザ流行に対する予測の精度は8割を越え、ARIMAによる予測よりも高い精度を示した。
服装が温熱環境に合わないことにより快適に過ごせないという問題が起きるため,本発表では温熱環境に応じた快適な服装推定を行う.人の温熱的快適性を考慮に入れるために,人体の体温制御を考慮した人体体温調節モデルの構築を試みる.そのモデルを元に温熱的快適性を評価するSET*を用いた快適な服装推定方法を考察する.
本研究では,海洋温度差発電実験プラントにおける温熱源の蒸発器出入口温水温度モデルの構築を行う.その際,蒸発器出入口温水温度の実験データに基づいて温熱源動的モデルを構築する.モデル構築時にプラント内部のむだ時間を考慮し,さらにモデルを用いて熱交換器の交換熱量を推定する.提案する温熱源動的モデルの有効性を数値シミュレーションにより検証する.
太陽光発電大量導入時においては系統の需給バランスを保持するために蓄電池や調整用電源の効率的な運用が行われる.そして運用時には,短時間の需給変動に対応できる系統制御が必要なため,電線温度制約に着目したより柔軟な運用方法が検討されている.本研究では,これらの電線温度制約に着目し,特に経済負荷配分制御に適した電線温度モデルの導出を行う.
自動車の電動化に伴い,バッテリモデリングへの要求が高まっている.モデルベース開発(MBD)での活用が進む等価回路ベースのモデルに対し,電気化学ベースの物理モデルは,高い精度が期待される一方,パラメータ数や,計算量の多さが導入のネックになっている.本論文では,電気化学ベースモデルの数式を近似し,1Dシミュレータで実現する手法を提案する.
様々なシステムが複雑に影響を及ぼしあう現代の自動車において、自動車OEM以外で新たなシステム開発を行う設計者は、自らのシステムの車両性能へのエフェクトを理解しながら最適設計をすべきである。エネルギー保存則に基づいたHEV燃費モデルを事例に開発初期段階で行うべきシステム主要特性の合意形成手法を紹介する。
これまでにviabilityを保証する大域的システム蘇生変換が提案されているが、実機による有効性は示されていない。そこで本研究では二輪車両型移動ロボットルンバを用いて大域的システム蘇生変換有効性を検証する。実機実験ではオドメトリにより自己位置を推定し、仮想ユークリッド空間上で無限遠に発散する螺旋軌道を用いた実験により一定半径円内から出ない状態制約をみたす空間がviability集合であることを明らかにする。
筆者らは,モデル誤差抑制補償器とEKFの併用によりスキッドステア型福祉車両(SSV)の操縦支援制御系を提案している。路面状況が様々に変化する屋外での操縦では,車両の操縦性が大きく変化するため操縦が難しい。本研究では,コーナリングパワーを実時間推定することによる屋外での操縦性の改善度を評価する。
マニピュレータを搭載した水中ロボットに対する位置・力制御法が幾つか提案されている.しかしながら,そのコントローラ設計では,本体のアクチュエータであるスラスタの動特性が無視されている.本稿では,スラスタ動特性を考慮した水中ロボットの位置・力制御法を提案する.
本研究では,6脚ロボットの胴体姿勢(胴体高さ,ピッチ角,ロール角)と胴体位置(x,y),ヨー角の計6自由度を制御する手法について,姿勢制御系と歩行方向制御系を設計し,6脚ロボットの直線歩行と段差を乗り越える不整地歩行の3D歩行シミュレーションにより,提案する手法の目標値追従性,外乱抑圧性について検証する。
各関節にばねを使用した機構的に柔らかい4脚ロボットの開発を行っている.この4脚ロボットはばねを使用し,ばねのたわみを計測することにより足先の抗力を推定することができる.これにより力覚センサを用いず足先力の制御が可能となり力分散を行い安定した歩行を行うことができる.現在は3軸足先抗力を推定し力覚センサとの比較を行っている.
本論文では,体形の周期的な変化をその運動に変換する波動歩行機械の1つである4叉移動機構のリアプノフの第2法に基づく経路追従フィードバック制御法を,新たに提案する.本手法により,計算コストの高い曲線座標系における位置・姿勢の算出,高次のリー微分などを必要とせずに,高い追従精度を実現することができる.
本研究では、バックステッピング制御法を用いたフレキシブルジョイントロボットのエンドエフェクタ動的軌道制御を提案する。先ずは、エンドエフェクタ軌道追従とジョイント振動抑制を同時に実現するために、バックステッピング制御法より制御則を導出する。そして、リアプノフの安定性原理に基いて安定性を解析する。最後に、2リンクフレキシブルジョイントロボットの制御シミュレーションを行い本制御法の有効性を検証する。
高精度なロボットアームの位置決めを実現するため,同次性を利用した有限時間整定制御と適応的重力補償制御を組み合わせたフィードバック制御則を提案し,シミュレーションで高精度な位置決めが実現できることをこれまでの研究で示した.一方で,実機実験による有効性の検証は行われていない問題点がある.そこで,本論文では実機実験により従来法に対する提案法の優位性を検証する.
自動車エンジンの最適化が非常に進んでおり、何かを改善しようとすると、ノック・失火・過温度などの境界管理の問題に遭遇する。これらは、不等式状態制約として定式化され、制御設計上、扱いが容易ではない。そこで、この問題を広く認識してもらうため、簡単なエンジンモデルと制御設計ベンチマーク問題を公開する。
エンジンの動作を正常動作領域の境界近傍に留めるために制御を行うというベンチマーク問題が公開されている.この解決策として湯野の計算機代数に基づく制御器設計が試みられている.これは多項式システムを想定しているため,本ベンチマーク問題で用いられている大畠の有理関数型エンジンモデルを改良し,多項式型エンジンモデルを導出する.
本研究の目的は,市販車両で計測可能なクランクシャフトの回転角のみからエンジンの出力トルク・筒内圧力・筒内流入空気量を精度良く推定することである.これらを精度良く推定するため,エンジンの機械的運動と燃焼過程を統合したモデルに吸気系モデルを追加し,Unscented Kalman Filterを用いて推定する.推定値と実測値を比較した結果,提案手法の有効性を確認した.
制御入力を進行方向力ならびに前後輪操舵としたとき,車両の横方向ダイナミクスと進行方向ダイナミクスの両方を含む実際の車両状態と理想軌道との追従誤差に関する追従誤差方程式において,駆動行列に入力信号が含まれる.このため,この追従誤差方程式を基にして適応操縦制御法の開発は困難である.この問題を解決するため,まず,適応制御が適用可能な車両の新しい追従誤差方程式表現を提案する.そして,この新しい追従誤差方程式表現を基にして新しい適応操縦制御法を開発する.
筆者らは,運転動作のオンライン推定のために,走行時の視点を計測する注視点依存型モデルと最適化によるモデルの推定手法を提案している。本論文では,ドライビングシミュレータを用いて単独走行と追従走行における走行モデルを推定すると共に,視点跳躍現象の分析を行い提案する手法の有効性と課題を明らかにする。
物理系と情報系がネットワークを介し,互いに結合しているサイバー物理系を狙った攻撃が報告されている.本報告では,オートクルーズ制御系において,攻撃者が以前のセンサ情報を再生して,それをコントローラに入力するreplay attackの攻撃戦略としての有効性の検証を試みた.
著者らはアクティブ双方向光空間通信システムを設計し試作機による特性評価を行っている.本稿ではレーザ光の位置と角度ずれを補正することにより双方向通信を行う手法を提案し,アクティブ光空間通信システムのレーザ光軸制御特性と光軸制御中の通信品質特性を明らかにしている。
宇宙エレベーター実験用クライマーにスパイラル推進機構を用いた実験機の開発を行っている.スパイラル推進機構を用いることで初動トルクを低減させることができ,小容量のモーターをも散ることが可能になる.また,可変ローラーの角度を制御することでテザー周りの回転を抑制した姿勢制御や,ブレーキの役割を果たすことができる.
宇宙エレベーター実験用クライマーのための姿勢制御装置であるCMGユニットの開発を行っている.ロープテザーではテザー周りに機体が回転してしまう問題があるが,これに対して本研究ではCMGユニットを用いた姿勢安定化制御を行っており,とくに現在はCMGの制御限界である飽和特異点の回避について検討を行っている.
半導体露光装置に用いられる空圧式除振装置には,アクチュエータとして空気ばねが使用されている.除振装置が連続で稼働すると空気ばねやその配管に蓄熱・冷却が生じる.これらは半導体の露光精度や露光装置の信頼性に悪影響を与える.そこで,蓄熱・冷却の原因を示し,空気ばねにも局所空冷が必要であると提案する.
現在の動脈フィルタの気泡除去方法では作業負担が大きく、これを軽減するため、本研究では気泡除去装置の機構を検討し装置の設計をした。さらにこの設計に基づき、気泡除去装置を製作し所望の動作が確認できた。この装置を用いた気泡除去実験では、動脈フィルタの一次側において良好な結果が得られた。
筋力が衰え起立着座に不自由を感じる方々を対象に,新しい起立着座動作を支援する装置を開発した.この装置は,トイレなどの狭所にも容易に設置可能で,一人でも,介護者と一緒でも使用することができるという特長をもつ.本装置の支援効果を検証するため,下肢の表面筋電位を計測し筋活動量の変化を評価した.
近年,高齢者や障碍者の移動手段として福祉車両が普及し,その中でも車両と一緒に歩きながら支援する伴走型支援のシーンは多い。搭乗者あるいは支援者にとって,会話をしながら特定の距離を保って伴走を行うことは難しい。本研究では,仮想隊列制御を使った支援者との伴走支援システムを構築し,実機により評価を行う。
釣りは障害者にも広く楽しまれていることが知られている.そこで、様々な身体条件の方に釣りをスポーツ、またはコミュニケーションツールのひとつとして楽しんでもらうため、釣りのバリアフリー化を目指したFishingHelperの開発を行う。
先行研究では,非線形系に対して,モデル低次元化を実現する非線形射影を,ニューラルネットワークの一種である自己符号化器を用いて得られることを示した.しかし,種々の誤差によって,適切な低次元化モデルを得られない場合が存在した.本稿では,雑音除去自己符号化器を用いた手法により,この問題が解決されることを示す.
本論文では,非線形システムの最適制御実施のために解かなければならないHamilton-Jacobi-Bellman方程式に対して,準線形化法に基づく逐次式を提案し,その真値への収束性を示す.
非線形システムの最適制御を実現するためにはHamilton-Jacobi-Bellman方程式を解かなければならない.これはある条件のもとではコルモゴロフの後向き方程式に変換でき,その解はFeynman-Kac表現で得られることが知られている.本論文ではコルモゴロフ方程式が(実)シュレーディンガー方程式に変換できることを示す.
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